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第三章 魔法学園
こんな展開聞いてません!!
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急展開についていけずにのんちゃんを見上げたり光の渦や周囲をキョロキョロ見回してしまう。
私以外のみんなは分かっていたのかリークはもちろんエドワード殿下やセーラまで臨戦体勢で光の渦を見上げている。
いつの間にかのんちゃんも黒い杖を取り出して握りしめているし、私もサッと愛用の扇子を取り出して手に持っていることにした。
参列者の一部は騎士たちの誘導に従って外へ避難しているけど好奇心からか残っている人も結構いる。
アリアドネ妃は相変わらず落ち着いた様子で壇上にいて騎士たちやハフス家の皆さん、気づかないうちに移動していたアスターさん、ソリーさんに囲まれて守られている。
ベルン先生は…と見ると床に押さえつけられたまま動かなくなっている。
慌ててのんちゃんを見ると、
「大丈夫。気絶してるだけだから。」
と渦から目を離さずに言われた。
のんちゃんの肩越しに見える偽ニリーナも同じで騎士に囲まれていることを忘れているかのように必死な様子で輝く渦を見上げ両手を握り合わせている。
ただよっていた黒いモヤがすっかり吸い込まれてしばらくした時。
青白い稲妻のようなものが光の渦の中止、奥の方で激しく走り始め、3呼吸ほどおいて耳をつんざくような
ピシャーン!ドカーン!
という音が地響きと共に響き渡った。
両手で耳を塞ぐより早くのんちゃんがサッと杖を振り上げて張り巡らせたシールドのおかげで音や衝撃はだいぶ緩和されているけど、いよいよ異形の主の登場か…と事情を知る私たちの間に緊張が走る。
留まっていた物見高い参列者たちは我先にと逃げ出し残っているのは加勢しようという腕に覚えがある人たちばかりらしい。
壇上にいるみんなは大丈夫かな?と心配になって目を向けるといつのまにか陛下とエライザ王妃、たくさんの騎士に治療士。そして一番前で睨みつけるように渦を見上げているお父様の姿があった。
みんなが揃っている。いよいよなんだ。そう確信した時、一際大きな稲光が走り爆音とビリビリとした振動が体に感じられ思わず目を瞑ってしまう。
世界から音が消えてしまったのかと思うような静けさの中、のんちゃんだけが何か身動きをとっている。
恐る恐る目を開くと杖を掲げたままリーダーと真剣な表情で何か念話をしている。
リーダーが首を横に振ったのを見てのんちゃんは困ったなぁというように眉をひそめ苦笑いを浮かべてから自分を見上げている私に気が付いた。
「ごめん、ごめんねマリー、有希。」
のんちゃんはひどく申し訳なさそうにそうささやいて私の額にキスを落とした。
「まっ!またそんな!謝ってもダメだよ今そんなことしてる場合じゃ!」
私は両手で額をおさえて真っ赤になってしまった。
でも、のんちゃんが謝ったのはこのことではなかったみたいだ。
サッと杖を下ろすと張り巡らされていたシールドが緩んだのが分かる。
え?何で?のんちゃんの行動が理解できずに声に出しそうになった時、のんちゃんが私を突き飛ばし両手を広げた。
グシャッ!!
と何かがぶつかる音。
よろけた私を抱きとめたディルがすかさずシールドを貼りなおす。
何?何で急に?何が起きたの?
びっくりしてのんちゃんを見る。
いない?えっ?どうして?
心臓がドキドキ痛いくらいに鼓動を打つ。
まさか、まさかね?
じっとりと浮かんでくる汗を振り払うこともできずに恐る恐る床に目を向ける。
晴れの日のために準備されたふかふかの絨毯。
ヒールを履く身としては勘弁してよと思うぐらいの豪華な赤い美しいそれの上に杖を握りしめたままのんちゃんが仰向けに倒れていた。
腹部に黒い矢のようなものが刺さっていて溶けるように体内に消えていく。
「のんちゃん!!」
私の悲鳴と狂ったような笑い声が重なる。
「わぁっはっはっはっ!はっはっはっ!見たか!私を小馬鹿にし続けたガキのあの姿を。
生徒に手を出すなと生意気に脅してきやがった憎たらしいガキが。私が本気になればあんなやつ一撃なんだよ。
お前らも同じ目にあいたくなきゃ私を丁重に扱え!敬え!崇めろ!」
さっきまで気絶していたとは思えないほど饒舌に喋りながらベルン先生が立ち上がりのんちゃんを指差して笑っている。
その姿はすぐさま騎士に取り囲まれて見えなくなったけど、あんな奴に気を取られてる場合じゃない。
「のんちゃん、のんちゃん?」
倒れているのんちゃんはピクリともせずに顔色はみるみる白く青ざめていく。
背後からはまだベルン先生の耳障りな笑い声が聞こえていて、私の頭の中で鳴り響く。
のんちゃんを助けなきゃ!浄化魔法?光の矢?精霊を呼び出す方がいいかな?
のんちゃんの側にうずくまったままパニックでなかなか魔法を選べないのにそのうるさい笑い声がぐるぐるぐるぐる私の思考を邪魔してくる。
「うるさい!」
叫んだ瞬間私の身体から光が飛び出し会場中を駆け巡り光の渦に飲み込まれた。
「もうなんでもいいどの魔法でもいいからのんちゃんを助けて!!!」
こんな状況下で呑気にゲーム画面から魔法の選択なんて無理だ!
私は震える両手を握り合わせて自分の魔力。身体の中で爆発しそうなその力を外へと溢れ出させた。
私以外のみんなは分かっていたのかリークはもちろんエドワード殿下やセーラまで臨戦体勢で光の渦を見上げている。
いつの間にかのんちゃんも黒い杖を取り出して握りしめているし、私もサッと愛用の扇子を取り出して手に持っていることにした。
参列者の一部は騎士たちの誘導に従って外へ避難しているけど好奇心からか残っている人も結構いる。
アリアドネ妃は相変わらず落ち着いた様子で壇上にいて騎士たちやハフス家の皆さん、気づかないうちに移動していたアスターさん、ソリーさんに囲まれて守られている。
ベルン先生は…と見ると床に押さえつけられたまま動かなくなっている。
慌ててのんちゃんを見ると、
「大丈夫。気絶してるだけだから。」
と渦から目を離さずに言われた。
のんちゃんの肩越しに見える偽ニリーナも同じで騎士に囲まれていることを忘れているかのように必死な様子で輝く渦を見上げ両手を握り合わせている。
ただよっていた黒いモヤがすっかり吸い込まれてしばらくした時。
青白い稲妻のようなものが光の渦の中止、奥の方で激しく走り始め、3呼吸ほどおいて耳をつんざくような
ピシャーン!ドカーン!
という音が地響きと共に響き渡った。
両手で耳を塞ぐより早くのんちゃんがサッと杖を振り上げて張り巡らせたシールドのおかげで音や衝撃はだいぶ緩和されているけど、いよいよ異形の主の登場か…と事情を知る私たちの間に緊張が走る。
留まっていた物見高い参列者たちは我先にと逃げ出し残っているのは加勢しようという腕に覚えがある人たちばかりらしい。
壇上にいるみんなは大丈夫かな?と心配になって目を向けるといつのまにか陛下とエライザ王妃、たくさんの騎士に治療士。そして一番前で睨みつけるように渦を見上げているお父様の姿があった。
みんなが揃っている。いよいよなんだ。そう確信した時、一際大きな稲光が走り爆音とビリビリとした振動が体に感じられ思わず目を瞑ってしまう。
世界から音が消えてしまったのかと思うような静けさの中、のんちゃんだけが何か身動きをとっている。
恐る恐る目を開くと杖を掲げたままリーダーと真剣な表情で何か念話をしている。
リーダーが首を横に振ったのを見てのんちゃんは困ったなぁというように眉をひそめ苦笑いを浮かべてから自分を見上げている私に気が付いた。
「ごめん、ごめんねマリー、有希。」
のんちゃんはひどく申し訳なさそうにそうささやいて私の額にキスを落とした。
「まっ!またそんな!謝ってもダメだよ今そんなことしてる場合じゃ!」
私は両手で額をおさえて真っ赤になってしまった。
でも、のんちゃんが謝ったのはこのことではなかったみたいだ。
サッと杖を下ろすと張り巡らされていたシールドが緩んだのが分かる。
え?何で?のんちゃんの行動が理解できずに声に出しそうになった時、のんちゃんが私を突き飛ばし両手を広げた。
グシャッ!!
と何かがぶつかる音。
よろけた私を抱きとめたディルがすかさずシールドを貼りなおす。
何?何で急に?何が起きたの?
びっくりしてのんちゃんを見る。
いない?えっ?どうして?
心臓がドキドキ痛いくらいに鼓動を打つ。
まさか、まさかね?
じっとりと浮かんでくる汗を振り払うこともできずに恐る恐る床に目を向ける。
晴れの日のために準備されたふかふかの絨毯。
ヒールを履く身としては勘弁してよと思うぐらいの豪華な赤い美しいそれの上に杖を握りしめたままのんちゃんが仰向けに倒れていた。
腹部に黒い矢のようなものが刺さっていて溶けるように体内に消えていく。
「のんちゃん!!」
私の悲鳴と狂ったような笑い声が重なる。
「わぁっはっはっはっ!はっはっはっ!見たか!私を小馬鹿にし続けたガキのあの姿を。
生徒に手を出すなと生意気に脅してきやがった憎たらしいガキが。私が本気になればあんなやつ一撃なんだよ。
お前らも同じ目にあいたくなきゃ私を丁重に扱え!敬え!崇めろ!」
さっきまで気絶していたとは思えないほど饒舌に喋りながらベルン先生が立ち上がりのんちゃんを指差して笑っている。
その姿はすぐさま騎士に取り囲まれて見えなくなったけど、あんな奴に気を取られてる場合じゃない。
「のんちゃん、のんちゃん?」
倒れているのんちゃんはピクリともせずに顔色はみるみる白く青ざめていく。
背後からはまだベルン先生の耳障りな笑い声が聞こえていて、私の頭の中で鳴り響く。
のんちゃんを助けなきゃ!浄化魔法?光の矢?精霊を呼び出す方がいいかな?
のんちゃんの側にうずくまったままパニックでなかなか魔法を選べないのにそのうるさい笑い声がぐるぐるぐるぐる私の思考を邪魔してくる。
「うるさい!」
叫んだ瞬間私の身体から光が飛び出し会場中を駆け巡り光の渦に飲み込まれた。
「もうなんでもいいどの魔法でもいいからのんちゃんを助けて!!!」
こんな状況下で呑気にゲーム画面から魔法の選択なんて無理だ!
私は震える両手を握り合わせて自分の魔力。身体の中で爆発しそうなその力を外へと溢れ出させた。
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