夏から夏へ ~SumSumMer~

崗本 健太郎

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第47話 自然学校

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*自然学校の話 ( 前編 )
5年生の時の一番大きかった体験と言えばやはり『自然学校』になるだろう。これは5泊6日で泊りがけで行く校外学習で、クラスが違う子たちと班を組んで行われるのだが、ぼくは一人も知っている子がいない状態での参加になった。小学生の時というのは、大して人見知りしないもので、転校初日ほどは緊張せずに臨むことができた。

だが、行きのバスの中で最悪なことがあって、それは、家庭科で作った『ナップサック』の中で、お弁当のコロッケが砕け散ってベトベトになってしまっていたことだった。これは、お弁当箱を紙にしておいて、現地で捨てられるようにしておくという工夫を全員がしていて、箱がもろかったせいだった。今にして思えば“箱をビニールに入れておいてくれればよかったのに“と母に対して思う。

そんなこんなで現地に着くと、オリエンテーションがあり、同行していたカメラマンの野久保さんが紹介された。この人は基本的には優しいのだがちょっと怖い人で、ぼくらがこういう泊りがけの校外学習に行く時にはいつも同行して写真を撮ってくれていた。
 夕食まで時間があったので、みんなでトランプをやっていたのだが、ここでは今までやったことがなかったルールを二つ覚えることができた。

 一つは『スピード』で、これはまずトランプを『黒と赤』に分け、どちらか片方を手に持ってフィールドに一枚ずつ置く。そして、そのどちらでもいいので、その数字より1つ大きいか小さいカードを手前に5枚カードをストックしておいたものから出すというものだった。お互いに出せなくなったら新しく山札から1枚めくって再開し、先に山札がなくなった方が勝ちというゲームだった。

もう一つは定番中の定番の『大富豪』で、これは何人でもでき、全員に均等になるようにカードを配ってフィールド中央にカードを出して行き、時計回りにそのカードより大きいカードを出していくというゲームだった。

だが、単純ではなく、13より『1と2が大きく』、『やぎり』という8を出すと強制的に場を終了させられるルールや、『イレブンバック』という11を出すと大小が逆転するルール、『革命』という4枚同じ数字のカードを出すとそこからずっと大小が逆転するルール、『しばり』という2枚目に1枚目と同じマークを出すとそのマークのカードしか出せなくなるルールや、『階段』という最初出す時に3枚以上連続した数字を出すというルールなど様々な要素があった。

そして、このゲームにある妙なリアリティーが、『1位の大富豪』に最下位である『大貧民』から2枚、『2位の富豪』に下から2番目の『貧民』から1枚、最初に配られた中から『最もいいカードを献上する』というものだった。最下位は関西弁で『ベベ、べった』下から2番目は英語で『ブービー』などと呼ばれていた。なんだか現実を味わっているようで小学生ながら競争社会を意識せざるをえなかったのだが、みんなでワイワイやれて、ぼくはこの遊びが大好きになった。

こちら亀有区公園前派出所の作者である秋本治さんが、何気に大富豪の話を連載したら、そこから不幸の手紙のように読者からルールに関する指摘の手紙がくるようになったそうだが、この遊びは地域によって多種多様な決まりがあるのでゲームを始める前に、よく話し合って『どのルールを適用するか』決めておいた方が、後でもめなくて済むだろう。


*自然学校の話 ( 後編 )
『自然学校』でやった事柄で印象に残っていることは三つある。
一つ目は『あゆのつかみ取り』だ。これはあらかじめ手に入れておいたものを現地にあった水を張ったキャンプ場にあるような広い水道の洗面台に流して、手でつかむというもので、全員がつかまえられるまでやっていた。そして、自分で捕まえたあゆを包丁を使って自分でさばき、最後はくしに刺して焼いて食べるという寸法だった。

これは、子供に『命の大切』さを教えるというものだったと考えられ、実際にさばいてたべてみると、普段は肉や魚に対してどこか他人事のようになりかけていても、『命を頂いている』ということを実感せざるをえなかった。日本では食事をする前に『頂きます』というのが通例になっているが、これが形骸化してしまわないように、毎回命に『感謝する』ということが大切なんだと思う。

二つ目は『凧あげ』で、『自然学校』に行ったのは秋だったのだが、正月にあげるのが一般的であることから考えると季節外れではあったが実施された。これは現地にあった体育館の中で作ったオリジナルのものを、近くにあった広場であげたのだった。フェルトペンを使ってカラフルに模様を書き込んだ凧は、すごく愛着がわくもので、完成してあげてみるととても気分がよかった。

そして、ぼくはなぜだかこれに関して素養があったようで、全員の中で1番高い位置まであげることができ、なんだかそのことが誇らしかった。コツとしては『力強く引っ張りながら少しづつ糸を伸ばしていく』ことだった。
三つ目は、『夜に行われた肝試し』で、草が生い茂ったサトウキビ畑のような場所で行われて、その道を班の子たちで歩いてまわるというものだった。ここでは同じ班になった、三村から面白い歌を教えてもらった。

「ジャングルもじゃもじゃ、ジャングルもじゃもじゃ、ヤシの木一本!実が二つ!」
これを、班員に女の子がいるにも関わらず男子でハモりながら歌っていたので、全然怖くなく、その後のキャンプファイヤーの時にも合唱していた。
「「ジャングルもじゃもじゃ、ジャングルもじゃもじゃ、ヤシの木一本!実が二つ!」」

三村からの又聞きなので結局誰が創った歌なのかは不明だが“この短い歌詞でこのインパクトは秀逸やな“と今になっても思う。だが、先生たちもちょっとしびれをきらしたのか、みんなで集まって話を聞いている時に、
「あと、みんな楽しんでるのはいいんやけど、変な歌を歌わないようにね」

とクギをさされてしまった。そこからは歌わないようにしたのだが、20年以上経った今でも、たった1日この時だけしか歌っていないその歌を、なぜだかハッキリと鮮明に思い出すことができる。
それから楽しかった修学旅行を終え、バスで家路についたのだが、ここで三村と喧嘩になってしまい、かなり泣いて帰ることになった。そのことでそれからダミ声になり、そのまま『声変わり』して今の声になった。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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