陰からの護衛

グランラババー

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1章・幼少期

寂し過ぎる城に活気求む

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 「孤児たちの雰囲気がその領地の雰囲気になる」という格言があるならば、我が領地は他領に自慢できるであろう。
 飾り無くして言えば、子どもたちは今日も元気である。そう、子ども体力だったっけ?遊んで、また遊んで、また遊んで、そして急に寝る。さっきまでの喧騒が嘘のように、一気に静かになる。


 俺は、そんな子どもたちがいる孤児院にある提案をするために、屋敷にある一張羅を着ている。基本、俺の姿は家の中だとシャツ一枚とズボンで完了。外出時は、基本的にコソコソすることしかしていないので、全身を包む黒ローブを着る。つまり、着飾ることがない。貴族ならば、社交界などがあるため嫌でも着飾ることになるが、俺は自慢じゃないが一度たりとも社交界とかお茶会に出たことがない。
 そもそも、貴族の間で俺の存在が知られているかすらも怪しいのだが。そう、出席以前の問題として存在がないとされている可能性大である。
 そんな似非貴族の俺の屋敷にも、いかにも貴族らしいと言える、ヒラヒラした服があった。びっくりだね。びっくりしたが、そういえば自分で買ったんだった。俺の一端の貴族だからね。1回だけ、ザ貴族みたいな服を着たかったんだよ。
 でも、これを買ったの1年前なんだよね。この歳の1年って、かなり身長が伸びるはずなんだよ。少し大きめの服を買ったとはいえ、未だに着れることを考えると、俺ってあんまり大きくなっていないってこと?ピエンですまないほど、悲しいんだが。


 孤児院に着くと、まずは子どもたちの歓迎が待っていた。歓迎って言っても、基本突進してくるだけだが。その後、院長の30代ぐらいの女性が姿を現す。その人は俺の服装を見て、ただ単に遊びに来た訳では無いと理解したみたいだね。いつもなら子ども達と遊ぶところを、今回は挨拶だけで切り上げて、静かに会話ができる奥の部屋に案内してもらった。


「今回は、リューイではなく、リューイ=ブランドとしてこの孤児院を訪問したことを留意下さい。」

「かしこまりました。では改めまして、私当院で院長を務めておりますフィアと申します。ブランド様、本日はどのようなご用件でしょうか。」

 フィアの返答を皮切りに、俺は屋敷で考えてきた提案を伝えた。孤児院を立て直すのではなく、孤児院ごと俺の屋敷に移ってもらうこと。これには、喜んで同意を得られたよ。意外と俺のことは信用されていたみたいだね。
 一応、何を目的としているかも話しておかないとね。あとで、何が問題になるかわからない。もちろん、メリットは人材不足を補得ること。即戦力ではないけど、ハッキリ言って、このブランド領は評判が良いわけではないから、募集したとしても仕えたいという人が来る可能性は低い。それに、もしきたとしても杜撰な管理を見せれば、隙をついてこちらが痛手を負う可能性もある。いや、それを目的に人が来るって考えた方が妥当かな。
 その危険とか、あとは俺の心の安寧を考えれば、この回りくどい人員補充もメリットたり得るってことだよ。
 俺、交渉とかは全て武力行使だったから、これが見本となる交渉かはわからないけど、望む結果だったので、全てよし!
 これが、「結果良ければ全て良し」なんだね!

 
 それから、孤児たちの移動はすぐに始まった。ほんと、いつ崩れるか分からないぐらいの老朽化だったからね。みんな、すぐにでも移動したかったに違いない。
 部屋はたくさんあるんだけど、子どもたちはこんな大きな家で泊まったことがなくて怖いとかで、一部屋で寝ることにしたみたい。


 その夜、フィアを含めて5人で俺の執務室に集合した。

「フィア、あなたにはここの侍女長としても働いてもらうよ。少し調べたけど、伯爵家のご令嬢なんだね。」

「やはりご存じだったのですね。あの子たちの安全を確保してくださった恩、しっかりと務めを果たしお返しさせていただきます。」


 これについては、もともと考えいたこと。人員補充と一緒に、使用人を統括できる者を一緒くたに囲えると思って彼女が運営する孤児院に話しかけたから、すんなり要望が通って良かったよ。

「じゃあ、当面は教育をみんなで分担しようか。」

「あと、バルは人が増えたから、いつもより少し多めに狩りをして、冒険者ギルドで売買してきて。」

「「「「御意」」」」

 はー、これで公爵家からは自立して屋敷が回せるようになってきたね。公爵家からは定期的にお金が送られてきてたけど、使用人の強制解雇を機に送り返すことにしたよ。
 薄情なことに、一回送り返してからはもうお金が送られることは無くなったんだよね。
 そろそろ、暗殺しながら用心を守るとかやってみたいな。だって、武力向上の目的は陰からの護衛だよ。そろそろ、そっちも着手しようかな。
 何やれば良いか分からないけど。
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 これで第一章は終わりです。
 第二章からは、会話文を多くしたりして、話を面白くできたら良いなと思っています。新たな攻めも早速登場させたいと思います。
 次の攻めは、定番ですが王族とかにしようかな?と思っています。
 第二章の前に、幕間があります。気長にお待ち下さい。
 今後も、よろしくお願いします。
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