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あれから色々と準備をし続けて、休む間もなく翌日の放課後になった。
そろそろ終わりの時間だ。
この学校にいるのも今日が最後だと思うと、やはり淋しさが募る。
でも、コレは自分で決めたこと。
そう自分を奮い立たせ、講堂へ向かうべく部屋を出た。
「隊長…」
…何が起こったんだ?
何で、目の前にあの人が…
「隊長、あの…」
「え!?あ、あぁ…どうしたの?何か、不備でも?」
「いえ、準備は無事済みました。」
「そう…。」
目の前にいるあの人は、なんだか暗い。
何があったのか気になる。
けど、自分の心臓がやばいくらい煩くて、それどころではないのも確かだ。
ボクは今、隊長らしく振る舞えていますか?
「ボクの方も、準備は整ったよ。だから、もう行こうかと…」
「あの!」
「ッ…なに、かな?」
落ち着け、落ち着けボク!
大丈夫!もう何も怖いものなんて無いだろ!
「隊長は、昨日、俺たちの所為ではないと、言いましたけど…切っ掛けを作ってしまったのは、俺たちで…だから…」
ボクが昨日何だって!?
あぁ、大好きな声なのに内容が頭に入ってこない。
「昨日は、言うことが出来なくて…今日が最後だから…虫の良い話しだとはわかってます。でも、言わないと…」
いったい何を言われるっていうんだ!?
怖い!怖い!怖い!!
もう泣いてしまいそうだ!
「隊長!」
「ハ、ハイ!!」
「本当に、すみませんでした!!!」
は、い?
何故、彼は頭を下げて、いるの?
「昨日あの盛り上がりのなか、最後まで言うことが出来ずにいたので、どうしても言いたくて…本当に、申し訳なく思って…」
な、んだ…
なんだ、そういうことか…
本気で心臓止まるかと思った。
好きな人からの言葉は心臓に悪い。
皆も、彼も、そうだったんだ。
「じゃあ、許すよ。」
「え?」
「貴方は昨日のこと、後悔しているんでしょ?」
戸惑いながら小さく頷く彼に、少し嬉しくなる。
だって、彼のことがわかるんだ。
ずっと見てきた中で、彼を知って、ボクは彼を理解できている。
「ボクは謝ってもらう理由なんて無いと思っているけど、貴方が折角謝りに来てくれたんだ。気にしてないなんて言ってお終いにしてしまったら貴方はずっと後悔してしまう。」
「違う?」と聞いてみると、彼はまた小さく頷いた。
「だからね、ボクは許すよ。貴方のこと。それに、他の皆のことも。」
彼は誰より優しくて、責任感の強い人。
隊の為を思ってやった行動を、誰も責めはしないのに、こうして来てくれた。
その事を嬉しいと思ってしまうのは、ちょっと悪いだろうか。
「さぁ!もう時間だよ!ボクの最後の晴舞台、しっかり見てよね。」
特に、貴方は。
とは言えなかったけれど、彼はきっと見てくれる。
だって貴方はそういう人。
ボクが一番よく知ってるんだから。
いつの間にか重い気持ちはなくなり、軽い足取りで次に進める気がした。
そろそろ終わりの時間だ。
この学校にいるのも今日が最後だと思うと、やはり淋しさが募る。
でも、コレは自分で決めたこと。
そう自分を奮い立たせ、講堂へ向かうべく部屋を出た。
「隊長…」
…何が起こったんだ?
何で、目の前にあの人が…
「隊長、あの…」
「え!?あ、あぁ…どうしたの?何か、不備でも?」
「いえ、準備は無事済みました。」
「そう…。」
目の前にいるあの人は、なんだか暗い。
何があったのか気になる。
けど、自分の心臓がやばいくらい煩くて、それどころではないのも確かだ。
ボクは今、隊長らしく振る舞えていますか?
「ボクの方も、準備は整ったよ。だから、もう行こうかと…」
「あの!」
「ッ…なに、かな?」
落ち着け、落ち着けボク!
大丈夫!もう何も怖いものなんて無いだろ!
「隊長は、昨日、俺たちの所為ではないと、言いましたけど…切っ掛けを作ってしまったのは、俺たちで…だから…」
ボクが昨日何だって!?
あぁ、大好きな声なのに内容が頭に入ってこない。
「昨日は、言うことが出来なくて…今日が最後だから…虫の良い話しだとはわかってます。でも、言わないと…」
いったい何を言われるっていうんだ!?
怖い!怖い!怖い!!
もう泣いてしまいそうだ!
「隊長!」
「ハ、ハイ!!」
「本当に、すみませんでした!!!」
は、い?
何故、彼は頭を下げて、いるの?
「昨日あの盛り上がりのなか、最後まで言うことが出来ずにいたので、どうしても言いたくて…本当に、申し訳なく思って…」
な、んだ…
なんだ、そういうことか…
本気で心臓止まるかと思った。
好きな人からの言葉は心臓に悪い。
皆も、彼も、そうだったんだ。
「じゃあ、許すよ。」
「え?」
「貴方は昨日のこと、後悔しているんでしょ?」
戸惑いながら小さく頷く彼に、少し嬉しくなる。
だって、彼のことがわかるんだ。
ずっと見てきた中で、彼を知って、ボクは彼を理解できている。
「ボクは謝ってもらう理由なんて無いと思っているけど、貴方が折角謝りに来てくれたんだ。気にしてないなんて言ってお終いにしてしまったら貴方はずっと後悔してしまう。」
「違う?」と聞いてみると、彼はまた小さく頷いた。
「だからね、ボクは許すよ。貴方のこと。それに、他の皆のことも。」
彼は誰より優しくて、責任感の強い人。
隊の為を思ってやった行動を、誰も責めはしないのに、こうして来てくれた。
その事を嬉しいと思ってしまうのは、ちょっと悪いだろうか。
「さぁ!もう時間だよ!ボクの最後の晴舞台、しっかり見てよね。」
特に、貴方は。
とは言えなかったけれど、彼はきっと見てくれる。
だって貴方はそういう人。
ボクが一番よく知ってるんだから。
いつの間にか重い気持ちはなくなり、軽い足取りで次に進める気がした。
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