貴方のために

土田

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「あ、あの、皆…」

「今日だって、転入生に僕たちがやってる仕事を見せようとしたんです!」

「なのに俺達の、隊長の苦労も知らないで、アイツ!」

「お前等みたいな人のこと考えられないバカな奴等のやってることなんてくだらないに決まってるって!!」

「カッとなったところを、迎えに着た生徒会の皆さんに…」

「説明しても聞いてもらえなくて…僕達が、悪いんだって…」

「そう、だったの…。」


こんな思いだったなんて知らなかった。
それなのにボクは、何の話も聞いてやらなかったんだ。
皆がどれだけ悔しい思いをしたかなんて考えもしないで、ただ耐えさせてしまった。


「皆ごめん!!ボクがもっと皆の話を聞いてれば…」


勢い良く頭を下げボクが言うと、周りが一斉に慌てだした。


「違います!僕達が隊長には言わないでいたんです!」

「これ以上隊長の負担を増やしちゃいけないと思って…!」

「隊長は俺たちが出来なかった分の仕事を寮に持ち帰ってやって頑張ってるんだからって、皆で相談したんです!」

「正直、僕達もう生徒会に嫌気がさしてたんです。」

「最近の生徒会はとてもじゃないけど尊敬は出来ないし、魅力も感じません!」

「それでも頑張ってこれたのは隊長のお陰なんです!」

「隊長が頑張ってる姿を見て、俺達もやらなきゃって!」

「今では隊長が俺達の憧れなんです!!」


ワンワンと声を上げながら次々と男泣きをしだす隊員たち。
衝撃の事実だ。
まさか、そんなことになっていたとは。
信じがたい。
でも、彼らが嘘を言ってるようにも見えない。

いつのまにやらお飾りから昇格していたのか。
知るのが遅すぎたようだ。
ボクは彼らの思いを知ろうとしなかった。
それは罪だ。
罰は受けなくては。


「皆が、そんな風に思ってくれていたことがわかっただけで、ボクは嬉しい。ありがとう。」


一言一言を噛み締めるように言い皆に向かい深々と礼をする。
するとぽたぽたと液体が足元に落ちたのが見え、直後一気に視界が霞んだ。

あぁ、ボクは泣いているんだ。

少し悔しくて。
でも嬉しくて。

こんな気持ち久しぶりに感じた。
人からの好意がこんなにも心地いいなんて。

でもいつまでも浸っているわけにはいかない。
ボクには時間がない上にやることはまだあるのだ。
涙を払うように勢い良く頭を上げ、払いきれなかった分は袖で拭き取った。


「皆に、聞いてほしいことがある。」


深呼吸をして腹の下辺りに力をいれ踏張って立つ。


「ボクは、皆のことを信用できてなかった。」


皆からの視線に倒れそうだ。


「ボクは指名された当初、お飾りで選ばれた隊長だった。それは今も変わらず、皆も同じに思っていると、決め付けていた。」


だけど目を伏せてはいけない。


「だから、いつか誰かが制裁をするって思っていた。ボクの替えは、いくらでもいる。」


一人一人の顔をしっかりと見つめて。


「周りから目を背けて、自分も辛いんだとそれを正当化して、変化していってることに気付かなかった。」


以前とは違う皆をしっかりと。


「皆に偉そうなことを言ったけど、ボクも転入生と同じなのかもしれない。」


今度こそ、間違わないように。


「皆を信じることが出来なかったボクは、隊長失格だ。だから、きちんと罰を受ける。」


隊員の尻拭いではなく、これはボク自身への罰なんだ。


「そんなボクが言うのも申し訳ないけど、最後に皆にお願いがある。」


ボクへの罰は決まった。
あとはアイツ等に、だ。


「ボクは、皆が思ってくれてる程良い奴じゃない。だから、アイツ等にもなんとか思い知らせてやりたいと思ってる。そんなボクでも、もしついてきてくれるなら…」

「当たり前です!隊長!」

「隊長は、僕等の隊長なんですから!」

「俺達の思い、見せ付けてやりましょう!」

「最後まで着いていきます!隊長!!」


心の底から、隊長になってよかったと思えた。
その職を、手放すのが惜しいほどに。


「皆…あり、がとう…。」


だからせめて、最後は格好良く散ろうじゃないか!


「では、親衛隊による制裁を行う!」

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