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終わると始まる
しおりを挟む「その考えが甘いんだよ!」
そう言って少年は、手を差し伸べた少女に剣の先を向けた。
「この女は俺を、悪を許そうとした!それは罪だ!罪には罰を与えなくてはならない!」
カッ、と目を見開き奇声を発しながら、少年は芝居掛かった様子で大袈裟に剣を振り上げた。
「天の裁きをォオオオ!!!!!!」
「やめろ!!!」
しかし、その剣が降り下ろされることはなかった。その前に、少女の後ろで様子を見守っていたもう一人の少年の手から放たれた光の矢に、少年の心臓は貫かれたのだ。
その日、光の精霊の加護を受ける勇者と、聖なる泉より生まれし巫女が、悪を滅ぼし世界を救った。
いや、本当は世界が救われたかなんてわからない。
だって"わたし"はそのあとのことなんて知らないから。
一つの夢が終わる、つまり俺が死に物語の修正が完了すると、また僕は生まれた。
その村では不吉とされる黒い髪と紅い瞳をもって生まれた僕は、本来ならその場で殺されるところを母親が躊躇い、それならば、と魔物が出ると言われている森に捨てられたのだ。
そこで、魔狼と呼ばれる狼のような姿をした魔物に拾われ育てられた。
母さん曰く、最初は食ってやろうと思っていたらしい。ただあまりに小さかったので少し太らせてから食べようと思ったんだと、笑いながら言われた。
それから母さんは、この髪や目の色のことも教えてくれた。
何でも希に人間でも魔力が魔族並にある者が生まれるんだそうだ。
そういった人間はたいてい髪が黒いか瞳が紅いかしているらしいが、僕はそのどちらも持っているからうまく扱えるようになればかなり強くなれるらしい。
何もせずに母さんたちの言葉がわかるのもそのお陰らしいので、僕はこの力に感謝した。
母さんも兄弟たちも、とても優しかった。とても温かかった。
髪や目の色だけで子供を捨てるような人間なんかと違う。姿形が違っても、本当の家族のように接してくれる。だから、僕は寂しくなんてなかったし、捨てられたことに対しての恨みもなかった。
人間に、家族を殺されるまでは。
理由は魔物だから。
人間なんか襲ったことがない僕の家族を、魔物だからという理由で殺した人間。
ならば僕は、家族を殺したと人間と同じ人間という理由で、すべての人間を殺そう。
10歳の誕生日を迎える前のある日に、僕はそう胸に誓った。
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