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☆対綾小路
しおりを挟むテレビでお馴染みの司会者《綾小路》の薄ら笑っているような顔を、脳天気な高い声を捉えた途端、僕の心に怒り、苦しみ、憎しみ、悲しみ、そんな諸々の感情が噴き出してきた。
「綾……小路ぃ……、愛里をどうした……」
呟きながら、一歩また一歩と絨毯を踏み進む。
「怖い怖い。坂本くん、睨むのをやめてくれないかな。僕は暴力は嫌いなのだよ」
「貴様が、一番その暴力をふるっているだろう……」
綾小路が声を出さずねっとり笑った。
こんなヤツの番組を喜んで視ていたとは、悔しくなる。
奥の部屋からだ。
トトトトトト、と床を鳴らす音がしたかと思ったら、モップをかまえた愛里が飛び出してきた。
綾小路の手前でキキキィ――ッ、と急停止し、ほっぺを膨らまして睨みつける。
自分の身長より長いモップをブルンと一回振ったが、勢い余ってよろけた。
「ほらもう、この子も暴力なのだよ」
「変なジュース飲ませようとしたって、ダメだっつーの! て……」
ようやく愛里が、僕を見つけた。
「あ……!」
口をたまご型にし、人差し指を突き出した。
「あああああ――っ!」
トコトコ速攻バージョン走りで、一直線に僕の後ろに逃げ込んだ。
元の愛里に戻ったのかと思ったけど「さっさと助けに来るのが、キモ勇者の仕事だっつーの!」と蹴りを入れてきたので、マークⅢだと理解した。
でもぶつぶつ愚痴りながらも、僕のスカートを持って離さないのが、ちょっと嬉しい。
「なにジロジロ見てンだよ、このロリコン勇者!」
良く顔を見ると、愛里は涙ぐんでいる。怖かったんだろうな。
「ごめんね……」
「使えないヤツ。たっくもー」
手の甲で涙を拭って、それからもう一度僕に蹴りを入れた。
「他の強い人格に、マークⅡとか、そんなのに交代すればよかったじゃない」
ちょっと意地悪だったかな。
「もう居ないんだっつーの! 分かれ、ばーか!」
パチパチパチ、と芝居じみた拍手聞こえてきた。
「いやー。仲が宜しいですなー。うんうん」
綾小路が微笑む。さっきまで小学生をレイプしようと追い回していた男のセリフだろうか。
テレビのご対面コーナーで、久々の再開を果たした出演者に向ける司会者みたいに、実によく出来てた笑顔だ。
後ろで震えている愛里が、僕を見上げた。
可愛い。マークⅢだろうと、やっぱり可愛い。
「もー、見るな! キモいんだっつーの!」
愛里の小さな足が飛んできて、僕の右足のポコンと当たった。
愛里渾身の蹴りだけど、なんか嬉しい。
「坂本くん。交渉しようではないか、うんうん」
「交渉……」
「そうなのだよ。ネット事件、いわゆるキミとあいりんの淫行現場をばっちり押さえている僕を大切に扱うことだよ。
僕が政財界にも顔がきくのは岩田監督から聞いて知っているだろう。
例えば僕が頼めば、死刑囚でも無罪にして釈放できる。
乞食女を大女優にだって出来るのだよ。
つまり僕は何でもできる。出来ないことがないのだよ。
だから、坂本くん……ネット事件を黙っていてあげよう。キミの望むことは何でも叶えてあげよう。
そこのあいりんも大女優にしてあげようじゃないかね」
綾小路は笑みを絶やさず淡々と手順をおって説明した。
「この僕が、ここまで援助してあげるのだからだね。
……子供のひとりくらい、アイドルのひとりくらい抱いたって問題ないだろう」
交渉とは、その事か……。
「そうは思わないかね」
「……」
「さあ、協力してくれたまえ、坂本氷魔くん。僕はキミのおちんちんにも憧れているのだよ」
「あんなこと言っているけど、どうする愛里?」
「……ア、アンタ……ま、まさか……あたしを売る気……?」
「嫌なら、助けてって言えば、そうするけどね」
「ヤに決まってンだろー」
綾小路が奥の部屋に入って行った。
少しして戻ってきた時には、銀色に光る日本刀を持っていた。
「見せかけではないのですよ。
こう見えても僕は、高校時代、剣道で全国大会に出るほどの腕前でしたからね」
ふふっ、笑って綾小路は中段に刀をかまえた。
しっくり決まっていて、なるほど嘘ではなさそうだ。
しかし――。
「脅しでしょうか……それ」
「僕の思い入れを表現したのだよ。あいりんを愛しているとね」
やめてくれ50歳のおっさん! 吐きそうになる。
それにしても、ここまでして愛里を抱きたいのか、このエロおやじ。理由はなんなのか?
もし綾小路が少女に淫行をしようとしている事がバレたら、抜刀し脅してまでヤリたいその性根が世間に広まったら、いくら裁判で勝とうが仕事が出来なくなるだろう。
綾小路だって承知の上だろうに。
ここまで大胆に出来るなにかが、ヤツにあるに違いない。
「さあ、どうするのかね」
「ちょっと貸してね」
愛里からモップを受け取り、両手で握り綾小路に向けて中段にかまえた。
「は? なんの真似かね。坂本くーん」
『ライディーン!!』
またまた心の中で愛里の呪文が聞こえた。
ライディーンとは、勇者専用の雷系の呪文じゃなかったっけ。
天井の蛍光灯から、壁面のコンセント差し込み口から、高圧電流と思われる青白い稲妻がモップに落ちた。
バシッ……、バリバリバリバリ……。
「た……ただの掃除道具《モップ》が、放電……?」
「刀は鉄だから良く通るだろうな、電流」
綾小路が顔右半分をぴくぴくさせた。
「お……、おいちょっと待て! これは……この刀は冗談だ。
僕がキミを本気で斬るとでも思っていたのかい……、ははは……」
「嘘をつけ! 僕に対してもそうだが、本気で愛里をレイプするつもりだったろう。
二十歳の岩田監督をレイプしたみたいに」
「岩田くんを僕がレイプ……。いやあー、レイプとは心外だな。
岩田くんが余りにも綺麗すぎたのでね、僕は面と向かって愛しているとは言えなかったのだよ。
いわばあれは、岩田くんに恋してしまった内気な僕の、いわゆる告白みたいなものなのだよ。
それに当時の岩田くんは、変人男にたぶらかされていたからね、僕としては、目を覚まさせてあげるつもりだったのだよ」
「なに、勝手な理屈を言ってるんだっ!!」
「興奮してもらっては困るな、坂本くん。キミは知らないだろうが、現実に岩田くんは嫌がっていなかったのだよ。
警察に届けるわけでもなく、僕に抗議もしない。黙って芸能界から引退したのは驚いたけどね」
「……」
「だけど、岩田くんとも、こうやって再開もできた。
もう一度岩田くんとやり直すのはお互い難しいけれど、今度の僕の恋の相手はあいりんなのだよ」
愛里が自身の身体を抱き、嫌~な顔をした。
「テレビで初めてあいりんを観たとき、びびーっと僕のアンテナに来たのだよ。
あいりんが岩田くんの娘だと知って、あーもう、これは神様が導いてくれた運命だと確信したね」
全国のあいりんファンほぼ全員、びびーっと来てるんだよ。勝手に思ってろ! 思うだけなら無害だから。
「だから僕があいりんとラブラブしてどこが悪いのかな。
あいりんの母親だって、納得してくれたのだよ。僕の理解者なのだよ」
だから行動に起こすな!
「淫行だろうが! 犯罪だろうが!」
「やだなー、坂本くん。キミの口から《淫行》というセリフが出てくるとは思ってもいなかったよ。
キミこそ、あいりんと淫行しているじゃないか」
「な、なにをっ……、……」
ネットにアップされた僕と愛里のエロ画像の事を言っているのだろうが、僕と愛里はSEXなんかしていない!
反論しようと思ったが、言いとどめた。
SEXをする事だけが淫行ではない。
おちんちんを露出し、にぎにぎ、ぺろぺろ、はむはむ、すりすりなどの行為――これらもハッキリ淫行だ。
後ろの愛里が思い出しているのだろう、顔を真っ赤にしている。
「嘘はいかん嘘はな。正直に言ってみようじゃないか。
最初は……最初は、あいりん、嫌がっていただろう……。違うか?」
綾小路が嬉しそうに言いやがる。
「坂本くんだって、嫌がるあいりんを無理やりヤッて、虜にしたんだろう。
ヤレば好きになる。どんな女でもヤレば、気持ちよければ、身体が惚れるのだよ。そうだろう、経験済みの坂本くーん」
「ち……違うっ! 絶対にちが――――うっ!」
「ふっふっふ」
「ぶった斬るっ!」
「いや、おい、ほらほら、僕はこうだって」
綾小路は持っていた日本刀を床に落とし、両手を高々と上げて苦笑いした。
「やっちゃって――っ! こんなエロ大人!」
背後にいる愛里が叫んだ。
えーっ! ハニーそれはないのだよ、とコミカル口調で言った綾小路が、視線を一瞬だけ僕から後ろに移して直ぐに戻した。
愛里に……、ではない。
たぶんダウンし戦意喪失している自分のボディガードにサインを送ったのだろう。
綾小路の後ろ、激しく降る雨が打ちつけている窓には、スタンガンから金属バットに持ち替えた元K―1選手と元相撲取りが、入り口付近から、そ~っと忍び寄る姿がしっかりと映っていた。
スタンガンがきかないから金属バットで殴るつもりだな。
酷でぇなあ。
僕が綾小路を牽制しながら振り返ると、ボディーガード二人とバッタリ目が合った。
ぱちくり、ぱちくり。
驚き、恐怖、威圧、そんな表情を僅かに見せた大男たちだったが、直ぐに金属バットを振りかぶって突進してきた。
「くたばれ――っ!!」
「うおおおおおおお!!」
分厚いステンレスさえも素手でこじ開け、スタンガンの電流も感じない、化け物同然の僕だ。
彼らに迷いがあるわけがない。
だけど、元K―1選手の思いっきり振り下ろす金属バットが、スローモーションのようにゆっくりと感じられた。
軽くサイドステップで交わし、その勢いのままモップを選手の腹に打ち付けた。
当たった瞬間、バチバチバチ――ッ! と電流が選手の身体を覆った。
力なく倒れた黒焦げの身体からはプスプスと白い煙が揺らいでいる。
「ヒ……ヒ、ヒィイイ――ィッ!!」
相撲取りが金属バットを振りかぶった形のまま、数歩後ずさりした。
「すっごーい! 勇者さま――っ!」
いつの間にか壁際に避難していた愛里が、口を尖らせぴょんぴょんジャンプしている。
嬉しい。珍しく褒めてくれた。
いや、まてよ、『勇者さま――っ』って、元の愛里みたいに言わなかったか?
それにあの喜びようはマークⅢとは思えない。
ついについに、戻ってくれたのか? そうなのか?
ぽけーっと愛里を見ていると、ギィィィィイィンッ!! と甲高い金属音が僕の右腕に響いた。
「あら?」
間抜けな声を出した綾小路に続いて、僕自身も驚いた。
彼が日本刀を拾って、僕の右腕を斬りつけた――――のは理解できる。
しかし、しかしだ。出血どころか傷一つない。痛くもない。
日本刀が僕の腕に触れたと同時に、ポッキリと折れてしまったのだ。
綾小路は「マジですか……」と半笑いで僕の右腕を観察している。
今現在も、シュウシュウと音を出しつつ元の皮膚に戻ってゆく右腕は、ついさっき、僕の意思とは無関係に一瞬で鋼鉄に組織変化したのだった。
これも愛里の効果に違いないけど、僕って本当に勇者みたいじゃないか。
この現象を学者が知ったら、僕は研究材料になるぞ、絶対。
いや、そんな事より、とにかくこのビルを出るのが先決だ。
愛里の側に行き、手を引こうとしたけど、
「フンッ!」
と愛里が腕組みをして不機嫌に鼻を鳴らした。
ちょっと怖い。でも、なぜだろう、さっぱり分からない。
「やり過ぎだっつーの」
「え……僕?」
「キモ勇者の事じゃないつーの!」
じゃ誰に言っているんだ?
依然おかんむりの愛里はブツブツ呟きながら、「なに……、これ……」とさっきから伸ばしている僕のゴツゴツした手を睨む。
「まさかあんた、このあたしと手を握ろうつーわけ?」
「いや、まあ……」
怖い怖い。
速攻で引っ込めた。
「キモ勇者が調子コクんじゃないつーのっ!」
長い黒髪を片手で跳ね上げ、愛里はさっさとひとりで出口に向かって歩いて行った。
怖い怖い。
小学生のはずなのに、めちゃくちゃ怖いんだけど。
しかし、その怖い愛里がピタリと停止していた。
小さな人差し指を伸ばし、ドアの手前にいる元相撲取りを示している。
僕たちを部屋から出さない為に陣取っているのだろうが、それにしては、金属バットを抱きしめてガタガタ震えているじゃないか。
「か た ず け な さ い」
岩田監督を彷彿とさせる命令調だった。
やっぱり監督の娘なんだな、愛里も大人になったら監督みたいになっちゃうんだろうか……などと納得しつつ恐れつつ、僕は元相撲取りに近づき、『どけっ!』と言った。
「なんとかするのだよ!!」
綾小路が命令したが、相撲取りは無視し、速攻で部屋を飛び出してしまった。
「クソ役立たずっ! ヤツはクビなのだよ」
ドアは曲がったまま、がら空きの出口を、先に愛里姫に出てもらう。
後ろに続いて行こうとして、モップに気付いた。
「ここのだったな、これ」
僕がぽーん、と投げ返したモップを、綾小路がしっかりキャッチした。
部屋を出て、背後から激しい稲光と放電音。
うっぎゃ――っ!!
と絶叫する綾小路(50歳)の絶叫を耳にした。
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