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序章
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熱い‥
次に目覚めた時にも、僕の身体は忌々しい熱に浮かされていた。
「ん‥」
ベッドが、違う‥
朝日…
もう朝なのか。
ああ、そうか。昨夜大学病院へ検査をしに行って、
ああ、そのまま僕は入院したのだろうか。
「起きたか。」
ひどく優しい声が
斜め上から聞こえた。
だけど、
誰だろう
この声どこかで
「‥っ!」
何故、樂鴈寺 真宗がここにいる。
「‥ぁ‥‥」
声を出そうとしたら喉の奥が引っ付いたように声が出せない。
「声が出ないのか。よし今、水をやろう。」
その前に何故貴方がここに‥
ちょっと待て
そのコップの水は僕に飲ませようとした水だろう。
何故貴方がコップに口をつけている。
樂鴈寺 真宗が、
口に水を含んだまま僕に近づいてくる。
ま、まさか‥!
「っ‥‥」
咄嗟に逃げようとした僕の右手首を樂鴈寺 真宗が掴んで、もう片方の手が僕の顎を掴んで自分の方へ向けた。
そして彼を見上げる体勢になった僕の口に彼の唇が近づき、
重なった。
これは悪夢なのだろうか。
掴まれた手首に感じる彼の体温、
僕の唇に重なった熱く柔い皮膚の感触、
少し生温くも冷たい水が口内を潤す感覚。
水を流し込むためにこじ開けられた唇に彼の舌がニュルリと触れて‥
「っ!!や、やめてくれ!」
生々しい感触に これが現実だと悟った僕は力の限り樂鴈寺 真宗を突き飛ばした。
「‥萩、」
突き飛ばされた樂鴈寺は悲しそうに僕を見た。
生憎、
彼に親しげな名前で呼ばれる筋合いはない。
突き飛ばしたのも正当防衛だ。
「貴方は、一体何のつもりだ。」
「愛しい番だ。触れてなにが悪い。」
番‥
「君は僕を誰かと間違えてるんじゃないのか。」
「馬鹿を言え。匂いも顔も声も合っている。間違えるはずがない。」
ネジが外れた発言をよくもそんな堂々と。
「君の番が、僕だと言いたいのか?」
「ああ、そうだ。」
「生憎、僕はアルファだ。
僕と君が番うことはない。」
一体何の茶番だ。
精神疾患にでもかかっているのだろうか。
ああ、そういえばここは大学病院だった。
なんだそういうことか。
それなら直ぐにナースコールでこの人を連れて行ってもらおう。
そう思った時、静かな病室のドアがガラッと音を立てて開いた。
「目覚めたんだね。」
母様‥
昨日ぶりに見た母はどこかやつれて見える。
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