君が見た春を

稲佐オサム

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澪の卒業式視点

「ありがとう、さようなら」

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卒業式の朝。
中谷澪は、制服の胸元のリボンを結びながら、鏡を見てふと思った。

(ああ、本当に今日で終わるんだ)

教室には、泣いてる子、笑ってる子、写真を撮る子たちがあふれていた。

澪は少しだけ距離を置きながら、それでも一人ひとりの姿を目に焼き付けた。

レナ、ミナ、カレンが「最後は記念に!」と澪を囲って写真を撮った。
それは、あの頃からは考えられない光景だった。

ももかは泣いていた。

「ねえ、澪……大学行っても、私のこと忘れないでね」

「忘れるわけないよ。ずっと、ももかがいたからここまで来れた」

ハルキは、最後に体育館の裏で澪を待っていた。

「ねえ、澪。これ…」
彼が手渡してきたのは、色あせたしおりだった。高校1年の頃、図書室で落としたもの。

「これ見て、最初に君を探した。ずっと返したかった」

澪はしおりを見て、ぎゅっと抱きしめた。

「ありがとう。…それ、私の“はじまり”だったから」

その日、澪は“過去”に別れを告げ、未来に向かって歩き出した。
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