夏から夏へ ~SumSumMer~

崗本 健太郎

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第46話 楽しい川遊び

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*パンをほっておいたら――の話
 小学生あるあるだと思うのだが、給食で出てくるパンを食べきれない時に半分だけ持って帰るという裏技が可能であった。そのパンは持って帰って家で食べるのだが、荷物が多い日にめんどくさくなって持って帰らないことがあった。教室の後ろに3段になっている生徒用の荷物入れがあるのだが、自分のロッカーに袋に入れたまま放置して、そのまま忘れて3ヶ月くらい経ってしまったことがあった。

 ロッカーの中で袋を発見した時、中を見るのが怖いのでさらに一週間放置した後、意を決して中を開けてみた。見るとパンが石化していて、これで釘が打てるんじゃないかってくらい固くなっていた。周りの友達に見せたら

「アホやろお前」
と笑われたが、ごみ箱に捨てたら怒られそうなので、家に持って帰ってこっそり捨てることにした。それからはロッカーに余計なものを入れるのはやめようと固く誓い、授業が終わって使っていなかったピアニカや、工作の際に出たちょっとしたゴミを捨てるなど、積極的にロッカー整理にいそしんでいた。


*楽しい川遊びの話
5年生の2学期ごろ、同じクラスのけんちゃんとさとうと一緒によく遊んでいた時期がある。やっていたことは主に3つあって、一つは普通に家におじゃまさせてもらって遊んでいたことである。
当時、爆発的に流行っていた『ポケモン』を、攻略本を見ながらレベルアップさせて技を選んでいるのを見て、賢いなと思って感心していた。ぼくは目が悪くなるからと言われてゲームボーイは買ってもらえず禁止だったので、けんちゃんに

「ええやん、ちょっとくらいやったって平気やって」と言われても、
「いや、ダメって言われてるから」と頑なに拒否していた。
二つ目はけんちゃんの家の近くの川で遊ぶことだった。この『天上川』は、阪急電車の高架下から学校の西側を通ってJR、国道2号線、阪神電車の高架下、国道43号線を通ってずっと南まで伸びて海まで流れ込んでいて、地元民にはお馴染みの川なのであった。

石畳の上を水が流れているような凄く浅い川で、野生のイノシシが可愛く昼寝していたり、子連れで歩きながら我が物顔で闊歩していたりするのであった。ここは川べりの高さが5mほどあり、コンクリートに打ち込まれた梯子を下って行くくらい深いところで、いくつかのトンネルが存在していた。

途中でワッフルのような網目があり、奥までは行けないようになっているのだが、途中までは子供の足でも行くことができていたので、探検と称して散策していた。『鉄砲水』が危ないので雨の日は避け、先へ先へと進んで行くと、暗くて怖くてどこまでも続いていそうで、もう二度と帰って来れないんじゃないかと思うほどであった。

探検の他には、その『天上川』の支流の小さな川でカニを取って遊んだりもしていた。カニは横にしか歩けないというイメージが先行していたのだが、実際に捕まえてみるとそんなこともなく、縦や斜めにも動き回ったのでかなり驚いた覚えがある。

 最後の一つはかんちゃんの家でやる『マンション内鬼ごっこ』だった。ほんとはダメなのだが、その頃はまだそういうところが緩かったこともあり、屋内だが走り回りながらやっていた。鬼になった時にエレベーターの中にしゃがんで入って見えないようにして近づき、エレベーターを待っている子に奇襲を仕掛けてタッチしたり、外にある共用部分のベランダを飛び降りて逃げたりと、なかなか楽しい遊びだった。

今にして思えば、小学生の時にこうやって友達と外で遊んだり、生き物を捕まえたりして遊んだことが、大人になってから貴重な経験として記憶に残っていて、人生を彩ってくれているように思う。

2010年代くらいになると、公園でボールを使ってはダメだとか、大きな声を出してはいけないとか、子供が自由に遊べる環境が少なくなって来てしまっていると思う。子供が楽しく遊べるような環境を創るためにも、少々のことには目をつむり、昭和のころのような寛容さを取り戻すようになるべきではないだろうか。


*ならはしとの話 
5年生の時に楢橋さんという子が居て、その子は明るくて人当たりがよく、みんなに人気の子だった。男子の好意が集中していて、後に開催された同窓会の暴露大会で昔誰が好きだったか言い合った時に数人がこの子を選んで被ったりもしていた。ぼくも御多分に漏れず好きになっており、他愛もないことを話すのが楽しかったりした。

この子とは図工の授業で席が近かったので話すようになり、兄貴と父親が喧嘩になった時に、自分が買ってもらった注射器のオモチャを父親が兄貴の腕に刺して引いたという話を聞いたりしていた。

 この子だけが呼んでくれていたあだ名があって、それが岡本なので『おかぽん』というものだった。そのことでちょっとした優越感のようなものがあったのだが、小学生の時のつたなく淡い恋にありがちな話で、特に何もないまま卒業を迎えることになった。


*個性があるということの話
5年生の時に藤川さんという女の子と同じクラスで、習字の授業の時に揉めた話があった。習字では墨を入れる硯に水を入れ、固形墨と呼ばれる墨を固めたものですって墨にするという方法を取っていたのだが、ぼくはその日は墨汁を入れていたのでそれをやる必要はなかった。

だが、ふじかわは何を思ったのかぼくの硯に水を入れてしまい、せっかく作った墨汁が薄められてしまった。ぼくはそのことでかなりムッとして、
「おい、勝手に入れんなよ!」
「いや、自分のとこに入れたで?」

恐らくふじかわはボーっとしていたので、隣の席の自分の硯に入れたようなのだが、全く悪びれず謝りもしなかったので、言い合いになってしまった。

この子はいわゆる優等生と呼ばれるような子で、手の下にティッシュを敷いて手が汚れないようにしたり、率先してできていない子の面倒を見たりと周りや先生からの評判も良かった。ただ、正しいと思ったら譲らないようなところがあったため、僕とはこんな風にたびたび喧嘩になってしまっていた。
クラスには高島と谷のような面白い子も居て、この二人はかなり気が合うのか、

「おっさんやん」
「なんでや、美少女やろ!」
といったコンビのような掛け合いができていた。例のならはしとも仲がよくて、この子らがいるといつも教室が、にぎやかしい感じだった。

あと、頭のいい子としては、中島さんという女の子に、パンを口に入れた後に牛乳をで流し込むと食べやすいということや、野菜はキャベツやニンジンやなど、それ自体だと不味いと感じるものは、肉と一緒に食べればいいということを教えてもらったりもした。

いずれにしても何の特徴もない子というのは印象に残りにくいもので、人生を送る際には普通などという妄言にまどわされることなく、自らの道というのは何なのかというのを意識しながら進むことが重要であると考えられる。




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