不埒な魔術師がわたしに執着する件について~後ろ向きなわたしが異世界でみんなから溺愛されるお話

めるの

文字の大きさ
83 / 133
本編

82 キスは特別1

しおりを挟む
「シア、こっちおいで。」

振り返り、わずかに笑みを浮かべてわたしを誘うルーは、ぞくりとするほど美しかった。

見慣れているわたしですら一瞬息を止める。無機質にも見える白皙の美貌の中で、ただ、宝石のような紅い瞳だけが魔力灯の光を受けて鮮やかに輝く。

命令ではないたった一言。なのに、いつもの気安さとも、昼間のよそよそしさとも違う。抗うことができない力を持っていた。

(もう、おこってない、の、かな?)

ふらふらと言われるがまま近づくと、ルーは、書き物をしている手を止めてわたしの腰を右腕で優雅に引き寄せた。そのまま、ぽすりと頭をわたしの身に寄せる。

「ん・・・。」

まるで小動物が甘えるようなしぐさだった。わたしの胸元にぐりぐりと擦りつけるように頭を動かすたびに、ふわふわと銀色の髪が揺れる。きれいだなあと思って指に絡めると、ルーはくすぐったそうに身をよじった。

「・・・あいたかった。」

そう呟いてわたしを見上げる瞳は、血濡れたように妖しく光る。魔に魅入られたように視線を逸らせない。本能的にぞくりと身を震わせた。

「シア、あいたかった。」

もういちど、告げられる。ルーは左腕もわたしの背中に回してから、優雅な姿からは想像できないほどの力を込めた。応えるように、わたしも彼の背中に腕を回す。

「わたしもルーにあいたかった。キスしてほしかった。」

「過去形なんだ?」

ルーは、くすりと口の端だけで笑って、立ち上がった。まるで抱きしめられるような体勢になり、今度はわたしのほうが、逆に彼を見上げた。

「なにか、おこってる?」

「怒ってる? いいや、何も怒っていないよ。でもシアはもう僕とはキスしたくないみたいだ。」

なんでルーが急にそんなことを言い出したのかわからずに、戸惑いながらも尋ねる。

「なんでそんなこと言うの?」

「だって、ラジウスとかいう奴とキスしたでしょ?」

「いや、それは善意で制御方法を教えてくれるって・・・」

「ねえ、気持ちよかった?」

わたしの答えなんて興味がないのか、言葉を途中で遮って尋ねた。

そんなことないと否定したかったが、ラジウスのキスはものすごく気持ちがよかったのを一瞬思い出してしまい即答できなかった。そしてルーは、わたしが言葉に詰まったのを見逃さなかった。

両手でわたしの頬を挟み、心の奥底まで窺うように、じっと覗き込む。

「自分と同じ境遇の人間だからって、ほだされた?」

「ふえ??」

「ああ、聞いてないの? ラジウスは君と同じ世界から10年前に召喚されてるって。」

はじめて聞く情報にぶんぶん頭を振ると、ルーは、ふかく、ふかく溜息をついた。

「なんだ・・・知らなかったのか。」

「知らなかったよ。そんな身近にそんな境遇の人がいるなんて思いもしなかった。」

ラジウスだって、そんなこと一言も言わなかった。

「僕はてっきり、シアはラジウスに気持ちが行っちゃったのかと思った。」

「まさか、それで機嫌が悪かったの?」

ちょっと呆れて聞くと、不貞腐れたように返事をした。

「悪い? だいたいシアも悪いんだからね。知らない男とふたりっきりでキスとかしちゃって。」

そう言ってルーはわたしの手を引き、近くにあるソファーへ向かった。

この部屋は贅沢にも寝室と書斎が分かれていて、広々とした別の部屋には寛げるスペースがある。その広い部屋まで連れてくると、ルーはわたしを抱え込むように抱き込んで深々とソファーに座り直した。

かつてセイがアナスタシアをこうやって抱きしめていたのは記憶にあった。でも、自分で経験するのはまた別の話だ。さすがにこの体勢は初めてで、恥ずかしくい。

おしりの下に硬くなったモノの感触がある。気になってしかたがないのに、ルーは何も気にしないかのように、そのまま後ろから腕を伸ばすとわたしの胸を弄り始めた。

やさしく撫でるように、胸の頂だけをくるくる、くるくる。服の上からなので布地が擦れて気持ちいい。

「ふっ・・・。」

思わず漏れる声に気づいたのか、ルーがひそやかに笑った。

「ねえ、なんでシアってば乳首しか触ってないのにそんなに気持ちよさそうにしているのかなあ?」

そういいながら、きゅっと先端をつまんだり、ぐにぐにと捏ねるように弄る。

「はあ・・っん。」

「知らない間に弄られ慣れちゃったのかなあ。困ったねえ。」

ぜんぜん困っていない声音でつぶやきつつ、ルーはその手を止めずに胸を揉み始めた。

わたしは胸だけで気持ちよくなってしまい、甘い声を上げるばかりだった。

「やあっん、この姿勢、やだ。ルーとキスしたい。から。」

かろうじて訴えると、ルーは目を瞬かせた。数秒、何かを考えているかのように弄る手が止まる。

そして意地悪そうな笑みを浮かべると、無理やり振り返らせてキスをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...