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6月 追憶
3 追憶3
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シトシトと雨が降る夜に俺は布団で寝ていて、隣の部屋から、父さんと母さんが喧嘩をしている声で目が覚めた。大きな声で興奮する母さんと黙り込む父さんだ。
多分10時過ぎだったかな。随分と周囲が静かだった気がした。そこに驚くほどの大声を上げて、母さんは父さんに罵声を浴びせていた。こんな、大声を上げる母さんを、こんな汚い言葉を使う母さんを始めて知って怖くなった。どれほど酷い事が起きているのか怖くなった。
そして、母さんはその勢いのまま、家を飛び出した。
俺は、その詳細を隣で聞いていた俺は襖をあけ放ち、ちゃぶ台を前に座りテレビを見ている父さんに、
「母さん、行っちゃったよ、早く追いかけてよ。父さん!」
泣きながら父さんの腕を取って必死に頼んだ。でも、父さんはテレビを見て俺の必死の頼みなど全くの無視を決め込んでいた。
俺には、父さんと母さんが全てだった。二人共大好きだった。それなのに……
俺は母さんの後を追った。着の身着のまま、パジャマで素足に運動靴で追いかけた。
家を出ると大通りがあって、昼間は港への往来で交通用も多いのだが、全く、車など走っていなかった。外はシトシトと降っていた雨が霧雨のようになって、遠くの視界を曇らせている。
俺は周囲を見渡したが、どこにも母さんは見えなかった。そして、何のあてもなく街へと走り出した。
多分10時過ぎだったかな。随分と周囲が静かだった気がした。そこに驚くほどの大声を上げて、母さんは父さんに罵声を浴びせていた。こんな、大声を上げる母さんを、こんな汚い言葉を使う母さんを始めて知って怖くなった。どれほど酷い事が起きているのか怖くなった。
そして、母さんはその勢いのまま、家を飛び出した。
俺は、その詳細を隣で聞いていた俺は襖をあけ放ち、ちゃぶ台を前に座りテレビを見ている父さんに、
「母さん、行っちゃったよ、早く追いかけてよ。父さん!」
泣きながら父さんの腕を取って必死に頼んだ。でも、父さんはテレビを見て俺の必死の頼みなど全くの無視を決め込んでいた。
俺には、父さんと母さんが全てだった。二人共大好きだった。それなのに……
俺は母さんの後を追った。着の身着のまま、パジャマで素足に運動靴で追いかけた。
家を出ると大通りがあって、昼間は港への往来で交通用も多いのだが、全く、車など走っていなかった。外はシトシトと降っていた雨が霧雨のようになって、遠くの視界を曇らせている。
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