一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない

草笛あたる(乱暴)

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★ネットに晒されて

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「やだやだ~♪ 冗談だってーっ! 冗談だってーっ!!」

 笑った優花ちゃんが部屋から逃げ出してしまいました。
 一人残されたあたし。別人格も引っ込んだみたい。

 
 数日後。

 インターネットに投稿された勇者さまとのラブラブ画像は、ミッチェルさんによって削除されました。

「これでママも安心なのかな?」

「ダメかもしれまセーン。愛里ちゃん。回覧数が60万人を超えてマース」

 申しわけなさそうにするミッチェルさん。
 特に今回の場合は《トキメキTVあいりんの、グロ過ぎる恋人とのエロ画像》という興味深いタイトルなので、たった2日でもこんなに見られたそうです。
 それにあいりんの下半身がばっちり映っている。
 しかも、相手の恋人というのがSM雑誌に掲載されたことのあるA∨男優の坂本氷魔――実際はアルバイトしかしていないけど世間はそう捉えない。
 小学生のあいりんが国民的美少女が、A∨男優とエッチしている。
 衝撃的な画像だから削除しても、もう既に誰かが保存していて、いずれ他のサイトに投稿され、日本中に知れ渡るのは時間の問題だそうです。
 そうなるとあいりんの女優生命は絶たれ、同時に坂本氷魔も世間から嘲笑され消えるそうです。

 別にトキメキTVに出れなくなっても、あたしはなんとも思わない。逆に自分の時間が増えて嬉しいかも。
 ママは不満かもしれないけれど。
 
 
 ホテルに帰ると、意外にもママが穏やかでした。

「運が良いわね愛ちゃんは。アップロードの件は大丈夫。問題ない」

「はれ?」

「確かにトイレ画像は、坂本と愛ちゃんの下半身を収めたものだが、愛ちゃんの顔は映っていない。画像の何処にもあいりんを特定する物は無い。
 6枚目の寝ている愛ちゃんの服装が、坂本と一緒に写っている少女の物と酷似している件は、誰かがあいりんをおとしいれる為に合成した物だとマスコミに流しておいた。
 だから大丈夫。あいりんは生きる。助かっている」

「そうなんだ」

「しかし、残念だが坂本は顔バレだから厳しい」

「そ、そんな……」

「下半身裸の幼い少女と一緒に写っている坂本は、誰が見てもケダモノだ。未成年への淫行は拭いきれん」

 淫行の意味はよく分かりませんが、なんとなく攻撃することでしょう。
 とにかくおちんちんが進化形態になっているのがダメなのです。
 なにせ武器ですから、勇者の剣ですから、少女に攻撃(淫行)をしていると思われても仕方ありません。
 実際は攻撃などではなく、(おちんちんは女の子の下半身に共鳴して進化してゆく)というおちんちんの習性。
 つまりあたしを見ての反応だったのだと知ったのは最近のこと。それはそれで嬉しいことなんだけど。
 でも、ああ……。
 ごめんなさい。
 勇者さま。
 あたしが画像を大事に保存していたから。
 あのとき、削除してとお願いする勇者さまの通りにしておけば……。

 ◆

 ◆

「しかし、意外だった!」

 2週間後のこと。ママはしみじみと感心していました。

「世間は坂本氷魔を高く評価している」

「そうなの?」

「ああ。本当に驚いたよ」


『こいつがあいりんの恋人だって? 冗談もいい加減にしろよな』
『あの画像、視たのかお前? 吊りだよ吊り。あいりん人気に便乗したタイトル詐欺だぜ。画像も合成って話しだ』
『あいりんのエロ画像ってだけで、ウソに決まっているだろう』
『こいつらA∨男優と女優じゃねーか』
『しかし、でっかいちんちんだなー。顔は激怖だし』


 あたしの画像でありながら皆んなは信用しません。
 勇者さまに至っては、逆に怖いお顔とおちんちんの進化形態――つまり武器が凄すぎる、見事だと注目されたのです。

「未成年への淫行は、全く問われていないぞ! 相手を幼女風に仕立てたA∨女優だと思っている」

 女子中高生の間では『A∨男優坂本氷魔の顔を30秒凝視できるか?』という我慢ゲームが流行りだしました。
 更にです。アップされていた勇者さまの大き過ぎるおちんちんが合成写真なのでは、いやいや薬を使っているから、どうも本当にデカイらしいぞ、とこれも話題となり。
 秋からスタートした連続ドラマの犯人役での高い演技力も認められ、しかも勇者さまが難関のK大学を一発合格した現役1年生だと発覚するやいなや、エロくて秀才なんだと世間を驚かせました。
 
「いやー、予想外だったな坂本は。《あいりんのグロ過ぎる恋人》の画像投稿すら、売名行為だったのでは? とまで疑われる始末だ」

 そう語るママはご機嫌です。
 勇者さまとあたしが出ている秋のサスペンスドラマの視聴率がトキメキTVを超えてうなぎ登り。ママは来年春からの連続ドラマと映画の依頼(予算10億円)が入ったのです。

「トキメキT∨の視聴者が、そのままそっくりサスペンスドラマも観ている計算になりマス。このままイケば視聴率歴代記録ベスト10に入りマース」

「よく分かんないけど、すごーい」

「私の目に狂いは無かった――。
 どうだ、今や坂本を怖がる者などいない。
 元々運動神経バツグンで、日本人離れしたガタイだ。それに隠す物がない状態、全てをさらけ出してからのブレイクだから、怖いものはない。あの大きいおちんちんも怖い顔も、全部ヤツの魅力にプラスされているじゃないかっ!」

「坂本サーン。良かったデス」

「ふっふふふふふ。坂本氷魔が出演すると視聴率が稼げると各局のプロデューサーが騒いでいる。安売りはせんぞ。ふっふふふふ」

 勇者さまは、ドラマや映画や他局のバラエティ番組まで出演依頼が殺到し、大ブレイク中。
 でも全てママが出演の有無を管理します。
 ドラマや映画の依頼はすべて断り、バラエティ番組だけ出演OK。
 ママは自分の作品にしか勇者さまを出演させる気はありません。独占なのです。

「オーッ! そろそろ坂本の出る番組がはじまりマース。どれどれ出演者がキャーキャーいうのが見ものデース」

 早速ミッチェルさんがテレビをつけると、その番組は始まっていて、『坂本氷魔のお化け屋敷』とテロップが出ていました。
 スタジオに作られたお化け屋敷に勇者さまが待機していて、10人のアイドルが一人づつ中に入り、怖がらず我慢して抜ければアイドルの勝ち、堪らず絶叫すれば勇者さまの勝ち、というコーナーをやっていました。

「そりゃー坂本の10連勝デース。暗闇に坂本の顔は最強、鬼に金棒デース」

 ミッチェルさんが高笑いしていて、なんか腹が立ちました。
 勇者さまが勝つのは嬉しいですが、勇者さまのお顔に絶叫か我慢って……。あんな素敵なお顔を怖がるはずないじゃないですかーっ!

 ところが、お化け屋敷に入ったアイドル、その赤外線監視カメラが捉えた映像は、既にビビりまくり怖がりまくり、なんとかスタンバイしている勇者さまの所まで辿り着きました。ノーメイクで普段通りの勇者さまが、ひょいと顔を出しただけだったのですが一発で気絶してしまいました。
 次のアイドルも同じ。その次もです。
 一緒に観ていたママとミッチェルさんは涙を流しながらの大爆笑。なんか複雑です。


『即落ち、瞬殺でしたねーっ! さーて、次に『坂本氷魔のお化け屋敷』に入るのは、現在人気絶頂アイドルユニット『バルンバルン』のリーダー三城(さんじょう)サヤカちゃんでーす!! サヤカちゃんどう? 自信あるかな?』
『わたしは大丈夫かもー。だってサカヒョウ好きだおーっ♪』
『サカヒョウ?』
『坂本氷魔のことだおーっ。ファンクラブも入ってるおー。大ファンだおーっ♪』
『へー。それは意外。じゃサカヒョウの好きなところは?』
『そだねー。やっぱ顔だおーっ。しびれるおー。そしておちんちんもーっ。きゃーっ、言っちゃったおーっ♪』
『問題発言ですねー。そんなに好きなんですねー』
『そだよー。わたしの処女はサカヒョウにお供えするおーっ。わわわー、冗談だおーっ♪』

 
 殺してやろうかと思いました。
 この三城さんじょうサヤカって女……。  
 許せない。許せない。
 あたしと勇者さまを引き裂く者は――

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。
 ミーン。

 ピシ……ッ 
 
「愛里ちゃん。ストップストップ!! マークⅡ出てマス――ッ!!」

 ミッチェルさんに後から抱きつかれ、お顔をペシペシ叩かれて、ハッと気付きました。

「あ……ああ。ありがとう。また出ちゃうとこだったかも」

「最近よくデマース。愛里ちゃんはお兄さんを見習って、平常心を心がけるがイイカモデス」

 ミッチェルさんが心配するのもよくわかります。
 前は危険が迫っているときだけだったのに、勇者さまがらみで嫉妬しても出るようになりました。
 
「うむ……。自分でコントロールできないとなると、仕事以外はホテルから一歩も出せなくなる」

「えっ――っ! お仕事以外、お外に出れないの?」

「仕方がないだろう。他人に危害を与えてはまずい。これ以上なにか起こすと、防ぎようがない。トキメキTVもサスペンスドラマも視聴率が落ちるだろう。避けねばならん」


 
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