BL(?)短編集

土田

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あかさたな

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「亜夏!咲太!ご飯よ!」


母さんの声が聞こえ目が覚めた。
どうやらあれからずっと寝ていたらしい。

まだ寝呆けている俺はふらふらと立ち上がり、もたつきながらもジャージとTシャツに着替え部屋のドアを開けた。
と同時に隣の部屋のドアも同じように開いた。

こういうとこ双子だよなぁなんてしみじみ思っていると、いつのまに俺の前に来ていた咲太がにこっと笑い俺の頭を撫でた。


「寝癖、可愛いね。」


もうげんなりだ。
一瞬で顔をしかめた俺はご機嫌なキザ野郎の横を無言で通り過ぎ、両親のいるリビングに向かうべく階段を足早に下りた。
勿論、後ろから同じ歩調でヤツも着いてきたが。

1階に降りリビングへの扉を開けるといい匂いが鼻を突いた。


「早く運んでぇ!」


俺達が来たのがわかったのか、奥にある台所から母さんが言ったので、俺は直ぐ様そっちへ足を運ぶ。
俺に続いてリビングに入った咲太は迷わずに父さんの隣の席に腰を落ち着けた。

これはもう毎度のことだが、やはり奴が手伝わないのは腹が立つ。
だからといって「手伝え」と言うと、手伝わない理由を欝陶しく語ってくるから言わないが。

昔はちゃんと怒ってたんだ。
父さんも母さんも俺も。
だけどその度に、「亜夏との新婚生活を想像してる」という内容の言い訳を延々と話されるのだ。
それにまず父さんが脱落し、続いて母さんもリタイア。
俺は最後まで粘ったが、俺が怒る、と言うか構うと喜ぶこのバカにとってそれは逆効果で、匙を投げる他なかった。

まぁ別に家族4人分の料理なんて大した量じゃないので運ぶのは苦じゃないが、ただただムカつくのだ。
だから我慢できないことじゃない。


「ほらよ。」


少し乱暴にニコニコとご機嫌な愚弟の前に母さんの手料理を置く。

これは俺の細やかな抵抗だったりする。
そんな用意に想像などさせてやるものか。


「今日も美味しそうだね。」

「母さんお手製だからな。」

「料理じゃなくて、亜夏が。」


もう言った本人を除く家族一同、どん引きだ。


「と、ところで!二人とも入学の準備は進んでるか?」


この空気を一掃すべく父さんが頑張った。


「あぁ、俺はほぼ終わってるよ。」

「そうか。さ、咲太は?」

「…俺は後亜夏が行く学校を調べればお終いだよ。」


さっき迄の機嫌の良さを一変させ、ギロ、と父さんを睨み付ける咲太。
その反応は俺を心底安心させた。
どうやら本当にまだ俺の行く学校がわかってないらしい。


「いい加減教えろよ!」

「嫌だ。」

「一緒の学校じゃないのはこの際仕方ないけど、せめて一緒に登下校したい俺の気持ちわかってよ!!!」

「わかるか!!!」


こんな何度目かわからない、下らないやり取りをしながらもせかせか料理を運んでいた俺。
テーブルの上には美味しそうな料理が出揃っている。


「ほら、もう食べるわよ。亜夏も座って。」


母さんに言われ、不毛な言い争いを止め席に着いた。


「はい、いただきます。」

「「いただきます。」」

「…………。」


咲太が不機嫌を全面に表すように不貞腐れ挨拶をしなかったため、嫌な空気を漂わせながらの食事となった。


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