129 / 133
欄外編
127 崩崩れたジェンガ 3
しおりを挟む
王宮を出てから1か月が経った。もうずっと長い時間が経った気がする。書類上はもう夫婦だと言われたが、式を挙げたわけでもなく、親しい人から祝いの言葉ももらったわけでもない。
居を移しただけで結婚したという実感が湧かないのは、そのせいかもしれない。
セイと暮らす屋敷は、ゼレノイ家の本邸ではなく少し離れた位置にある別邸だ。しばらく夫婦水入らずで過ごしたいというセイの希望を受け、かつての当主が妾の別宅として建てた屋敷を譲り受けたそうだ。
わたしに用意された部屋は、最上階のいちばん奥。真っ白な壁紙に大きめのベッド、革張りの重厚なソファー、簡素な木の机と椅子、そして背の高い書棚。読書好きだったアナスタシアに倣い用意されたのだろう。すでに数多くの書籍が並んでいた。
はっきり言うと、かつて記憶を覗いた、アナスタシアの私室とよく似ていた。
トイレ・浴室完備なのは王宮と一緒で、部屋から出なくても不便はないようになっている。すべての窓に鉄格子が嵌められているのが気にはなるけど、防犯上の理由なのだろうと深くは気にしなかった。
セイから貰いアナスタシアがが大事にしていた本は、書棚の片隅に片づけられた。ドレスは備え付けのクロゼットにしまわれ、空になったトランクは書棚の上に置かれた。王宮を去る際に、餞別として贈られた数々の宝飾品は、大きなジュエリーボックスに収まった。
アレクから個人的に贈られたサファイヤのブレスレットは、こっそりと小さな箱に入れて机の引き出しにしまった。なんとなく…もうつける機会はないだろうし、セイが見たら嫌がると思ったから。
箱の中には、イヤーカフも入っている。
別れの間際に、ルーから渡されたものだ。艶々としたオニキスがはめ込まれ、裏側は細かい文字でびっしりと何かが刻まれている。セイと対で持っている通信用の魔道具と少し似ているので、同じような機能があるのかもしれないと思った。試しに魔力を少しだけ流したら、ふわりと光って消えた。
いつもルーが左耳に嵌めているイヤーカフの片割れ。一目で誰のものか解るそれを、目に触れないようブレスレットと一緒にしまいこんた。
夫婦で過ごす主寝室は、互いの私室から行き来できるよう扉で繋がっている。半円形になった出窓には鉄格子なんて無粋なものはなく、月明かりの夜には庭の木々がよく見えた。部屋の中心には広々とした天蓋付きのベッド。3~4人程度なら、ゆうに寝れそうなほどの大きさだ。
セイは、宰相補佐として連日忙しいばかりか、最近では新しい政策立案にも関わっているらしい。いつも帰りは遅く、わたしがひとりで夕食を食べ終えた後に帰宅する。きっと疲れているだろうに、そんな素振りはかけらも見せない。
そして自分が夕食を摂る時間もそこそこに、主寝室にわたしを連れていくのだ。
「ひゃうっ…」
押し倒されるような姿勢で首筋を舐められ、たまらず声を漏らした。からだのあちこちを舐めまわされながら、はだけて露わになった胸をぐにぐにと揉みしだかれる。
セイはもどかしげに首元のタイを緩め、床に放り投げた。そのままわたしの両脚が閉じられないよう自身の脚を割り入れる。下着をつけていない下半身は丸見えで、羞恥のあまりじんわりと濡れてくる。
「奉仕」と称する彼の行為は徐々にエスカレートしていき、挿入するまで執拗に愛撫されるのが日課になっていた。
「気持ちよさそうですね…もっと気持ちよくなった顔を見せてください…」
耳朶を甘噛みされ、低く響く声で囁かれると、それだけで感じてしまう。さらに冷たい指先で胸の先端を擦ったり抓ったりするからたまらない。
一方のセイは、少しだけ肌が上気しているものの、冷静な表情を崩していない。しかし下履きの中はすでに硬く立ち上がっており、少なからず興奮していることを伝えてくれた。
眼鏡の奥で目を細めながら、セイは満足げに口の端を上げる。
ぐずぐずになった割れ目を一定速度で撫でられ、秘芽を指で刺激される。不意に乳首をと秘芽を同時に摘ままれ、電気が走ったような快感が走った。
「ああっ、あっ…」
ぴんっと足を引き攣らせて絶頂する。開発され尽くしたこのからだは、挿入されなくても容易にイケるように躾けられてしまった。わたしの痴態を見て満足したのか、ゆっくりとセイは明かりを落とした。
枕元のランプだけがオレンジ色に灯る。
額に、頬に、首筋に、胸元に。いくつものキスが与えられた。指を2本、3本とナカに入れられて、感じる部分を何度も刺激される。あまりの快感に目を閉じようとすると、それを妨げるように胸の先端をかりりと噛まれた。条件反射で目を開けると、セイはぎらぎらした目で私を見つめた。
「目は、閉じないでください。いま、あなたが誰に抱かれているか、誰の手で乱れているのかを、きちんと見ていてください。」
そう言うと、セイは自身の昂ぶりをゆっくりわたしの中に埋め込んだ。
「んああっ…、あんっ…んんっ…」
規則正しい律動が続く。中を突かれるたびに、あられもない嬌声が漏れる。考えることを放棄したわたしは、されるがまま、与えられる行為に溺れていた。
この別邸に来てからは、性的行為以外はほとんど何もしていない。引きこもりで体力が落ちたせいか疲れやすくなり、ほとんど部屋から出なくなった。ひたすらセイの帰りを待ち、力尽きるまで抱きつぶされる。その繰り返し。
『主人公は、自身を愛してくれる人と結婚して、幸せに暮らしました。』
多くの物語は、そうやって終わる。それを当たり前のように思っていたけれど。
…これが、セイとアナスタシアが望んだ『幸せな結末』なんだろうか?
居を移しただけで結婚したという実感が湧かないのは、そのせいかもしれない。
セイと暮らす屋敷は、ゼレノイ家の本邸ではなく少し離れた位置にある別邸だ。しばらく夫婦水入らずで過ごしたいというセイの希望を受け、かつての当主が妾の別宅として建てた屋敷を譲り受けたそうだ。
わたしに用意された部屋は、最上階のいちばん奥。真っ白な壁紙に大きめのベッド、革張りの重厚なソファー、簡素な木の机と椅子、そして背の高い書棚。読書好きだったアナスタシアに倣い用意されたのだろう。すでに数多くの書籍が並んでいた。
はっきり言うと、かつて記憶を覗いた、アナスタシアの私室とよく似ていた。
トイレ・浴室完備なのは王宮と一緒で、部屋から出なくても不便はないようになっている。すべての窓に鉄格子が嵌められているのが気にはなるけど、防犯上の理由なのだろうと深くは気にしなかった。
セイから貰いアナスタシアがが大事にしていた本は、書棚の片隅に片づけられた。ドレスは備え付けのクロゼットにしまわれ、空になったトランクは書棚の上に置かれた。王宮を去る際に、餞別として贈られた数々の宝飾品は、大きなジュエリーボックスに収まった。
アレクから個人的に贈られたサファイヤのブレスレットは、こっそりと小さな箱に入れて机の引き出しにしまった。なんとなく…もうつける機会はないだろうし、セイが見たら嫌がると思ったから。
箱の中には、イヤーカフも入っている。
別れの間際に、ルーから渡されたものだ。艶々としたオニキスがはめ込まれ、裏側は細かい文字でびっしりと何かが刻まれている。セイと対で持っている通信用の魔道具と少し似ているので、同じような機能があるのかもしれないと思った。試しに魔力を少しだけ流したら、ふわりと光って消えた。
いつもルーが左耳に嵌めているイヤーカフの片割れ。一目で誰のものか解るそれを、目に触れないようブレスレットと一緒にしまいこんた。
夫婦で過ごす主寝室は、互いの私室から行き来できるよう扉で繋がっている。半円形になった出窓には鉄格子なんて無粋なものはなく、月明かりの夜には庭の木々がよく見えた。部屋の中心には広々とした天蓋付きのベッド。3~4人程度なら、ゆうに寝れそうなほどの大きさだ。
セイは、宰相補佐として連日忙しいばかりか、最近では新しい政策立案にも関わっているらしい。いつも帰りは遅く、わたしがひとりで夕食を食べ終えた後に帰宅する。きっと疲れているだろうに、そんな素振りはかけらも見せない。
そして自分が夕食を摂る時間もそこそこに、主寝室にわたしを連れていくのだ。
「ひゃうっ…」
押し倒されるような姿勢で首筋を舐められ、たまらず声を漏らした。からだのあちこちを舐めまわされながら、はだけて露わになった胸をぐにぐにと揉みしだかれる。
セイはもどかしげに首元のタイを緩め、床に放り投げた。そのままわたしの両脚が閉じられないよう自身の脚を割り入れる。下着をつけていない下半身は丸見えで、羞恥のあまりじんわりと濡れてくる。
「奉仕」と称する彼の行為は徐々にエスカレートしていき、挿入するまで執拗に愛撫されるのが日課になっていた。
「気持ちよさそうですね…もっと気持ちよくなった顔を見せてください…」
耳朶を甘噛みされ、低く響く声で囁かれると、それだけで感じてしまう。さらに冷たい指先で胸の先端を擦ったり抓ったりするからたまらない。
一方のセイは、少しだけ肌が上気しているものの、冷静な表情を崩していない。しかし下履きの中はすでに硬く立ち上がっており、少なからず興奮していることを伝えてくれた。
眼鏡の奥で目を細めながら、セイは満足げに口の端を上げる。
ぐずぐずになった割れ目を一定速度で撫でられ、秘芽を指で刺激される。不意に乳首をと秘芽を同時に摘ままれ、電気が走ったような快感が走った。
「ああっ、あっ…」
ぴんっと足を引き攣らせて絶頂する。開発され尽くしたこのからだは、挿入されなくても容易にイケるように躾けられてしまった。わたしの痴態を見て満足したのか、ゆっくりとセイは明かりを落とした。
枕元のランプだけがオレンジ色に灯る。
額に、頬に、首筋に、胸元に。いくつものキスが与えられた。指を2本、3本とナカに入れられて、感じる部分を何度も刺激される。あまりの快感に目を閉じようとすると、それを妨げるように胸の先端をかりりと噛まれた。条件反射で目を開けると、セイはぎらぎらした目で私を見つめた。
「目は、閉じないでください。いま、あなたが誰に抱かれているか、誰の手で乱れているのかを、きちんと見ていてください。」
そう言うと、セイは自身の昂ぶりをゆっくりわたしの中に埋め込んだ。
「んああっ…、あんっ…んんっ…」
規則正しい律動が続く。中を突かれるたびに、あられもない嬌声が漏れる。考えることを放棄したわたしは、されるがまま、与えられる行為に溺れていた。
この別邸に来てからは、性的行為以外はほとんど何もしていない。引きこもりで体力が落ちたせいか疲れやすくなり、ほとんど部屋から出なくなった。ひたすらセイの帰りを待ち、力尽きるまで抱きつぶされる。その繰り返し。
『主人公は、自身を愛してくれる人と結婚して、幸せに暮らしました。』
多くの物語は、そうやって終わる。それを当たり前のように思っていたけれど。
…これが、セイとアナスタシアが望んだ『幸せな結末』なんだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる