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冒険編

14話

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そして、夜中にナルロス家に向かったレオナルドは壁を超えて茂みに隠れた、最近権力者に対するイヤな事件が連発している、物凄い警備で迂闊に前に進めない
「凄い数の警備だな...」
レオナルドは一瞬の隙を突いて素早くナルロス家の窓から侵入をした、どうやら就寝する気配はなさそうだ
「アーサー様、睡眠を摂らなくてもいいのですか?」
「暗殺に盗人、まともに眠れる訳ないだろ」
この青年の名前アーサー・ナルロス、ナルロスの長男にして武術を修めた武闘派だ
「アーサー様、どうしてニヤついておられるのでしょうか?」
「なぁに、犯人がこの屋敷にやってくるんだろ?証拠集めに」
「証拠集め...ですか」
「ああ、陰謀界隈では我々権力者がこの街の市長争いバーナード家かナルロス家、それか別の何者かがやったとか大騒ぎだ」
「アーサー様はそんな疑いをかけられてイヤになりませんか?」
「黒幕の正体がバーナード家かナルロス家、真実は半分正解で半分外れだよ」
レオナルドはひっそり盗み聞きして会話を聞いていた
(どういう意味だ?この二つの一族が手を組んでいたのか?)
アーサーは壁に飾ってあった槍を取り出していきなり投げ始めた、投げた方向はレオナルドが隠れている天井裏に刺さった
(なんだと!?)
天井裏に刺さった槍はヒビを広がって崩れる、そしてレオナルドは落ちて平然と着地する
「隠れてないで出てこいよ」
「ふん、こういうことする限りお前は武人肌と見える」
「武人肌見えるか?」
「何!?」
「先に言っておこうか、デズモンド・ウィーリスを殺したのは俺だ」
レオナルドはいきなりの告白に驚き隠せなかった
「それと、首謀者はお前が思った通り、エルザ・バーナードだ、証拠隠しとして持っている領収書を捨てたか」
「何故、殺したんだ?普通に選挙で戦って当選すればいいのに」
「確かに、私が手を下す必要はなかった」
「何だと?」
「私は君を知っている、遠い街で圧倒的な強さで事件を解決している猛者がいるとな、そして偶然、飛行船が襲われて盗賊団を退けたと言う噂、暗殺者が次々とおかしな目に遭う、そこで確信したよ」
「俺と戦いためにわざと殺したというのか!」
「ああそうだよ!あのブサイクなバーナードのババァも俺に罪なすりつけたいようですし、ちょうどいいだろ」
レオナルドが少しニヤつきながら闘気をあげる
「いいだろう!お前を倒して捕まえて早く旅に出なければならないのだからなぁ!」
「外へ出ろ!そこの男同士、二人で拳で語り合おう」
「後悔させやるよ」
そして二人の戦闘が始まった

アイラの寝室には治癒魔法を使う僧侶がアイラの精神を癒す魔法を唱えていた、綺麗なお経で心が浄化されそうな感じでとても気持ちがいい、数分するとアイラの目に輝きが取り戻した
「私...」
「アイラ!?」
「アイラちゃん!?」
「あなたたち?」
「良かった、目が覚めて」
「そうか...お父さんが殺されて、気を失って、ごめんなさい、心配をかけて」
「いいのいいの!悪いのは犯人だから」
「今、レオナルドという男が犯人を突き詰めているわ」
ミサキが説明をする、するとアイラの友人がとある提案する
「ねぇ?何か欲しいものとかある?」
「今はいいわ、ありがとうね、気を遣ってくれて」
「今度、一緒に食事でもいかがですか?ミサキさん」
「私はやるべき事があるためにこの事件を解決している」
ミサキは丁重断った、せっかく仲良くなった友人からの誘いを断って申し訳ないとい気持ちがいっぱいだった、そしてミサキは席を外して、レオナルド元へ向かう
「もういいかな、それじゃぁ私は失礼するよ」
そう言ってアイラの寝室から出ていった

レオナルドとアーサーはナルロス邸の広場でハイレベルな戦闘を繰り広げている、レオナルドは一瞬で勝負を決めようと股間に向かって正拳突きで放つが効かなかった
「何かしたか?」
「何!?」
レオナルドの正拳突きはアーサーの股間にダメージを与えられなかったのだ
「何故!男の急所が効かない!?」
「俺は武術を極めた武道家だ、ありとあらゆる肉体を鍛えている、もちろん、股間もなぁ!」
アーサーは何度も何度も股間を叩く、見てるこっちが痛々しい
「幼少期の頃から常に肉体と精神を鍛え続けた俺に通じる攻撃はない」
「お前、頭弱いな」
「そんなに俺と戦いたいなら直接言えば良かったものを」
「急いでいるんだろう?アルトリウム大陸に」
「そうか、ふん暗殺さえしなければ評価は変わったものを」
「俺は他人の評価を気にしない、純粋に俺には武術の才能があり強くなりたいと思ったのだ」
「恨みのない人を殺すお前に強さを感じない」
「デズモンドか、奴は嫌われていて恨みを抱く者も多い、死んで良かったと思ってる人も多い」
「言い訳にも理由にもならないな」
レオナルドの手刀がアーサーに喉に突き刺す上段受けで止められてしまう
「ふん!なかなかやるじゃん!」
「面白いねぇ!」
アーサーの跳び膝蹴りがレオナルドの顔面に刺さった、その威力はあまりにも重く激しく普通の猛者なら軽く気絶する程だった、この一撃は数多の戦士を屠った一撃だった
「アーサー君よぉ少しはやるじゃねぇか」
レオナルドは思わずニヤついてしまう
「レオナルド!俺は別にこの家の地位も名誉も拘りはしない、約束しよう!負けたら自首するとな」
「約束ごとの多いな事ですな、ちょうどいい、国際軍事帝国が犯人を捕まえれば手間が省けるんだからな」
両者の重くて素早い拳が激しくぶつかり合う、アーサーの神速の足払いが決まり、レオナルドは大きき転倒してバランスを崩した
「よいしょ!」
なんとか側転してバランスを持ちこたえる、そして反撃に震脚を踏まえた発勁で攻撃する、踏み込んだ足は地面にヒビを入れるぐらい衝撃だった、そのレオナルドが放つ発勁はアーサーの顔を危険と察知する程の威力だった、だが顔の表情に臆した表情はない、寧ろ笑っているのであった
「こい!お前の発勁を受け切ってやる!」
「後悔するなよ!」
アーサーは左腕の上段受けでレオナルドの発勁を受けた
(この威力!骨が持っていかれる!)
アーサーは苦悶も表情でなんとか耐え切って見せたか、もう左腕が使い物にならない、腰を少し曲げて左肩を前に出して左腕を垂直に下ろしている
「その腕ではもう戦う事は出来ないな、自首しなよ」
「ふん!自首か、その言葉は前言撤回させてもらう」
「何だと!?」
右手で大きな口笛を増えて翼竜らしきものがアーサーの右手を掴み何処か連れ去ってしまう
「レオナルド!また何処かで戦おう!」
「ちっ!逃げたか」
すると、空から手紙らしきものが落ちてきた、レオナルドはそれを受け取り、手紙の詳細を見るとそれは証拠品であった、ナイフの領収書とアーサー宛の手紙が何よりの証拠であった、この二つの証拠でエルザ・バーナードを捕まえる事は出来る、するとミサキが遅れてやって来た
「ミサキ、ちょうど所に来た、事件は半分解決したよ」
「ほんとに?」
「このナイフを購入した領収書と実行犯宛に書いた手紙、これが証拠だ」
「流石レオナルド!」
「だが、実行犯はかなり武闘派だったため何処か逃げていった」
「それは残念ね、でもまあ、一人捕まえたから良しとするね」
そして、国際軍事警察の隊長に証拠を渡して、容疑者、エルザ・バーナードを捕まえた、エルザの顔には憎しみと怒りのような表情が浮かぶ、隊長は二人の活躍の御礼として
「まあいいだろう、一人犯人を捕まえた御礼として、アルトリウム大陸までの飛行船を手配しよう、四日後に此処に国際軍事警察の使用する飛行船が来る、大人しく待機しているがいい」
「約束、破るなよ?」
「なんだ?我々が信用出来ないのか?」
「権力者の言う事が信用出来ないだけだ」
「何を言ってるのか理解出来ないが、安心しろ、国際軍事警察の信用を損なうような事はない決してない、四日後に旅立つ準備をしておくといい」
そう言ってエルザを拘束して馬車で何処か去っていった、ミサキはアイラとさよならの挨拶を交わして、またいつか食事でも出来るないか約束した、そして四日後に国際軍事警察の飛行船がやって来た、二人は乗り込んで席を座り、窓から大地を離陸する所を見て旅立ったのであった
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