夏から夏へ ~SumSumMer~

崗本 健太郎

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第24話 夜市での思い出

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*夜市での思い出の話
3年生の夏、下松に帰った時に親戚一同で縁日に行ったことがあった。ぼくら兄妹は下松の親戚の中で最も年下の二人であったので、よくこういった催しに連れて行ってもらえていた。両親はこういう時には折角だからと、だいたい千円ずつ渡してくれることが多かった。
その時に金魚すくいやクジをやってスーパーボールを手に入れたりしていると、お金がなくなってきてしまった。可愛らしい2匹の黒とオレンジの金魚をながめながら最後に何か珍しいものはないかと探していると、面白そうなものを見つけた。
それはなんとウナギのつかみ取りで、3分以内に獲れたものについては、いくらでも持ち帰っていいというものだった。それに心惹かれたぼくら兄妹は、さっそく挑戦してみることにした。
「ねえ、おじいちゃんコレ取ったらさばいてくれる?」
「いいともさ。おじいちゃんに任せておいで」
おじいちゃんは昔船乗りだったこともあり、カサゴとかメバルを釣って来ては捌いて食べさせてくれていたので、安心して任せようと思った。そこで店番の人に、300円払ってゲームをスタートさせると、ウナギ特有のヌメりがあるせいで、これがなかなか上手く行かない。長子(一番歳上の子供)として妹に負ける訳には行かないと考え、奮起してなんとかウナギをゲットすることができた。
自分で獲ったというその喜びは一入で、その日は上機嫌でおじいちゃんおばあちゃんの家まで帰ることができた。だが、明くる日になって、なんだかウナギが捌かれるのが可哀想になってしまい、妹と相談して生かしてやることにした。それをおじいちゃんに言いに言ったら、
「けんちゃんとくみちゃんは優しいね。分かった。それならもうおじいちゃんはウナギを捌くのはやめておくよ」
「うん。ありがとう、おじいちゃん!!」
こうしてウナギは難を逃れたのだが、千葉へ帰るまでの2週間の間にウナギは死んでしまい、自分の名前に因んでウナタロウという名前を付けていたので、その名前をアイスの棒に書いて、丁寧に埋葬してあげた。
今にして思えば、美味しく料理して食べてあげた方が、ウナギにとっては弔いになったのかもしれないが、おじいちゃんは、ぼくらの優しさを組む方を選んでくれたのだろう。命の大切さを学ぶことができた、ある夏の日の出来事であった。


*下松のプールの話
下松には夏になると市民に向けて貸し出される大きな『50mプール』があり、ぼくと妹は二人とも水泳を習っていたこともあって、帰省した時によく利用していた。プールには50円で入ることができ、これは当時の物価から考えても破格の安さであった。だいたいはおじいちゃんかおばあちゃんが連れて行ってくれて、更衣室を挟んで50mプールと反対側の子供用プールと行き来しながら遊んでいた。
このプールに通っていた時、ぼくは『とてつもなく美味しいもの』と出会ったことがあったのだが、それは、おばあちゃんが買ってきてくれた8個入りの『メロンカップ』だった。このアイスは黄緑色の色彩が凄く綺麗で、とろけるような甘味があり食感も最高であった。
泳ぎ終わってほどよく疲れていたこともあり、この時に食べたアイスがぼくがこれまでの人生で食べた中で『一番うまかったデザート』と言っても過言ではないくらいだった。
また、食べ終わった後のメロンカップの容器は、何か入れておくには丁度よさそうなものだったので、“帰ってから何か入れておこうと“思い、一つもらって帰ることにした。


*ミニバスの思い出の話
 3年生になってから、運動が大好きだったぼくに、また一つ楽しみが増えた。それは、毎週土曜日に大葉小の体育館でやっていた『ミニバスケットボール』であり、ぼくはこのミニバスが終わってから毎週放送されていた『スラムダンク』を見るのが習慣になっていた。
 このスラムダンクは、当時の日本で驚異的な人気を誇っており、コミックスは累計1億2千万部以上、日本で一番部員が多いのがバスケ部になっていることにも一役買っている作品であった。
 ミニバスの方では、パスやジャンプシュート、『レイアップ』と呼ばれる走りながら流れで歩幅を調節して片足でジャンプし、ボールをリングに置いてくるようにシュートする技などを練習していた。スラムダンク効果で空前の大ブームが巻き起こっていたこともあり、人数が多くてみんなでワイワイやっていたので凄く楽しかった。
 ぼくは身長が高かったこともあり、チーム内で行われるミニゲームではいつもわりと活躍できていたので、半ドンで午前中に授業が終わるこの土曜日が大好きだった。ただ、他所の学校がかなり遠いこともあって、練習試合をやれなかったことが残念ではあった。
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