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赤ん坊
しもべゴードン
しおりを挟むゴードンはウイングドラゴン族の上位だ。
最も大魔王の信頼を得ていたので、大魔王が共に転生魔法をかけたのだった。
同時に転生魔法を行うと、同じ場所に転生する。
その仕組みを利用して、転生先で、ゴードンにサポートをさせる。
思惑通りゴードンは、大魔王の転生地点から10km離れた森の中に生まれていた。
全長1mの卵として。
母親である全長20mの飛竜は、排卵の疲れでぐったりとしている。
ところが、異変に気付く。
産み落としたばかりの自分の卵に亀裂が走ったのだ。
みるみる殻が破れてゆく。
内側の子供が自らのくちばしで破壊しているのだった。
唖然としている親ドラゴンは、たった3分で自分の1.5倍の全長30mに膨れ上がった子供を見上げた。
「お前が我を産んだ親か。あまり見かけない種。飛竜か」
「くけーっ! ぎゃぎゃぎゃっ!!」
「うむ? どうした。話せないのか」
飛竜は逃げるように飛び立っていってしまった。
「はて?」
まあ良い。
それにしても、|我(われ)は……。
前世がウイングドラゴンだったから、近い飛竜になったようだ。
身体性能は劣るが、前世の半分くらい魔法は使えるようだな。
文句はいうまい。
植物や昆虫に転生しなかっただけでも、|我(われ)はラッキーなのだと思おう。
己の能力に満足したゴードンが、ゆっくりと辺りを見回す。見上げる。
木々の枝葉の隙間から差し込む光。
空が青いのに違和感を抱いた。
直視できないほど輝く星が、眩い光を放っている。
「何処だ、ここは?」
飛び立ち、眼を下にやれば、大魔界と違う民家が点在している。
農耕をしている小さな生物は……、人間?
文献にある人間界に似ているが。
ここは、大魔界……ではない?
いや、そんなことより、大魔王様は何処だ。
真っ先に魔眼で、黒い球体を探した。
命魂の殆どが1m以下の大きさだ。
20m級は大魔王様以外に存在するわけがない。
遠方の城の近く、家々に重なった巨大な黒半球体を見つけた。
直行する。
ぶわさっ、ぶわさっ!
ゴードンは全長30m、翼を広げるとその倍近くにもなる。
飛行すると、できた風で木々がなぎ倒され、川が氾濫した。
なんと、もろい作りだろうか。
やはりここは人間界。間違いない。
大魔界の魔王様たちが見下しておられる人間界だ。
どうして我々の命魂が壁を突破したのかという疑問が残るが……。
ゴードンの前方だ。
防壁に守られた直径5kmの円形都市。
大魔王様の命魂と思われる黒い球体が、都市の中央にそびえる城よりも遥かに高く盛り上がっている。
太陽の光を透過させキラキラ輝いていた。
「おおお! 美しい」
このような光景は、大魔界ではない。
人間界はなんとも、美しいものだ。
円形都市に到着したゴードンは、緒を探した。
巨大命魂から伸びる緒が、生まれたばかりの大魔王様に繋がれているはず。
長い緒は、密集した家屋に続いていた。
――――人間の病院だろうか?
不思議だ。
どうしたことか。
我が全長30mの飛竜に転生したのだから、大魔王様は、前世の200mとは言わないまでも、人間界の最強種になられたはず。
このような窮屈な場所に巨大ボディが収まるとは思えないが。
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