一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない

草笛あたる(乱暴)

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☆、山柿の暴君 2

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「どん臭いなお前。受験生なんだから、用心しろよ」

「ああ。了解」

 パタパタとスリッパの音が遠くなり、やがて消えた。
 助かった……。一応だけど。
 静まりかえるトイレの個室。
 気づけば下腹部から僕の息子が元気にコンニチハ。
 その下では下痢ぴー。

 最悪だ。
 何故、好きな子に下痢ピーをお披露目しなくてはいけない。

 終った……。終わってしまった。
 でも幸運と思おう。
 どんな形であれ、こうやって愛里の暖かな鼓動を感じられるのだから……。
 ただ気持ち良くて、それは腹部の幸せな開放感も相まって、ずっとこのままでいたかった。
 ――ああ、どんなときでも、出るときは出るのだなあ。

 そんなことをしみじみと感じていたら、手の平でカクカク動くアゴに気づく。
 口を手で押さえたままだった。
 急いで放す。
 はあふう~っ、と肩で深呼吸する妖精。

 なにしてるんだ僕は……。ごめん……。苦しかっただろうに。
 いたたまれない気持ちでいると突然、生暖かい物が僕の太ももを濡らした。やがてそれは、股間をつたい便器にぽとぽとと音を立てて落ちる。
 え? え? え? これって……。
 すんすんと泣き声。

「ご、ごめんなさい。……ごめんなさい。山柿お兄ちゃん……、あ、愛里。愛里おもらし……」

 嗚咽混じり、小さな肩が震えている。
 僕が乱入したものだから、愛里はずっとおしっこを我慢していたのだ。悪いことをした……。
 暖かな液体は、確かに僕の下半身を汚してしまったけれど、気持は楽になった。僕のした罪が晴れたわけではないのだけれど。
 それよりも泣き声を聞きつけ、バカ兄が飛んできたら最悪。

「大丈夫だから。ねっ。泣かないで愛里。お願いだから、静かにして」

 黒髪の少女にそっと囁くと。

「ゆ、ゆるして……くれるの? よごしたのに、ゆるしてくれるの?」

 身体を捻って、不安そうに大きな瞳をぱちぱちさせた。 
 なんか意外な展開……。どっちかというと、いや、どっちかではなく、絶対僕が悪いのに、

「も、もちろん」
 
「あ、ありがとう」

 なんとお礼をまで言われてしまった。
 愛里の顔がぱあっ、と明かりが灯ったように笑顔になった。
 落ち着いたのだろう、立ち上がって「ここ、おそうじする」と僕の股間を指差したが、流石にそれはまずい。色んな意味でまずい。
「愛里が大きくなって、好きな人ができたら、してあげてね」とわかりやすく説明し「ではまたね」と、個室から出てドアを閉じた。
 溜息を吐く。
 
 一生に一度あるかないかの出来事を経験したのかもしれない。

 少女との触れ合い。
 しみじみと思い返していてふと気付く。
 おいおい。のんびりしているどころじゃないぞ。 
 いい加減、リビングに戻らないと岩田が疑問に思っちまう。名残惜しいが、足早にトイレから離れた。
 僕のズボンはぐちょぐちょで、オシッコの匂いを漂わせている。 
 さて、この状態。どう岩田に言えばいいだろうか。 
 答えが用意できないままリビングに戻ると、

「どうしたんだそれ!」

 岩田が変な顔をした。
 そりゃー、驚くわな。

「えっ。ああ、これか。……ションベンしてて転んじまって、そん時かかったんだよ」

 へらへら笑ってドンくさい自分を演じる。もうこれしかないだろう。

「どおりで……」

「臭いか? 臭いだろうな」

「少しな。だがどうやったらトイレでコケルんだ? 器用なやつだ」

 岩田に笑われたが、納得してくれているのなら、そのままでいい。
 だが、このままの格好で勉強するわけにもゆかず、帰ることを告げた。





 自宅に着いても嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な興奮状態。どきどきは止まらず出るのは溜息ばかり。こっそりズボンは水洗いしてから洗濯機の中へ。
 母さんが合格祈願だといって夕食に出してくれたカツ丼は、申し訳ないが半分しか食べれなかった。

「大丈夫かい。聖?」

 母さんが不安そうにしているが、本当の事を打ち明けるわけにはゆかない。
 僕は受験勉強のストレスで食欲も無くなった息子となっているのだ。
 
「気分転換したら?」と風呂に入ってみたが効果なし。
 自室に戻ったが、後ろめたくてクローゼットの扉は開けれない。浮気をしたみたいで、彼女たちを見れなかった。

 今夜の勉強は諦めよう。
 明日になれば晴れた心になっているかもしれない。
 ベッドに潜って眼を閉じたが、鮮明に焼き付いている愛くるしい妖精の姿。
 愛里の震える身体は、猫みたいに軽くて暖かくて、白い首筋からは甘いミルクの匂いがしていた。

 ダメだ、これって……。
 眠る事もできないのか? 

 おい。相手は小学生だぞ。
 ――わかってるけど止まらない。
 自分は異常だろうか。
 ――もうどうでもいい。もう一度抱きしめてみたい。
 ロリコン確定だろうか。
 ――そんなレベルじゃなく、この早い鼓動。これって恋じゃないのか? 初恋ってヤツじゃないのか?
 僕の彼女はフィギュアたちだったのに。
 ――彼女たちでこんなにどきどきした事があったか?

 あれはいつからだろうか、女の子が僕に話しかける時、僕の顔を見ていないのに気付いたのは、僕を傷つけないように配慮してくれるのは。
 なんとも空しくて惨めで苦痛だった。
 中にはハッキリと「山柿くん、ヤクザみたい」と笑う女子もいた。
 それはそれで傷付くのだけれど、むしろそのほうが、哀れまれるよりはずいぶんマシに思えた。
 僕にとって女性とは、同じ人間なのだけど、なんだかとても遠い生き物で、努力して近寄ってみたところで、ただ緊張と劣等感を伴った用件を伝えるだけの人間でしかないと思っていた。

 恋を知らない僕が、恋まで辿りついた事がない僕が、初めて恋をしたのが小学三年生? 親友の妹?
 真っ暗の部屋の中、僕は天井に浮かぶ白い蛍光灯を見上げながら笑った。


 
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