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プロローグ
しおりを挟む全長200m以上。
横たわると山のように見える、その生物は大魔王バハダム・ド・ギガだ。
超越した魔力を持ち、あらゆる魔法を使いこなす彼は、銀河系の星々を破壊し、占領征服し続けてきた。
もちろん、無傷でではない。
過去に、何度も命を落としたが、すべて蘇生魔法により蘇る。
肉体が老いてゆけば、若返りの魔法を施してきた。
しかし、10000歳を突破した頃から、あらゆる魔法を受け付けない身体になっている事に気づいた。
大魔王といえど、歳には勝てないというのか。
10000年生きてもまだ命が惜しい。
生きることに執着している。
なんとしてでも、生きる。生きる。生きる。
そうじゃ!
習得している魔法で――、
自分に向けて試みたことはないが、アレじゃ。
アレがあった。
生き返るのが無理ならば、いっそ、リセットして新しい自分で蘇る。
大魔王を捨てて、別の種族に生まれ変わる。
――転生魔法。
これならば、可能じゃ。
間違いなく生を得る。
ただし、転生魔法は、転生先の種族を選べない。
魔族が魔族に生まれ変わるとは限らない。
下位魔族かもしれない、普通の動物かも、昆虫や草花という事も可能性としてある。
運任せなのだ。
それでも良い。
死んで無になるくらいなら、転生して蘇る。
余なら植物に転生しようが、その星を征服してみせるわ!
「よいか、皆の者。
転生した余に危険が迫れば、全力で余を守るのじゃぞっ!」
命がこと切れようとしていた大魔王は、自身を見守り続ける10人の魔王たち、側近の魔物たちに、そう命を告げた。
「「「「はは――――っっ!!」」」」
空気が震える、とでも形容してもいいだろう。
死に際とは思えない大音量に、魔王たちは一斉にひれ伏した。
頭部は上げない。上げれない魔王たち。
下げたまま最強主の語りに注意を凝らした。
「しかしじゃ。
余の転生先の環境を壊してはならん」
「は?」
生きていようが、死んでいようが、転生しようが、命魂という変わらないものがある。
命魂が身体に宿ると生命。
命魂だけ単独だと幽体と呼ぶ。
だから命魂は、個人そのものと言っても過言ではない。
その命魂だが、一般的な下位魔物だと、直径50cmくらいの球体だ。
より大きく、より黒色に近くほうが強い。
強ければ、あらゆる潜在能力が高くなる。
大魔王の命魂は20m級の黒色球体だ。
その余りにも大き過ぎる命魂は、どんな生命体に転生しようが、何処の銀河に生まれようが、魔眼を持つ上位の魔物たちには発見できるのだ。
――――魔王と側近の魔物たちは思っていた。
『転生した余に危険が迫れば、全力で余を守るのじゃぞっ!』
とは、大魔王様が転生した場所をいち早く見つけて、その地方一帯を我ら魔族が蹂躙し征服して、大魔王様をお守りする事だと。
しかし、転生先の環境を壊してはいけないとはなんだろう?
内心で首を捻っていた魔王と側近たちは、大魔王バハダム・ド・ギガ様の次のお言葉に感銘を受ける。
「余は、すくすくと自然に育つのが希望じゃ。
たとえ、余の為だとあっても、余に手を貸してはならん」
なんと!
降りかかる苦難は自力で解決する。
自分で克服してこそ、力が身に着く、強くなれる。
確かに、大魔王様の命魂は、そうやって大きく成っていったのだ。
「な、なるほど……」
深いお考えだ。
大魔界統一という偉業をなしただけはある。
「皆の者、
余を見守るのだ。見守り続けるのじゃ。
助けるのは余の命が危ない時だけ。
それはゴードン。お前に任せる」
「心得ておりますっ!!」
「ゴードン、お前は余の直属。最強の下部。
よいか、むやみやたらに関与してはならんぞ!」
10名の魔王たちに看取られながら、大魔王は死んだ。
「ゴードン。大魔王様を頼むぞ」
「お任せ有れ」
ゴードンは自分で命を絶った。
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