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☆橋の下 その2
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仕方なく引き返そうと向きを変えた瞬間。
川と合流する排水口の部分に黒い物が。
あれは?!
――ムカデだ!
そうか! ゴム製だから浮いて引っ掛かっていたのだ。
ついに……、ついにっ!
「やったぞおおおおおおおおぉぉっ!!」
極寒に耐えた時間は無駄ではなかったのだ……っ!
愛理の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
僕は一目散に駆け寄って、素早く形見を取り上げた。
大切にポケットに入れようとしたら……。
あれ? チクッとした痛みが……。
手の中を見ると、形見は動いていた。
「うわわわっ!」
本物のムカデを放り投げ、改めて噛まれた右手を広げてみるが、暗くてよく分からない。
失血とかは無いみたいだが、ジンジンと激痛がはしる。
ハチに刺されたみたいな感じだ。
「ついてない。本当についてない」
バカだろうか僕は。
自分が情けなくなる。
本気(マジ)でもう終わりにしよう。
川から上がる階段を探したが近くには無かったので、仕方なく元来た上流に歩きだした。
だが水位は腿まであるので、予想以上抵抗がある。
左手に親父のランディングネットを持ちつつ、右手を庇いながらだから、尚の事足取りは鈍い。
みぞれは雨に変わり本格的に降りだし、あたりは真っ暗。
全身ずぶ濡れだ。
唯一商店街の灯りを頼りに進んでいると、水底の石につまずいて派手に頭からダイビングをしてしまった。
ごつごつとした川底に両手ついて身体を起こし正座する。
濡れて張り付いた頭髪から汚水がおでこから頬を伝って顎からボタボタ落ちた。
「ふ……ふふ……、ふふ……はは……、あはは……」
可笑しくないのに、可笑しくて仕方がなかった。
僕という人間は、痛いのは顔だけでなく、運も悪く、しかもバカとくる。
教師なんか目指して大丈夫なのか?
生徒が迷惑するぞってか。
立ち上がり、やっとたどり着いた階段は僕が降りた階段だった。
水滴をびとびと零しながら道路に上がると、部活帰りだろう、傘をさして談笑している数人の女子中学生と目が合った。
一瞬目が点。
やがて――。
「「「「ぎゃああああああああああああ――――っっっ!!」」」」
激走して逃げていった。
そりゃ、そうだろう。
ただでさえ怖い顔の僕が、全身ずぶぬれで闇の中から現れたのだから。
お化け? 怪奇現象?
思われたのはそんな所だろうか。
気絶されなくてまだ良かったかもしれない。
それより、なんかフラフラする。
手も痛くてたまらない。病院で見てもらうべきか。
あ、いや、6時を過ぎているから病院の受付は終わっているだろうな。
家にあるマキロンでも塗っておくか。
虫さされに効くんだったよなあれ。
川と合流する排水口の部分に黒い物が。
あれは?!
――ムカデだ!
そうか! ゴム製だから浮いて引っ掛かっていたのだ。
ついに……、ついにっ!
「やったぞおおおおおおおおぉぉっ!!」
極寒に耐えた時間は無駄ではなかったのだ……っ!
愛理の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
僕は一目散に駆け寄って、素早く形見を取り上げた。
大切にポケットに入れようとしたら……。
あれ? チクッとした痛みが……。
手の中を見ると、形見は動いていた。
「うわわわっ!」
本物のムカデを放り投げ、改めて噛まれた右手を広げてみるが、暗くてよく分からない。
失血とかは無いみたいだが、ジンジンと激痛がはしる。
ハチに刺されたみたいな感じだ。
「ついてない。本当についてない」
バカだろうか僕は。
自分が情けなくなる。
本気(マジ)でもう終わりにしよう。
川から上がる階段を探したが近くには無かったので、仕方なく元来た上流に歩きだした。
だが水位は腿まであるので、予想以上抵抗がある。
左手に親父のランディングネットを持ちつつ、右手を庇いながらだから、尚の事足取りは鈍い。
みぞれは雨に変わり本格的に降りだし、あたりは真っ暗。
全身ずぶ濡れだ。
唯一商店街の灯りを頼りに進んでいると、水底の石につまずいて派手に頭からダイビングをしてしまった。
ごつごつとした川底に両手ついて身体を起こし正座する。
濡れて張り付いた頭髪から汚水がおでこから頬を伝って顎からボタボタ落ちた。
「ふ……ふふ……、ふふ……はは……、あはは……」
可笑しくないのに、可笑しくて仕方がなかった。
僕という人間は、痛いのは顔だけでなく、運も悪く、しかもバカとくる。
教師なんか目指して大丈夫なのか?
生徒が迷惑するぞってか。
立ち上がり、やっとたどり着いた階段は僕が降りた階段だった。
水滴をびとびと零しながら道路に上がると、部活帰りだろう、傘をさして談笑している数人の女子中学生と目が合った。
一瞬目が点。
やがて――。
「「「「ぎゃああああああああああああ――――っっっ!!」」」」
激走して逃げていった。
そりゃ、そうだろう。
ただでさえ怖い顔の僕が、全身ずぶぬれで闇の中から現れたのだから。
お化け? 怪奇現象?
思われたのはそんな所だろうか。
気絶されなくてまだ良かったかもしれない。
それより、なんかフラフラする。
手も痛くてたまらない。病院で見てもらうべきか。
あ、いや、6時を過ぎているから病院の受付は終わっているだろうな。
家にあるマキロンでも塗っておくか。
虫さされに効くんだったよなあれ。
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