惑星を消滅させるほどの魔力を潜在させた少女が、その能力に気づかず、父の武具屋を継ごうとする話

草笛あたる(乱暴)

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プロローグ 2

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 ぴかっ!!

「「「「おおおおおっ!!」」」」

 魔王たちから、どよめきが沸き上がる。
 亡くなって直ぐに、20m級の黒色球体が光ったからだ。
 早すぎる転生。
 数秒と経っていない。
 流石は大魔王様。
 
「どこだ、どこに誕生したのだっ!」
 
 その場所とは――。

「むむむむっ!!?」

 人間界?

「なんでだ。どうして壁を突破できるのだ!」

 人間が支配する人間界と、魔族が支配する大魔界。
 ふたつは別々の世界で行き来はできない。
 完全分離した別世界。

 それは命魂めいこんも同じ。 
 大魔界で息絶えれば、大魔界の何処かの星の種族に転生するのが大原則。
 大魔王は、大魔界の生命体で誕生するはずだったのだ。
 
「大魔界ではないのか」

「そ、そのようだ……」

「前代未聞の事態だ」

「はっはっはっ! 皆さん、何故深刻な顔をしておる? 
 大魔王様が人間界に降臨されたと考えればよいではないか。
 むしろ喜ばしいことであろう!」

「何をいう!! 我らは大魔王様にお会いできないのだぞ!!」

「忘れたか。開通ゲート魔法を」

「そ、そうか」

 例外がある。
 人間界と大魔界、
 お互いの世界が、同時に開通ゲート魔法を使えば通過可能だ。

「もうすぐ、向こうの大魔王様が開通魔法を使われるであろう。
 我ら魔族が人間界も支配できるわけだ」

「おおおお!! 流石は大魔王様!」

「そんなことは、一言も聞いてないぞ」

「転生魔法は運まかせ。大魔王様でも狙って転生したわけではない」

「運よ、運。大魔王様の強運が、人間界と大魔界の壁を突破したのだ!!」

「そうか。そうだ、そうだ!!」

「よし、ならば、こちらも開通魔法を念じる準備を」

「ふっふっふっふ……、
 人間界は、見ることしかできなかった。手も足も出せなかった。
 それが、大魔王様が渡ったことで可能に……」

「よいか皆の者っ!! 空も飛べない人間どもの星など、半日で蹂躙ぞ」

「全軍に指令!! 人間どもを血祭りにする。
 開通したら、食らいに行くぞっ!!」

「「「「おおおおおおおお――――っっ!!」」」」

 臨戦態勢の魔王たちだったが、一向に大魔王様より応答がない。
 2時間待っても。
  
「ま、まさか……」

 魔王のひとりが調べたところ、ある問題が判明した。
 この転生には重大な問題があったのだ。

 大魔王様に記憶がない。
 記憶を全部忘れての転生。

「なんで?」

「わ、分からぬ」

「さっぱりじゃ、これはいったい……」

 本来ならご記憶を保ったまま生まれるはず。
 それが転生魔法なのだから。

 そもそも、10000年も生存された大魔王様は蘇生魔法も若返り魔法も効果が無かった。
 だから、転生魔法も不具合が起きて当然かもしれない。

「開通魔法はどうなる」

「ご記憶がないのだ! 開通魔法どころか、全ての魔法が使えない状態」

 潜在能力としてはあるのに、それを開花させる手段も知恵もないのだ。

「それは、つまり……生まれ変わりのみ」

 大魔王様なのに、ただの人間。

「おぎゃあ、おぎゃあ、言っとられるが……」

「赤子だからのう、泣くのが仕事じゃ」

「直ぐに死んでしまわれるやもしれんっ!!」

 大魔王が生まれた地域は、医療、環境レベル共に低い。
 生後間もない幼児の死亡率は50%を超えていた。

「そうじゃ! ゴ、ゴードンはどうしたっ!! 
 大魔王様と共に転生魔法を受けたから、転生した場所は同じだ。
 ヤツに開通魔法をっ」

「無理だ。ゴードンは下部としては最強だが開通魔法は獲得していない」
 
 おぎゃあ、おぎゃあ!

 元気な鳴き声だけが、目が小さな点になっている魔王と側近たちに届いていた。


 
 
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