一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない

草笛あたる(乱暴)

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☆広島へ戻ろう、その1

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 愛里を無事保護できた。
 あれだけ傷めつけたのだから、もう大丈夫だとは思うのだけど、相手はレイプ魔・綾小路(50歳)だ。
 愛里を奪おうと妙な事をしてくるかもしれない。   
 早くこのAHHビルを出で東京駅に向かうべきだが、僕としては、この可愛いゴスロリ衣装が気になって、異様に目立って仕方がないのだった。
 ここはテレビ局内だから、すれ違う誰もが僕を、辛うじてお笑い芸人だろうと良い風に解釈してくれるみたいだけど、一般街道はそうはいかない。
 僕は危ない人間、その道の方だと偏見の眼差しを送ってくるに違いないのだ。

 着替える為、一旦男性控室に戻る。
 廊下で愛里をひとりにするのは不安だったので、一緒に控室に入ってもらう。

「や!」

 速攻、キレ気味に断った愛里が、アンタ何を言ってンの、って顔でマジマジ僕を見上げる。

「……、……廊下で待たせるのは、ちょっと……」

「ふざけないでっ! キモ勇者と部屋で二人っきりとか、マジ吐きそうになるっーの!」

 可愛らしい顔から、厳しいセリフ。愛里に言われるのが、一番心に鋭く突き刺さる。

「部屋に入るだけだから。僕が着替え終るまでだから」

 なんとか、お願いしてみる。

「そうやってあたしを部屋に誘い込んで、またアレを……キモいのを出すつもりでしょ。無理やり舐めさせるつもりっ?」

 え――――――っ、想像しすぎ愛里。

「違うって!」 

「月光優花とあたしをたぶらかして、エロいことさせたのは知っているんだっつーの!」

「あの掃除道具室のこと……、でも、そんなのしてないぞっ!」 

「アンタが二人を連れ込んで、ズボンを脱いで不気味なアレを出すのをスクリーンで観た。キモイから途中で観るの止めたっつーの!」

「……スクリーン……。スクリーンって、愛里の心の中にある目蓋みたいな……。
 外の状況が映像で流れるモニターの事を言っているのか」

「……ちっ! そうだよ」

 マークⅢも愛里の心の中から、上空に浮かぶモニターを観ていたんだ。
 愛里の見たままがそのまま映像だから……、ぼ、僕のマックス君が拡大されて大空のモニターに流れていたのかっ。
 いや、そんな過ぎ去った事はもう良い。それよりだ――。

「……だったら、あの映像を観たんだったら僕がイヤらしい事をしてないって、分かるでしょ? 掃除道具室に行ったのも優花ちゃんに誘導されたわけだし、ズボンを脱いだのも、あれは愛里ちゃん……キミがどうしてもってお願いするから――」

「分かんない」

「……え? いや、あのね――」

「分かんない。あたしは3人の会話を聞いてないから。あたしは映像しか観てないのっ! だから分かんないっつーの!」

 なんと!
 無声動画バージョンで視聴していたのか?
 そりゃ、まあ、そう受け取られても仕方がないか……。

「それに、部屋に入ったら、その服を脱ぐんだろ? 見たくもないモンを見るっつーの!」

「やだな愛里ちゃん。嫌なら後ろ向いてれば良いじゃない。はははは」

「アンタに後ろなんか見せたら、危険で危険で、襲いかかってくるっつーの!」

「しないしない。僕がするわけないじゃないか!」

「そういうヤツが一番危険だって、ママの作品で嫌というほどやっているつーの!」

「え……えっと、ママの作品って、あのアダルトビデオを観たことあるの」

「しんねーしっ! レイプとか、縄で縛るとか、ムチで叩くとか、全然しんねーし!
 とにかく男と二人っきりなのは嫌なのっ! 死んでも嫌なの! ここで待っててやるから、キモ勇者はさっさと着替えて来るっつーの!」

 完全に観てる……。
 そりゃ、エグかったろう。
 トラウマになってるんだな。可哀想に。

 だけど、そうも言っていられない。
 愛里ひとりで廊下にいると、あの相撲取りが襲ってくるかもしれないぞ、と脅したら「げっ! ……し、……仕方がない。入ってやるっつーの」と渋々言ってくれた。やれやれ。
 なんとか愛里を男子控室に連れ込む、いや、入ってもらうことに成功した僕は、「急げよ、キモ勇者!」と急かされながら、アンティークワンピースの背中に手を伸ばし、チャックを降ろす。肩からスルスル脱いで、足元にワンピースを落した。
 続いて白いタイツを腰から降ろす。
 するする降ろすと、両足に黒いポツポツが、男性特有のスネ髭が正体を表したのだ。

「さいあく……」

「いやあ……」
 
「苦笑いすんな。けなしてんだし」

 相変わらずの口の悪さだけど、顔が仄かに紅色だ。
 恥ずかしいのかな。

 白タイツもワンピの隣に脱ぎおいた。赤ちゃんハットと、首に巻いていた花がら模様のヒラヒラバンドも取る。
 僕は上半身ランニングシャツ、下半身トランクスパンツだけになった。 

「その股間の《もっこり》をなんとかしろっつーの!」

 顔を両手で隠しながら、だけど指の隙間からしっかり両目が覗いている。
 見なきゃいいのに、と思いつつも言えるわけないし、僕はスミに置いていた服を着ることにした。
 
「なんとかって、ズボンを穿くくらしか出来ないけど」

「いいから、早くしろ、早く~っ!!」

 できるだけ急ぐ。
 急いだお陰で、ズボンのチャックがトランクスごと引っかかって、ぶるるるんと、おちんちんが顔を覗かせた。

「うわ~~っ! あたしに欲情しているうう――っ! アレする気だ。アレする準備だ。キモキモキモキモ!」

 いやいや、まだマックス君じゃないし。
 急いで竹の子の里をトランクスに収めて、慎重にチャックを締め直すが、やっている最中に愛里が踵を返し、トコトコ高速バージョンで部屋から飛び出していきそうなので、慌てて肩を掴んで止めた。
 当然ぎゃーぎゃー暴れだした。
 小さな拳を振りかぶって、僕の顔や胸にポコスコ当てている。
 殴っているつもりなんだろうけど、マークⅡの10分の1も痛くない。

「困ったな~」

 マークⅢは性的行為がよっぽど嫌いみたいだ。やれやれ。
 身体をよじってまたまた逃走しようとする。
 えーい、勘違いしないでくれよ! 
 無駄だと思いつつ、愛里を後ろから抱き上げた。

「マジ触ってるしー。レイプする気だーっ!」

 ミニスカートから伸びた脚がばたばたしている。

「落ち着いて愛里! とにかくじっとしてっ!」

 腕の中で愛里がグルリと体を交わした、その勢いで愛里の顔がドアップになる。
 僕の怖い顔面との距離わずか5センチ(測ったわけじゃなけどね)
 ぱちぱちぱち……。 
 瞬きをした愛里の身体、手足から、急に力がなくなった。
 目を閉じて、だらんとしている。と思ったら、突然電源が入ったみたいに、ムクッと復活した。

「あ――っ! 勇者さま――っ!」

 ひとつ、ふたつ高いトーンだ。

「わーい♪ 抱っこしてくれてるー。ラブラブモード、嬉しいかもーっ!」

 そのニコニコ顔。僕の顔を挟むように優しく添えられた小さな両手。
 両足を僕の脇腹にクワガタ挟みでロックしている愛里は、どう見てもマークⅢではなく、以前の愛里だった。

「も……もどった……? 戻ったのかっ!」

 やっと、やっと、ああ……待っていて良かった……。
 じ~んと熱くなる目頭を堪え、僕は愛里をそっと抱きしめ、艷やかな黒髪に顔を埋めた。

「もどっちゃったかも……、いやでも、ちょっとなんか……」

 耳元で独り言のようにつ呟いていた途中、ガクッと愛里の小さな身体が、何かが抜けたように崩れた。
 ぬいぐるみを抱いているような感じだ。

「うっぎゃあああああ――っっっ! キモキモキモ――!!」 

 またマークⅢに戻ったようだ。うーん。
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