今の世界が嫌になったので転生したら不遇職なうえに美少女になったんだが!?~転生引継ぎチートは不遇職でも最強です~

セツナセイ

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4.最強の盗賊は金髪の幼馴染を手に入れる

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「ユミル。暑いからくっつくな。あとあんまり頬ずりしてくるな。お前は母さんか」

「だって、ギルちゃん可愛いんだもん。はぁーこの世が許すなら将来私はギルちゃんと結婚したい」

「だからお前は母さんか」


 今俺に抱き着いている女は名前をユミル・べトレイルという。俺と同い年なうえに誕生日まで一緒のご近所さんだ。


 このユミルは、金髪ロングの艶やかな髪に無限に広がる空を映したような蒼色の大きな瞳を持つ美少女かつ、この町の領主でもあるべトレイル家のご息女だ。


 貴族の娘ということでそれなりの作法や貴族としての振舞は学んでいるはずなのだが俺の前だとこの通り脳内ゆるふわな女の子になる。


 これはVIPルームと一般病棟という差はあれど、同じ病院で同じ日に生まれた上にうちはべトレイル家付きの騎士であった縁で、幼少期からずっと一緒に遊んだり、悪戯して怒られているユミルをかばったり、貴族なのに勉強ができないユミルに勉強を教えたり、どんくさいユミルに武術を教えたり、おねしょをしたと毎日のようにしょげてたユミルを励ましてやったりした結果だ。

 そしたらいつの間にか異常と言えるほどになつかれてしまった。まるで親猫に縋りつく子猫だ。


「で、お前が来たってことは例の本が手に入ったのか」

「うん♪ この前たまたま東方から商人の人がうちにきてね。その時にギルちゃんが欲しそうな本を手に入れたの」


 今日ユミルがここに来た理由、それはこの歴史書を俺に届けてくれるためだ。


 俺はこの14年間の間、様々な方法を用いて300年間の歴史の変遷を調べている。


 それにはいくつかの理由がある。


 まず一つは知識の補強だ。転生後の世界情勢を知らねば今の世が一体どんな勢力体系を取っているのかわからない。
思いもよらないところで虎の尾を踏んでしまうリスクは十分にあるからな。


 そしてもう一つは俺が転生直後に歴史に大きな変化が訪れていないか確認するためだ。俺は前世では結構な有名人だったからいなくなった影響は少なからずあったはずだ。正直に言うと少し気がかりなこともある。


 そのためひたすら歴史を調べていたのだが、その結果にわかには信じがたい事実を知ることになった。


「やっぱり、この本にも300年前以前の歴史に関する記述はなしか」
 

 そう、俺はこの14年間ありとあらゆる手段を用いて歴史を調べ続けてきたが約300年前つまりちょうど俺が転生したころより前の歴史について記載された記録が何一つ残っていないのだ。

 これにはある理由がある。

 それは俺が転生した一年後に世界中の龍脈が暴走するという怪事件が起き、世界は一度崩壊したとされているのだ。

 その後生き残った王族を中心に世界は再び復興したとされており、その時の世界崩壊(カタストロフ)で歴史に関する記録はほとんど消滅してしまったというわけだが、どうも俺はこの件に関しては気になることがある。

 それはこの世界崩壊が起きたのは俺が転生した一年後だ。少なくとも俺が生きていた時代に龍脈が暴走する予兆なんてなかった。

 そもそも龍脈は自然の魔力が長い年月をかけて溜まり、大きな流れとなったものだ。そんなものが暴走するなら何かしらの予兆はあるはずだ。

 それが全くないとするならばこの龍脈の暴走が故意的に起こされたということになる。

 だが龍脈を暴走させるなんて荒業ができるものなんてこの世にはいないはずだ。もちろん前世の俺でさえ不可能な芸当だ。しかもそんなことをするメリットなんてまるでないのだ。


「ねぇ、ギルちゃん。難しそうな顔してるけど知りたいことは書いてあった?」

「いや、この本にも書いてなかった」

「そっか……」

「なんでユミルがそんな顔するんだよ」

「だってギルちゃんの役に立ちたかったんだもん」


 ユミルがもし犬だったら耳としっぽをだらんと下げているかのような落ち込み方だ。


 俺は一つ嘆息をつき


「確かに俺が一番知りたい情報は書いていなかったが、これは間違いなく名著だよ。200年前に起きた7代目ソロモン王就任の際の演説がここまで詳しく書かれている本は今まで見たことがない」

「ほんとに? ギルちゃんその本貰ってうれしかった?」

「ああ、すごい嬉しかった」


 この言葉に嘘はない。300年前の記述こそないものの、この歴史書には他の歴史書には書かれていないような事柄が詳細に明記されている。
 これはかなりのレア物と言えるだろう。時間があるときにゆっくり吟味したいものだ。


「よかったぁ! ギルちゃんが喜んでくれた!!」

「ありがとな。そうだ本の金をまだ渡してなかったな。ちょっと待っててくれ」

「ううん。喜んでくれたならその本はギルちゃんにあげる」

「いや、でも流石に悪いし」

「だってギルちゃん明日誕生日でしょ。だからその本は私からギルちゃんへの誕生日プレゼント」

「でも、誕生日でいったらユミルも明日誕生日だろ」

「うん。だからギルちゃんからのプレゼント楽しみにしてるね。それに明日の14才の誕生日は神様から『職』を授かる特別な日だから絶対に一緒に教会に行こうね♪」

 そう明日は神から『職』を授かる『神告』の日だ。14歳の誕生日を迎える日に教会で神官から祝福を受けることで、俺達には『職』が付与される。

 そして『職』はその者の人生を大きく左右するものとなる。
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