ダンジョンや魔物が溢れる世界になったけど、『ガチャ』に全財産突っ込んで最強になったので問題ない

きのこすーぷ

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第2話 ガチャを引く!試行錯誤を繰り返そう!

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 結局、その日は殆ど眠れなかった。
 風呂に入っていても、布団の中に居てもずっと興奮が収まらなかったのだ。
 おかげさまで目の下にはクマができてしまった。
 だけど、そんなことよりも……朝が来たのだ!

 昨日は深夜帯にガチャの存在を知ったから、コンビニのATMすら使えない状況だった。だけど今は違う。
 俺は朝一で銀行へと行ってお金を下ろした。とりあえず三十万。一ヶ月ちょっと分の給料だ。決して軽くない。だけど、ガチャを引きたいと言う欲に勝てなかった。

「……引くぞ!」

 【十連】のボタンを、俺は震える指で静かに押した。

・N【身体強化Lv,1】×3つ
・N【棒術Lv,1】・N【弓術Lv,1】
・N【HPup】×2・R【毒耐性Lv,1】
・SR【水魔法Lv,1】・SSR【成長限界突破】

「よしっよしっ! 爆死じゃない! それに、新しい魔法とまたSSRだ!」

 ただ、Rが減ってNが増えた。こればかりは運だから仕方が無い。
 だけれど、それを抜きにしてもSSRがもう一度引けるのはラッキーだった。
 それも、【成長限界突破】。たぶんだけど、その名の通りレベルの限界値がなくなりそうだ。つまり、何処までも強くなれるって事。

 レベルが上がったときの恩恵はまだ分らないけど、当たりスキルであることは間違いない。まぁ、何をすればレベルが上がるのか、今は分らないけども。

「くそ、まだ引きたいな……これまで趣味といった趣味を持ってこなかったから、貯金はあるけど……」

 早くに両親を亡くして施設で育った俺は、高校を卒業して直ぐに就職した。
 十八から働いて、今は二十三。五年間でそれなりの額は貯まっている。
 一年で食費や税金などを引いて、大体二百万くらい。今現在、九百万円もある。

 まだいける。ガチャだって残り一日とちょっとしか引けないんだ。
 これっきりと思って……。
 俺は銀行へ向かう。

 何度も行くと流石に怪しまれるから、銀行で残り一括で引き出した。
 もちろん、最低限生活していく分は残して。

 帰宅後、直ぐ俺はアプリを開いた。

「これっきり……これっきりなんだ」

 心臓の鼓動がうるさい。かなりどきどきする。だってこんな大金を使う事なんて事まずないから。俺は祈りながらガチャを再び引いた。

・N【身体強化Lv,1】×2
・N【棒術Lv,1】・N【剣術Lv,1】
・N【HPup】×2・N【MPup】×2
・R【敏捷Lv,1】・R【飢餓耐性Lv,1】

「やってしまった……」

 確率だ、こればかりは仕方ない。
 かなりメンタルに来るけど、【敏捷】スキルに少しだけ救われた。
 新しいスキルが来てくれただけありがたい。

 それに、まだ終わりじゃない! まだ引ける!
 俺はそれから更にガチャを回して――そして、試行錯誤しながら過ごしている内に夕方になっていた。

 窓から差し込んでくる夕日が丁度顔に差し掛かって俺は起きた。
 いつの間にか寝ていたらしい。昨日殆ど眠れていなかったのだ、そのせいだろう。
 お金は残り半分と言ったところ。ガチャで精神がすり減って、今日はもうお腹いっぱいだった。
 それに、

「明日からまた仕事、か」

 そう、明日の朝は早い。昼食も取っていなかったし、お腹も空いた。
 適当に作って、食べることにする。
 ちなみに、獲得したスキル達はこうだ。

・N【身体強化Lv,1】×34・N【棒術Lv,1】×3
・N【剣術Lv,1】×4・N【弓術Lv,1】×3
・N【柔術Lv,1】×2・N【盾術Lv,1】×3
・N【HPup】×26・N【MPup】×22
・R【敏捷Lv,1】×4・R【飢餓耐性Lv,1】×2
・R【防御Lv,1】×3・R【豪腕Lv,1】×3
・R【毒耐性Lv,1】×2・R【恐怖耐性Lv,1】×2
・R【冷耐性Lv,1】×3・R【物理耐性Lv,1】×2
・R【魔法耐性Lv,1】×2・R【熱耐性Lv,1】×2

 R以下はこんな感じ。まんべんなく出てくれたようで良かった。
 スキルは全部合成されて、いくつかはレベルが上がった。ここに来て、身体が軽くなったような感覚もある。身体強化の影響か?

・SR【闇魔法Lv,1】・SR【光魔法Lv,1】
・SR【風魔法Lv,1】・SR【土魔法Lv,1】
・SR【氷魔法Lv,1】・SR【炎魔法Lv,1】
・SR【鑑定Lv,1】・SSR【直感Lv,1】

 二十連に一回弱ほどSR以上が出てくれた。【炎魔法】は被ったけど、合成でレベルが上がったのでまだ良い。
 残り三百万。どうするかは、また明日決めよう。

 簡単に作った晩ご飯を食べながらそう決める。
 静かなのがなんだか寂しかったから、テレビを付ける。

「……これ、どうなってんだ?」

 どのチャンネルに行っても同じ報道が流れていた。
 それは、俺が寝ている間に地震があったからだった。どんだけ深く寝てたんだ、なんて思いつつニュースを見る。

 どうやら、日本だけでなく世界中で地震が起こったらしい。

 ふと、昨日のことを思い出す。猫に似た、あの生き物のことを。
 あれは本当に気のせいだったのだろうか? それに、突然現れたこのスキルガチャ。

 考えれば考えるほど――妙な胸騒ぎが俺の中で大きくなっていった。
 
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