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本編
62 閉じた扉がひらくとき
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夜は長い。時計は見ていないが、おそらく2時間ほどしか経っていないだろう。だがふたりきりの濃密な時間はとても長く感じられた。
今夜の月は下弦。カーテンがかかっているので月明りは残念ながら見えない。
ベッドは夜の営みのために準備万端整えられていた。サイドテーブルには喉を潤す果実水が、そしてアレクの差し金か怪しげな小瓶やそれ用のオイルなどがいくつか並べられている。セイはちらりと品々に視線をやったが、手に取ろうとはしなかった。
「少し動いてもいいですか? もう痛くは、ないと思いますから。」
涙を拭ったセイは、繋がった状態のままでわたしに許可を求める。
いまさら許可なんていらないのにと思いつつ無言で頷く。それを確認したセイは、今夜見た中でもとびきりの笑顔を見せた。なんとなく尻尾をぶんぶん振るわんこみたいだと言ったら怒るだろうか。
額にキスを落とす。続けて目元に、頬に。それから啄むように、わたしの上唇を軽く食んだ。
セイが甘やかすように、ちゅ、ちゅ、と何度もキスをする。わたしは半ば無意識に目を閉じた。におい、体温、吐息。すべてが甘やかで心地よい。
やわらかく唇を突かれ、口を開けた途端ぬるりと彼の舌が侵入する。容赦なく舐められ、舌を絡められる。
セイの舌使いは絶妙にいやらしく、彼が与える温度も、唾液も、蠢く感触も、すべてが快楽に繋がった。軽めのキスは、はじめくすぐったいだけだったのに、徐々に違うものが混じり始める。
いったい何回キスしただろう。気持ちよさにぼんやりしながら必死で受け止める。
「ん、ふっ・・・」
わたしの顔が蕩けてきたのを見計らったかのように、セイはゆっくりと腰を動かし始めた。アルコールのせいか、セイの素肌は熱くて汗ばんでいる。時折漏れる吐息が悩ましい。汗と香水の匂いが混じり合う。
繋がっている部分が、とてもとても熱い。
もし「溶けてしまう」という表現が許されるのであれば、まさに今だろう。気持ちよさで自我がなくなってしまいそう。規則正しいリズムで突かれる振動にばかり意識が向く。
律動に合わせてナカに入った楔がわたしの膣壁をこする。それと同時にセイは空いている手でわたしの胸をぐにぐにと弄り、戯れのように首に、胸元に、所有の痕を付けた。
少しの傷みと赤い痕。それに伴い湧き上がる快感と、絶えずこすれる刺激で声が抑えられなくなる。
「にゃぁあっっ。あっ、、!」
「ふふ、かわいいですね。貴方を最高に蕩かすことなんて簡単ですよ。」
「ああっ、ああんっ。」
ぐいっと彼が力を込めると、条件反射みたいに甘えた声が漏れた。
セイの動きに合わせて自分も揺れる。揺れすぎておっぱいが痛い。怖くなって不安定な体勢のまま、彼にぎゅっとしがみついた。ぱちゃん、ぱちゃんという音がする。
「はっ・・・。想像以上にいいですね。熱くて、トロトロして、すぐに達してしまいそうです。」
「はあっ・・・、うあああぁん。」
「ここが気持ちいい場所なんですよね。もう少し触ってあげますね。」
「ああぁああっ・・・。」
今までさんざんアナスタシアに奉仕してきた彼からすると、どこが弱くてどこを弄ると感じるかなんて、わかりきっているんだろう。彼の宣言どおりで、最高に蕩かされたわたしは意味のない嬌声をあげるばかりだった。
さんざんわたしを喘した後、セイは一度自分自身を引き抜いた。それから様子を窺うように、ぬらぬらと濡れ光った先端をわたしの中に少しだけ入れたり出したりした後、ぎりぎりまで抜いて――そしてずぷりと全てを押し入れた。
「やあああああっ。」
「ああナーシャッ・・・愛していますっ!」
泣きそうな声でそう言うと、セイはわたしのナカに吐精した。そしてわたしは意識を手放した。
朝、目覚めるとセイが向かい合わせになったわたしを抱きかかえるように眠っていた。
前もこんなことがあったなあと思いつつ向きを変えようと身を捻ると、海の底のような深い青の瞳がわたしを映す。
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「大丈夫ですよ。目は覚めていたので。」
裸のままシーツの中でぎゅうっと抱きしめられる。わたしも腕を回して同じようにセイを抱きしめた。
改めて触れるセイの肌は当たり前だけど男性のもので、無駄な脂肪がまったくない。少しひんやりした体温が気持ちよくて無意識にからだを擦り付ける。
「ナーシャ。」
「ん?なに?」
「目が覚めて腕の中にあなたがいるというのは、なんて幸せなんでしょうね。」
顔を上げて見つめると、セイはそれはうれしそうに笑った。眼鏡がない状態でその笑顔はほんと反則級の破壊力だからやめてほしい。
セイはわたしの腰を抱えたまま身体を起こしてサイドテーブルにある水差しからグラスに半分ほど注いだ。自分は飲まずにグラスを渡してくれる。
両手で受け取り一口飲むと、甘くはないけれどレモン風味でさっぱりする。一晩置いてあったはずなのに不思議と冷たかった。
「ん、おいし。」
もう一度果実水を口に含む。やわらかな笑顔でこちらを見つめるセイに問答無用で口移しした。
ごくん、と嚥下してからセイが真っ赤な顔でこちらを見つめる。かわいすぎて萌える。アナスタシアとはこんな恋人めいたことはしたことないんだろうな。
「わたしも、なんか幸せだなーって。」
ほんわかした気持ちで呟くと、セイはふと真顔になった。
「ナーシャ。いやアナスタシア・・・シア。これからあなたのことは、シアと呼んでもいいですか?」
「いいけど・・・どうしたの?」
彼にとってナーシャという愛称は特別なものだったはず。不思議に思って尋ねる。
「昨晩私の心を救ってくれたのはあなただ。以前のナーシャも、現在のあなたも、両方愛しています。」
「え・・・・?」
突然の告白に固まる。え?わたしも?
「シア、陛下がいつかあなたを手放すのであれば、私が共にいたい。どうか私を望んでくれませんか?」
今夜の月は下弦。カーテンがかかっているので月明りは残念ながら見えない。
ベッドは夜の営みのために準備万端整えられていた。サイドテーブルには喉を潤す果実水が、そしてアレクの差し金か怪しげな小瓶やそれ用のオイルなどがいくつか並べられている。セイはちらりと品々に視線をやったが、手に取ろうとはしなかった。
「少し動いてもいいですか? もう痛くは、ないと思いますから。」
涙を拭ったセイは、繋がった状態のままでわたしに許可を求める。
いまさら許可なんていらないのにと思いつつ無言で頷く。それを確認したセイは、今夜見た中でもとびきりの笑顔を見せた。なんとなく尻尾をぶんぶん振るわんこみたいだと言ったら怒るだろうか。
額にキスを落とす。続けて目元に、頬に。それから啄むように、わたしの上唇を軽く食んだ。
セイが甘やかすように、ちゅ、ちゅ、と何度もキスをする。わたしは半ば無意識に目を閉じた。におい、体温、吐息。すべてが甘やかで心地よい。
やわらかく唇を突かれ、口を開けた途端ぬるりと彼の舌が侵入する。容赦なく舐められ、舌を絡められる。
セイの舌使いは絶妙にいやらしく、彼が与える温度も、唾液も、蠢く感触も、すべてが快楽に繋がった。軽めのキスは、はじめくすぐったいだけだったのに、徐々に違うものが混じり始める。
いったい何回キスしただろう。気持ちよさにぼんやりしながら必死で受け止める。
「ん、ふっ・・・」
わたしの顔が蕩けてきたのを見計らったかのように、セイはゆっくりと腰を動かし始めた。アルコールのせいか、セイの素肌は熱くて汗ばんでいる。時折漏れる吐息が悩ましい。汗と香水の匂いが混じり合う。
繋がっている部分が、とてもとても熱い。
もし「溶けてしまう」という表現が許されるのであれば、まさに今だろう。気持ちよさで自我がなくなってしまいそう。規則正しいリズムで突かれる振動にばかり意識が向く。
律動に合わせてナカに入った楔がわたしの膣壁をこする。それと同時にセイは空いている手でわたしの胸をぐにぐにと弄り、戯れのように首に、胸元に、所有の痕を付けた。
少しの傷みと赤い痕。それに伴い湧き上がる快感と、絶えずこすれる刺激で声が抑えられなくなる。
「にゃぁあっっ。あっ、、!」
「ふふ、かわいいですね。貴方を最高に蕩かすことなんて簡単ですよ。」
「ああっ、ああんっ。」
ぐいっと彼が力を込めると、条件反射みたいに甘えた声が漏れた。
セイの動きに合わせて自分も揺れる。揺れすぎておっぱいが痛い。怖くなって不安定な体勢のまま、彼にぎゅっとしがみついた。ぱちゃん、ぱちゃんという音がする。
「はっ・・・。想像以上にいいですね。熱くて、トロトロして、すぐに達してしまいそうです。」
「はあっ・・・、うあああぁん。」
「ここが気持ちいい場所なんですよね。もう少し触ってあげますね。」
「ああぁああっ・・・。」
今までさんざんアナスタシアに奉仕してきた彼からすると、どこが弱くてどこを弄ると感じるかなんて、わかりきっているんだろう。彼の宣言どおりで、最高に蕩かされたわたしは意味のない嬌声をあげるばかりだった。
さんざんわたしを喘した後、セイは一度自分自身を引き抜いた。それから様子を窺うように、ぬらぬらと濡れ光った先端をわたしの中に少しだけ入れたり出したりした後、ぎりぎりまで抜いて――そしてずぷりと全てを押し入れた。
「やあああああっ。」
「ああナーシャッ・・・愛していますっ!」
泣きそうな声でそう言うと、セイはわたしのナカに吐精した。そしてわたしは意識を手放した。
朝、目覚めるとセイが向かい合わせになったわたしを抱きかかえるように眠っていた。
前もこんなことがあったなあと思いつつ向きを変えようと身を捻ると、海の底のような深い青の瞳がわたしを映す。
「あ、ごめん起こしちゃった?」
「大丈夫ですよ。目は覚めていたので。」
裸のままシーツの中でぎゅうっと抱きしめられる。わたしも腕を回して同じようにセイを抱きしめた。
改めて触れるセイの肌は当たり前だけど男性のもので、無駄な脂肪がまったくない。少しひんやりした体温が気持ちよくて無意識にからだを擦り付ける。
「ナーシャ。」
「ん?なに?」
「目が覚めて腕の中にあなたがいるというのは、なんて幸せなんでしょうね。」
顔を上げて見つめると、セイはそれはうれしそうに笑った。眼鏡がない状態でその笑顔はほんと反則級の破壊力だからやめてほしい。
セイはわたしの腰を抱えたまま身体を起こしてサイドテーブルにある水差しからグラスに半分ほど注いだ。自分は飲まずにグラスを渡してくれる。
両手で受け取り一口飲むと、甘くはないけれどレモン風味でさっぱりする。一晩置いてあったはずなのに不思議と冷たかった。
「ん、おいし。」
もう一度果実水を口に含む。やわらかな笑顔でこちらを見つめるセイに問答無用で口移しした。
ごくん、と嚥下してからセイが真っ赤な顔でこちらを見つめる。かわいすぎて萌える。アナスタシアとはこんな恋人めいたことはしたことないんだろうな。
「わたしも、なんか幸せだなーって。」
ほんわかした気持ちで呟くと、セイはふと真顔になった。
「ナーシャ。いやアナスタシア・・・シア。これからあなたのことは、シアと呼んでもいいですか?」
「いいけど・・・どうしたの?」
彼にとってナーシャという愛称は特別なものだったはず。不思議に思って尋ねる。
「昨晩私の心を救ってくれたのはあなただ。以前のナーシャも、現在のあなたも、両方愛しています。」
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