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第四章 エンディングのその後の世界
平穏に学園生活を送りたい
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「スリジェ様。」
後ろから呼びかけられ、ビクッと反応しそうになるのを押し隠し笑顔で振り返る。
この春入学してきたばかりのまだ幼さが残る可愛らしい少女が3人、目をキラキラと輝かせながら立っていて嬉しそうにキャアと声をあげながらくっつき合って立っている。
彼女たちから少し離れた場所には監視するように上級生が5人ほど並んでいた。
「朝の鍛練お疲れ様です。」
「今朝も素敵でした。」
「あの、これよろしければ召し上がってください。」
可愛らしいピンク色の包みを笑顔で受け取りお礼を言うと三人は再びキャアッと声をあげてから律儀にお辞儀をして上級生の元へ戻っていく。
もはや顔見知りの上級生の面々にも手を軽く上げて挨拶をしてから私は足早に自室へと向かった。
「いまだに慣れないなぁ」
シャワーを浴びようと浴室に向かいながらぼやいているとアイリーンがフフフと笑いながらついてくる。
「ですが以前よりは良いのでは?
二年生の頃は大変でしたものね。」
言われて思わず何度もうなずいてしまった。
あの怒涛の卒業パーティーの後、私とアロイスはなぜかこの大陸一帯の守護者として各国から感謝状を贈られ、是非我が国へ来てほしいとの誘いが後をたたなかった。
(アロイスが言うにはあの竜からの願いを保留していることに関係してるらしいけど)
私たちの身分はまだ学生(一応アロイスもそうだ)ということでニリーナ様が学園生への不介入を宣言してくれたおかげでどうにか収まった……
ように見えたけど今度は学園生を使っての勧誘が始まり、それ以外にも下心がある無しに関わらず数多の生徒のつきまといやら待ち伏せやらまともに一人になれる時間が取れないような状況になってしまったのだ。
アロイスが魔法で近づけないようにしてくれると言ったけど、セーラは皇太子妃として婚約を交わし妃教育や公務に忙しくなってしまいなかなか一緒にいられないしルルは一時帰国してしまった。
リークとイライザも正式に婚約しエドワード王子たちより一足早く卒業後すぐ結婚する運びになり、イライザはセーラと共に妃教育、リークと共にユーグ公爵家の公務引き継ぎがあり多忙を極めていた。
ディルとエドワード王子とアンディーブ様は卒業と共に学園を去ってしまったし、親しい人たちが周囲からいっきに減ってしまった私は寂しくて仕方なかったのだ。
新しい友人は欲しいけど下心で仲良くしたいという人はお断りだし…
悩んでいた私を救ってくれたのはアスターさんとソリーさんだ。
目星をつけていたらしい男女の上級生を中心に【守護者を見守る会】を設立し過剰な付き纏い、待ち伏せ、囲み行為を摘発してくれるようになった。
守護者なんて言われると
「違う!!」
と声を大にして言いたくなるけど瞬く間に規律が整い手を尽くしてくれる手前言い出せなくなってしまった。
「あの会のおかげとまぁ新しい学園長になって色々改正されたのもあるけど…」
新しい学園長…私はびっくりしてしまったけどカストルとイライザのお父様。
リチャード・ユーグ公爵が新しい学園長としてニリーナ様たち理事から任命された。
自身の息子と娘が共に王族と縁付いたおかげでユーグ公爵が新たな野心、つまり謀反を企てるのではとイシェラ王国内では不安視する動きが出ていたけれど爵位は婚姻と同時にリークが引き継ぎイシェラ王国王立魔道士長の地位も退き各国とのパイプができるかわりに常に中立の立場である魔法学園の学園長に任命されひとまず騒ぎは治ったらしい。
本人はどうかというと…
初めは話が違うといきりたっていたらしいけどニリーナ様から
賢者は家名は捨てるが賢者を育て上げた師は永遠に語り継がれると言い含められアロイスに続く未来の賢者を育てるべく学園の改革に力を注いでくださっているのだ。
「あいつはエシャルロット公爵を目の敵にしてるからね。
あいつより上になれると突っつきゃ簡単に動かせるよ。優秀な男なのに甘ちゃんだぁね。」
カラカラ笑うニリーナ様に曖昧に笑みを返しつつ私は複雑だった。
だって未来の賢者候補に私も入れてるみたいだから…
期待に満ちた眼差しを向けられるたびに困ってしまう。
まぁ学園長直々の教えのおかげで光魔法以外の魔力も鍛えられているからありがたいんだけど。
そうして学園長が見込んだ幾人かの生徒たちと一緒に別枠の授業を受けるうちに自然と交流が深まり始めた頃、ルルも一時帰国から戻りなんとなく周りと薄い壁はありつつも楽しい学園生活が戻ってきたのだ。
そして今…
三年生最後の日、つまりアロイスたちの卒業の日を迎えようとしている。
後ろから呼びかけられ、ビクッと反応しそうになるのを押し隠し笑顔で振り返る。
この春入学してきたばかりのまだ幼さが残る可愛らしい少女が3人、目をキラキラと輝かせながら立っていて嬉しそうにキャアと声をあげながらくっつき合って立っている。
彼女たちから少し離れた場所には監視するように上級生が5人ほど並んでいた。
「朝の鍛練お疲れ様です。」
「今朝も素敵でした。」
「あの、これよろしければ召し上がってください。」
可愛らしいピンク色の包みを笑顔で受け取りお礼を言うと三人は再びキャアッと声をあげてから律儀にお辞儀をして上級生の元へ戻っていく。
もはや顔見知りの上級生の面々にも手を軽く上げて挨拶をしてから私は足早に自室へと向かった。
「いまだに慣れないなぁ」
シャワーを浴びようと浴室に向かいながらぼやいているとアイリーンがフフフと笑いながらついてくる。
「ですが以前よりは良いのでは?
二年生の頃は大変でしたものね。」
言われて思わず何度もうなずいてしまった。
あの怒涛の卒業パーティーの後、私とアロイスはなぜかこの大陸一帯の守護者として各国から感謝状を贈られ、是非我が国へ来てほしいとの誘いが後をたたなかった。
(アロイスが言うにはあの竜からの願いを保留していることに関係してるらしいけど)
私たちの身分はまだ学生(一応アロイスもそうだ)ということでニリーナ様が学園生への不介入を宣言してくれたおかげでどうにか収まった……
ように見えたけど今度は学園生を使っての勧誘が始まり、それ以外にも下心がある無しに関わらず数多の生徒のつきまといやら待ち伏せやらまともに一人になれる時間が取れないような状況になってしまったのだ。
アロイスが魔法で近づけないようにしてくれると言ったけど、セーラは皇太子妃として婚約を交わし妃教育や公務に忙しくなってしまいなかなか一緒にいられないしルルは一時帰国してしまった。
リークとイライザも正式に婚約しエドワード王子たちより一足早く卒業後すぐ結婚する運びになり、イライザはセーラと共に妃教育、リークと共にユーグ公爵家の公務引き継ぎがあり多忙を極めていた。
ディルとエドワード王子とアンディーブ様は卒業と共に学園を去ってしまったし、親しい人たちが周囲からいっきに減ってしまった私は寂しくて仕方なかったのだ。
新しい友人は欲しいけど下心で仲良くしたいという人はお断りだし…
悩んでいた私を救ってくれたのはアスターさんとソリーさんだ。
目星をつけていたらしい男女の上級生を中心に【守護者を見守る会】を設立し過剰な付き纏い、待ち伏せ、囲み行為を摘発してくれるようになった。
守護者なんて言われると
「違う!!」
と声を大にして言いたくなるけど瞬く間に規律が整い手を尽くしてくれる手前言い出せなくなってしまった。
「あの会のおかげとまぁ新しい学園長になって色々改正されたのもあるけど…」
新しい学園長…私はびっくりしてしまったけどカストルとイライザのお父様。
リチャード・ユーグ公爵が新しい学園長としてニリーナ様たち理事から任命された。
自身の息子と娘が共に王族と縁付いたおかげでユーグ公爵が新たな野心、つまり謀反を企てるのではとイシェラ王国内では不安視する動きが出ていたけれど爵位は婚姻と同時にリークが引き継ぎイシェラ王国王立魔道士長の地位も退き各国とのパイプができるかわりに常に中立の立場である魔法学園の学園長に任命されひとまず騒ぎは治ったらしい。
本人はどうかというと…
初めは話が違うといきりたっていたらしいけどニリーナ様から
賢者は家名は捨てるが賢者を育て上げた師は永遠に語り継がれると言い含められアロイスに続く未来の賢者を育てるべく学園の改革に力を注いでくださっているのだ。
「あいつはエシャルロット公爵を目の敵にしてるからね。
あいつより上になれると突っつきゃ簡単に動かせるよ。優秀な男なのに甘ちゃんだぁね。」
カラカラ笑うニリーナ様に曖昧に笑みを返しつつ私は複雑だった。
だって未来の賢者候補に私も入れてるみたいだから…
期待に満ちた眼差しを向けられるたびに困ってしまう。
まぁ学園長直々の教えのおかげで光魔法以外の魔力も鍛えられているからありがたいんだけど。
そうして学園長が見込んだ幾人かの生徒たちと一緒に別枠の授業を受けるうちに自然と交流が深まり始めた頃、ルルも一時帰国から戻りなんとなく周りと薄い壁はありつつも楽しい学園生活が戻ってきたのだ。
そして今…
三年生最後の日、つまりアロイスたちの卒業の日を迎えようとしている。
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