一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない

草笛あたる(乱暴)

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★愛里ワールドその5(勇者さま発見!)

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 他の世界の愛里ちゃんをどんどん倒していると、経験値がどんどん入ってきて、あたしのレベルは800を超えちゃうし、ゴールドも貯まっちゃいました。
 せっかくなので、増えた仲間たちに手伝ってもらって、愛里のお家を増改築してお城みたいにカッコよくしました。
 城の1階から4階まではドーム球場ほどの大きさにして、5万匹にもなっちゃった仲間モンスターのお部屋にしました。
 5階は最初からいる仲間モンスターたちのお部屋&遊び部屋。
 遊び部屋といっても、あたしがあくしょんばいおれんすしてあげるくらいかな。みんなヒーヒーヒー喜んでますよ。
 6階はリビングとキッチン、7階があたしのお部屋です。
 最初、部屋中セミの抜け殻だらけにしょうかな、と思っていたのですが、近頃そんな気分じゃないのです。
 セミが嫌いになったわけじゃないんだけど、他の愛里ちゃんを倒せば倒すほど、それほどこだわらなくなったというか、普通のお部屋のほうが良いかな、と思い始めました。

「困ったでがす……。あ、また言っちゃったー!」

 緑の愛里ちゃんを倒してから、語尾に『がす』がつくようになってしまった。

 ――それはアイリさまが、他のアイリさまを倒して統合したからでございますよ――。
 ――人格統合は好みや考え、それから口癖までも統合されます――。

 ミンミンが説明してくれました。
 なるほどなあ。
 以前だったらセミだけじゃなく、ムカデやクモを見つけたら、なにかしら嬉しかった。最近それがないもの。でも嫌いじゃないよ。あー、いるなーって感じ。
 バトルだってそう。以前だったらモンスター軍団の先頭に立って別の世界の愛里ちゃんたちと戦っていたのですが、今はクモちゃんやマムちゃんたちにバトルを任せて、あたしはお城からお空のモニター(外の愛里ちゃんが見ている状況を映し出す窓)を眺めているのが多いかな。
 今もそう、ずいぶん高くなってしまった城の周りを、コウモリさんがキーキー鳴きながら、ばっさばっさ飛んでいます。
 ヒグラシを食べようと狙っていたので、メラゾーマで丸焼きにしました。
 因みに高レベル(500レベ以上)のあたしは『王』の称号が付いています。
 王になると、5万もいる仲間たちが倒した経験値とゴールドの30%が入って来るので、あたしは寝ててもレベルが上がっちゃうのです。
 だからあたしの各種パラメーターは5桁を超え全カンスト状態。魔法はもちろんすべて習得し終え、持っていないレアアイテムなし。
 ゲームだったら全てをやりきった感じだったのですが、さっきレベル888に上がった時、ウインドウに《召喚魔法・コイコイをおぼえた!》と表示されたのです。
 ここにきて新魔法獲得。それも召喚魔法・コイコイ。
 未知のモンスターを異界から連れてこれるというアレでしょう。
 すごいすごい。なにか出してみようかな。
 
 それは偶然でした。
 突然、お空のモニターに、プロレスラーみたいな大男が映し出されました。
 いやらしく笑いながら、スタンガンを構え、バチバチと火花を散しました。
 その先には勇者さま……かな? 
 なんか女の子っぽい格好をしているけど、間違いなく勇者さまです。 
 スタンガンで攻撃されるっ!                  
 
『嫌』『嫌』『悲』『悲』『救』『救』『怖』『怖』『悪』『悪』『救』『救』

 突然、お空に心玉(こころだま)が無数に発生し膨張しました。 
 心玉(こころだま)――今現在愛里を支配しているマークⅢとか言う子の感情を表している風船――。
 
 さあ! 早くあたしに交代してっ!
 もう、交代する愛里はいないよ、あたししかいない!
 マークⅡちゃんほどじゃないけど統合して、ヘッドバットが出来るようになった。あんな男、格闘あくしょんばいおれんすで倒しちゃう。ダメなら噛み付いてやる。

 念じたのですが、あたしの身体に変化はありません。
 お空のモニターには、スタンガンの電流を浴びた勇者さまが床に倒れ、叫び声が響いただけでした。
 動きません。気絶させられたのです。

 外の愛里ちゃんは、青の世界のアイリは、あたしを出す気がないんだ。
 まだ一度もあったことないけど、勇者さまがヤラれるのを放おっておくなんて……。
 不敵に笑うプロレスラーみたいな男が、勇者さまの髪を掴んで持ち上げました。

『ケッ! 見事に気絶しやがった』

 閉じられた目蓋。勇者さまの顔にツバを吐きかけて高笑いしました。

 許せない! 許せない! 許せるわけない!
 腹の奥から熱い何かが込み上げて来ました。

「コイコ――――イ!!」 

 初めて唱える召喚魔法。
 あたしの頭上に半透明なキラキラ光る黄色いリングができて周りだし、天井を透過して天空まで伸びてゆきました。

 ピーン!

 半透明なウインドウが空中に表示されました。召喚モンスターの一覧です。
 この中から選べってことかな。

 
 スライム系
 ドラゴン系
 魔獣系
 物質系
 悪魔系
 ゾンビ系
 植物系
 昆虫系
 その他

 
 その他 ← ピコッ




 勇者
 

 なにこれ? わかんない。でもいいや!

 勇者 ← ピコッ



 ―――――――――――――――――――――  
|                     |
|  勇者・やまがきの召喚に成功した!   |
|                     |
 ――――――――――――――――――――― 


 ほんとに?
 勇者さまが……あたしみたいに、この世界のどこかに降り立ったということかな?
 やったーっ!

 城の5階では、さっそくクモちゃんがたくさんの手を動かしモニターの操作をして勇者さまを探してくれています。
 召喚魔法の事を詳しく調べたら、効果は残念ながら24時間という期限付きでした。
 つまり、それまでに勇者さまを探さないと、元の世界に戻っちゃうってこと。 
 
「みんな急いで勇者さまを探してっ! 探しだした子には、特別にあたしが一対一であくしょんばいおれんすしてあげるからね。それから月刊SMコイコイの3年無料購読付きだよ!」

 獲得している思念魔法・ピロロン(遠く離れた部下にでも言葉を伝える事が出来る魔法)で、全世界に散らばっている5万匹の仲間たちに連絡しました。
 反応が鈍い……。
 おかしいな。

 視覚魔法・ミエルン(遠く離れた部下の様子を見る事が出来る魔法)で視認すると、とろとろ動いている子が殆どでした。
 
「ライディーン!!」

 雷のおしおきです。
 ほら、キビキビ動き出したね。 

 これで勇者さまと会える! 嬉しい!
 強くなったあたしを見てもらおーっ。
 あーそーだ、女の子は強くないほうがいいかも。あたしのレベルを見て引いちゃうかも。

「セミの森で、勇者さまを発見したとの情報が入りました!」

「ほんとっ!」

「近くにトンボムカデ322号がいるので、向かわせます」

「お願いっ!」

  
 数分後。

「見失いました」

 がっくり。

「トロルを倒していたワーム198号が見たらしいのですが、レベル1だったのとロリータ衣装を着ていた所から、あれは勇者じゃないだろうとスルーしたそうです」

「ロリータ衣装……」

「ワーム198から思念ショットが届いているので、表示します」

「うん」

 クモちゃんが操作してくれた壁のワイドテレビには、黒を基調としたヒラヒラスカート、白タイツ、赤ちゃんがかぶるような白い帽子を被った勇者さまがいました。簡単に言えばお人形さんみたい。
 どうしちゃったんでしょう。
 何かまた新しい境地を開いたのでしょうか。トイレプレイといい、勇者さまの変態はほんとうに凄い。これがいわゆる完全変態なのでしょうね。あたしは凡人だから厳しい。でも頑張って追いかけないと。

「アイリさま、新情報です。コンビニ・アレフカルト店からです。勇者やまがきが来店されたそうです」

「ええっ!」

「お供にはぐれブラック1匹。オシッコ臭がする剣を持っていたとの事」

 オシッコ臭がする剣……。
 ま、まままままさか、おちんちんの最終進化形態でしょうか。
 修行した者にしか到達できないという、幻の剣――おちんちんソード。

「みんなっ! それは伝説の勇者の剣です!」

「「「「「おおおおおおおおっ!!!」」」」」

「追加情報。勇者やまがきはSM本を丹念に吟味された後、コップを一つだけ購入して店を出たそうです」

「流石は勇者さま、来たこともない異世界に降りて動転することもなく、冷静にじっとSM本を読む」

 なんでえ、エロ本立ち読みじゃねーか、と笑ったホネホネちゃんに、ヒャダインをお見舞いしときました。
 仲間たちは口を半開きにして、10メーター四方の氷漬けになったホネホネを見ています。
 
「更に情報です。アイリさまの城の場所を店員に事細かく訊ねていたところから、勇者やまがきはこちらに向かっていると思われます」

「そうなの!」

「情報は確かです」

「じゃ、マムちゃんにお出迎えさせよう」

 早く会いたい。それに勇者さまの滞在時間は限られているもの。
 勇者さまがプレゼントしてくれたマムちゃん。今はもう家くらい大きくなっているけどね。
 そのぬいぐるみのマムちゃんが、大きな頭をかしげました。

「本当にアレが勇者さまなのですか、アイリさま。たったレベル1ですけど」

 ちょっとムカつきました。
 だから、

「ダメね、マムちゃん。勇者の単位はあたしたち一般とは違うんだからー」

「といいますと」

「千よ。1じゃなくて、あれは1000よ。レベル1000ってことなの」

 仲間たちモンスターが、一斉に顔を見合わせました。
 
「そ、そんな、バカなこと」

「あーっ、あたしが嘘をついているって思ってるんだー。そーなんだ。マムちゃんだけじゃなく、みんなそう思ってるんだー」

「「「いえいえいえいえ」」」

 みんな高速で顔を横に振っているけど、マムちゃんだけがじっとあたしを見て言ったのです。

「じゃ、勇者さまとお手合わせして貰って宜しいでしょうか? もちろん私が負けるのは当然でしょうが、それでも勉強の意味で」

「い……、いいわよ。直ぐに負けないよう、慎重にね」

「はい」

 マムちゃんはうねうねと蛇行移動しながら、城を出て勇者さまが向かってきているあぜ道を進みました。

「大丈夫でしょうか」

「分からない」

 どうしよう。口からでまかせ言っちゃった。
 今のマムちゃんが本気で襲ったら、勝てる相手はあたしくらい。
 仲間の中で一番レベルが高いんだもん、勇者さまが負けるに決まっている。
 ほんと、どうしよう。

 偵察に出ていたミンミン(巨大なセミ)から《勇者発見!》との思念が入り、さっそくテレビ中継されました。
 てくてく歩いている勇者さまと……何故か後ろにブラックがいる。
 はぐれブラックとして、ちゃっかり勇者さまの一番子分になっているじゃないの!
 

《大魔王側近・マムちゃん(レベル420)が現れた》


 マムちゃん、はやっ!
 もう勇者さまの前でとぐろを巻いて、大岩も簡単に砕くお口をぱっかり開けているじゃない。
 あたしは大急ぎでマムちゃんに思念を送った。

「いきなりの攻撃はダメよ、マムちゃん。まずは勇者さまの出方を見るのよ」

『了解です』

 よし!
 成功するかどうか分からないけど――。
 あたしは思念で呪文を唱えた。
 この城から離れたあぜ道にいる、今マムちゃんに対峙されて、少し驚いている勇者さまに向けて。

『ピオリム!』『ピオリム!』『ピオリム!』『ピオリム!』
 勇者さまの素早さ連続アップ!

『スカラ!』『スカラ!』『スカラ!』『スカラ!』
 勇者さまの守備力連続アップ!

『バイキルト!』『バイキルト!』『バイキルト!』『バイキルト!』『バイキルト!』
 勇者さまの攻撃力を5倍!

 さらにマムちゃんに向けて、守備力ダウン、攻撃力ダウン、素早さダウンをかけまくりました。

 マムちゃんのパラメーターが変化している。勇者さまもだ。
 あたしの呪文は思念でもちゃんと届くんだ! 効果があるんだ!

 ならばと、マムちゃんが攻撃を仕掛けた瞬間すらも、マムちゃんに向けて、混乱、麻痺、イオナズン、ついでにミナディンもかけちゃいました。
 見えないダメージを受け、よろけたマムちゃん。勇者さまのおちんちんソードが斜めに入り、綺麗に両断されたました。 
 勝ったレベル1の勇者さまには膨大過ぎる経験値が入り、一気に連続でレベルが上がりました。
 城のテレビを観戦していた仲間たちが唖然としています。
 

《大魔王側近・マムちゃん(レベル420)が仲間になった!》

 
 あ……。
 マムちゃんが勇者さまの仲間になっちゃった。
 そこまでしなくてもいいのに。
 マムちゃんが勇者さまを背中に乗せてこっちに向かっている。
 


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