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第1章 チャラ男の理由
また熱が出た
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ピピッと体温計が鳴った。38.5度。久しぶりの発熱だ。
身体中が重い。咳き込みすぎて肺が痛い。
再来週には夏休み前の試験期間だから、本当は休みたくはないが大学へ行くのは無理そうだ。
千尋は枕の横のスマホを寝たまま手に取った。
『おっざーす!今日、かったるいから授業サボるわ。レポートの課題出たら教えてくれるとマジ助かる!!!今度、奢るからさ♪』
このくらい軽い文面なら、まさか寝込んでるとは思われないだろう。飲みすぎて二日酔いか、あるいは昨日の夜、女の子といい感じだったのか~、とか、そういうチャラい方面に誤解してくれ~と念を込めて、メッセージを啓介に送る。
「千尋のヤツ、ほんと、しょうがねーな」と啓介ならきっとそう苦笑いしてくれるだろう。
そのために、千尋は大学では「チャラい自分」を演じている。少し長めのミディアムヘア、フープピアス、黒や総柄のシャツ、全部計算の上だ。
「まじ、かったるい」は“発熱”のことだし、
「しばらく家に帰ってなくてさ」は“入院してた”って意味ってことだ。
一応、嘘はついてない。ちゃんと、言い回しでごまかしてるだけだ。
メッセージを送るとすぐにピコンと啓介から返事が返ってきた。
『了解~っ。っで、奢らなくていいけど、今度の金曜日の夕方から時間あけといて』
金曜日か。何だろう。過去問とか調べるのかな?熱でぼんやりした頭では考えられない。金曜までには熱も下がってるはずだ。
『おK』
それだけ返信して、1階にいる父親にもメッセージを送った。起き上がるのも声を出すのもつらい。
『熱出た。学校休む。』
すぐに階段をどしどしと上ってくる音がして、父がミネラルウォーターを持って部屋に入ってきた。
「大丈夫か?病院行くか?」
「いや、これくらいなら大丈夫そう。解熱剤飲んで寝てる。熱が下がらなかったら、明日、病院へ行くよ。どっちにしても、来週は薬もらいに病院行く予定だし。」
「わかった。じゃあ。すぐに雑炊を作るよ。食べられそうか?」
父が熱を確認するように、千尋の額に触れた。
「うん。少しは食べられると思う。」
「じゃ、作ってくるから。水分はたくさん取るんだぞ。ここんとこ、調子よかったのに、急に暑くなったからな」
父がペットボトルの蓋を緩めてベッドの脇のテーブルに置いた。
いつもの卵を落とした雑炊を作ってきてくれるのだろう。少しなら食べられる気がするので、今回の発熱は軽いほうだ。
千尋は手を伸ばしてペットボトルを手にとり、手慣れた手つきで、横になったままペットボトルの水を飲んだ。
ふう。また、今日も寝てなくちゃならない。ほんと、マジダリいな。
千尋はゆっくりとため息をついて、見慣れた天井の薄緑色のクロスを見上げた。
身体中が重い。咳き込みすぎて肺が痛い。
再来週には夏休み前の試験期間だから、本当は休みたくはないが大学へ行くのは無理そうだ。
千尋は枕の横のスマホを寝たまま手に取った。
『おっざーす!今日、かったるいから授業サボるわ。レポートの課題出たら教えてくれるとマジ助かる!!!今度、奢るからさ♪』
このくらい軽い文面なら、まさか寝込んでるとは思われないだろう。飲みすぎて二日酔いか、あるいは昨日の夜、女の子といい感じだったのか~、とか、そういうチャラい方面に誤解してくれ~と念を込めて、メッセージを啓介に送る。
「千尋のヤツ、ほんと、しょうがねーな」と啓介ならきっとそう苦笑いしてくれるだろう。
そのために、千尋は大学では「チャラい自分」を演じている。少し長めのミディアムヘア、フープピアス、黒や総柄のシャツ、全部計算の上だ。
「まじ、かったるい」は“発熱”のことだし、
「しばらく家に帰ってなくてさ」は“入院してた”って意味ってことだ。
一応、嘘はついてない。ちゃんと、言い回しでごまかしてるだけだ。
メッセージを送るとすぐにピコンと啓介から返事が返ってきた。
『了解~っ。っで、奢らなくていいけど、今度の金曜日の夕方から時間あけといて』
金曜日か。何だろう。過去問とか調べるのかな?熱でぼんやりした頭では考えられない。金曜までには熱も下がってるはずだ。
『おK』
それだけ返信して、1階にいる父親にもメッセージを送った。起き上がるのも声を出すのもつらい。
『熱出た。学校休む。』
すぐに階段をどしどしと上ってくる音がして、父がミネラルウォーターを持って部屋に入ってきた。
「大丈夫か?病院行くか?」
「いや、これくらいなら大丈夫そう。解熱剤飲んで寝てる。熱が下がらなかったら、明日、病院へ行くよ。どっちにしても、来週は薬もらいに病院行く予定だし。」
「わかった。じゃあ。すぐに雑炊を作るよ。食べられそうか?」
父が熱を確認するように、千尋の額に触れた。
「うん。少しは食べられると思う。」
「じゃ、作ってくるから。水分はたくさん取るんだぞ。ここんとこ、調子よかったのに、急に暑くなったからな」
父がペットボトルの蓋を緩めてベッドの脇のテーブルに置いた。
いつもの卵を落とした雑炊を作ってきてくれるのだろう。少しなら食べられる気がするので、今回の発熱は軽いほうだ。
千尋は手を伸ばしてペットボトルを手にとり、手慣れた手つきで、横になったままペットボトルの水を飲んだ。
ふう。また、今日も寝てなくちゃならない。ほんと、マジダリいな。
千尋はゆっくりとため息をついて、見慣れた天井の薄緑色のクロスを見上げた。
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