異世界侍(A different world samurai )

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エピソード9

12話

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武道家がキャロルの元に戻る
「どうだった?」
「ああ、上手くいったよ」
「そうか、それは良かった」
「だが、あのトカゲは1匹ではないような気がするから注意しよう」
「そうだな」
キャロルと武道家は更に前に進む、なんかすごい熱気を感じる
「この暑さ...何...」
キャロルはこの暑さに違和感を感じた、何か前から何かがくる、そして
「危ないっ!」
「!?」
キャロルは素早く武道家を庇い伏せる、物凄い火炎が正面からやってきたのだ、キャロルは背中に火傷を負いながら武道家を庇った
「くう...(我慢だ、聖域に入るまで痩せ我慢だ)」
「大丈夫か!?」
「気にするな、それより早く聖域行って治療したい、ここの通路を一気に駆け抜けるぞ!」
2人は直ぐに立ち上がり一気に走り抜ける、あそこに聖域が見えた、そして再び熱気を感じ始める
「全力で走り切れっ!」
「はぁはぁはぁ」
そして右側にある聖域に滑り込むように飛び込む
「はぁはぁはぁ...あっつぅぅ...」
キャロルは服を脱ぎ始める、背中が酷く焼けていて溶けた服が皮膚に染み込んでいる、キャロルはナイフと鏡を取り出し、溶けて皮膚に染み込んだ服を皮膚ごと切って切除する
「うっ!」
火傷と切傷の痛みが同時に襲う、その痛みは武道家にも肌で感じた
「すまない...」
「罪悪感を感じるなら、俺の目的に同行しろ、いててぇ」
「目的?」
キャロルは武道家に事細かく説明した
「なるほど、国のために、そして英雄であり戦友に近づくためにこの神殿の試練を乗り越えようと」
「ああ、アイツは俺たちの国を救った異国人だ、負けられない」
「そして、エスタンとヴァリスタンを戦争に導いた張本人は何を企んでいるかわからないけど、あんたは俺の命を救った、あんたに協力するよ」
キャロルはバックパックから治療道具を取り出して焼けた皮膚を治療して包帯を巻く
「はぁはぁはぁ」
そして、息を吐きながら軽装な服に衣替えをする、随分動きやすいよう見える、キャロルは立ち上がり再び歩き始める、印をつけながら前に進むのは瞬時に逃げられるようにするためだ
「まて...死神だ」
ただの青い死神だった、熟知したキャロルは簡単に対処する、それに武道家は追従しながら前に進む、武道家は何かを踏むよう感覚がした、すると横から矢が飛んできた、キャロルは超反応で躱したが武道家は必死で避けた、そして武道家の頬に切傷が刻まれる
「集中しろ...」
キャロルがキレ気味で武道家に注意をする、慢心して来た武道家によって死ぬわけにはいかないのだ
「すまない」
と、武道家は謝る、そして矢が飛んで壁に当たった音が響きわたって青い死神の耳に入る、キャロルは既に想定済みでこのような事に対策してあった、ありとあらゆる場所にサウンドトラップを仕掛けておいてあり、音でバレた時に陽動をとるためだ、音を立てず素早く更なる階層に見つけ降り下る、降り下ると凄い拾い空間に辿り着いた、それは丸く虚無のような空間だ、いきなり壁に側にある松明が紫の炎を照らし出す、2人はここで誰かと戦うのだと、そう感じた、キャロルは上から何か落ちてくる気配を感じた、それを武道家に知らせた
「おい、上から何か落ちてくるぞ」
それは2つの黒い塊のような物体が落ちて来た、2つの黒い塊はキャロルと武道家に模した形を取ったのだ
「ほう、俺の偽物を倒せってか」
黒いキャロルと武道家が立ち塞がる、そして本物と偽物がぶつかり合う、先に先手を打ったのは黒い武道家だ、黒い武道家は一瞬にして武道家に正拳突きの打撃を与える、そして気を失った、キャロルはそれに気付いたが仲間を守る程度、実力も技量もない、その一瞬の突きを突かれてキャロルは黒いキャロルに脳天踵落としを喰らってしまい2人は友に気絶する
「ここは?どこ?一体何が...偽物に負けて死んだのか...」
まるで雲の中にいるような空間で目が覚めた、数分歩き彷徨い続けると黒い煙が人を形作る、その煙はキャロルを形造る
「!?」
また、黒いキャロルが再び現れたのだ
「お前は一体何なんだ!!!」
「俺はお前の負の部分」
「なんだと!?」
「お前の劣等感、絶望、過去の恐怖が具現化した姿だ」
そして、黒いキャロルは姿を消す、消えた時に背景が変わる
「ここは...エスタン...これは兵舎?」
そこには見覚えのある光景だった
「あれは...」
まだ、エスタン王国の兵士になる前の幼い頃のキャロルだ、この日は入団テストを行う日だ、キャロルはある記憶を思い出す、それは自分にとって嫌な思い出だ
「はぁぁぁ!!!」
「遅い!」
「うぬっ!」
幼いキャロルが持ってた木剣が吹き飛んだ
「よわっ」
「え!?この程度でエスタン兵士を志望するのか?」
「身の程知らずすぎる」
周囲の陰口が聞こえてくる、彼はエスタン将軍のレイエルン・マースタイン、強さは勿論、賢く勇気もお持ち合わせており、人格者でもある、マースタインはキャロルへの陰口を黙らせるために黙らせる
「君たちはキャロルの勇気を賞賛すべきだ、兵士たるもの、命をかけて君主や組織のために戦うのが兵士だ、キャロルはどんな相手にも挑む勇気を持っている、そこの陰口を叩いていたお前は私に挑む勇気はあるか?」
「あるわけないでしょ、だがキャロルより実力はある、負けるとわかっていても勝負を挑むは勇気とは思いません、無謀と思います」
「ふん」
あの性悪の人はダルク・ニーマルオン、キャロルと同じ同期に入団した人だ、多芸の才能に恵まれて名家の出身だ、昔からキャロルはそいつからバカにされながら比べられてきた、将軍エイレルンが提案を言い出した
「キャロル!ダルク!今から模擬戦をやれ!」
「いいですよ、出来損ないの貴族を分からせてやりますよ」
(俺だっていつまでもバカにされてたまるか!)
だが、勝負は一瞬にして決まった
「弱すぎる...こんな実力で兵士になろうとか...」
だが、キャロルの目は諦めていなかった、油断しているダルクに不意を突いて木剣を袈裟切る、が、ダルクは余裕で躱す、そして、そのまま足払いをして盛大に転がす
「しつこいんだよ!お前にエスタン騎士、いや、兵士ですら務まらん!」
「俺はなるんだ!ここで諦めないぃ!」
「うるさい!」
ダルクは容赦無くキャロルに木剣を叩き込む
(なんなんだ...コイツ、叩いても叩いても目の輝きが失わない...)
ダルクは一瞬、動きが止まり、キャロルに反撃の機会を作ってしまう
(ここだ!)
キャロルの渾身の切り上げがダルクのこめかみを切り裂いたのだ、僅かに流血を流すダルク、キャロルは束の間の笑みを浮かべるが、キレたダルクは容赦無く打撃やいろんな攻撃を与えてキャロルを潰す、そしていつのまにか気絶した、気がつくと医務室で横になっていた
(そうか...俺は落ちたのか...)
そう落ち込んでいると、将軍エイレルンがやってきた
「君はよく頑張った、合格だ」
「え!?」
「君は勇気がある、それは戦いの強さより大事な素質だ、是非、エスタン王国のために勇気を見せて欲しい」
キャロルは素質によって合格を認められた

「懐かしい、そうだった俺はエイレルン将軍に勇気があると言われて入団したんだ、あ!」
キャロルは思い出す、勇気の行動が裏目に出て悲惨な結末のなる事を思い出した

「ここは...」

当時、キャロル20歳
「凄い実力だ!」
キャロルは着々と実力を身につけてきた、ダリルが上から目線で褒める
「なかなかやるようになったじゃん」
「ああ、いつまでも下に見られるのは悔しいからな」
「ふん」
模擬戦ではキャロルもダリルも互角の実力を身につけてきた、将軍エイレルンはそれを関心に思って見守ってた
(うむ、みんな強くなってきた、特にあの2人は切磋琢磨しあういい関係だ)

「懐かしい、あの時は負けないと意地を張っていたな、あの時の任務が来るまでは」
そして、当時キャロルは22歳になった、エスタン国王勅令任務が課される、それはエイレルン将軍と共に国家転覆を狙う過激派武装集団を殲滅するのが目的だ

「そうだ、俺はこの任務で...」

ここは湿地帯、蒸し暑い道中を汗を出しながら進むエスタン外征部隊
「待て!あれは?」
「間違いない、過激派武装集団の端くれだ」
ゆっくり後を追うが、1人の兵士が枝を踏んで音でバレた
「おい...」
「すまん」
「しゃーない、戦闘形態に入るぞ」
集団の武装集団が襲いかかってきた
「ちい!」
キャロルが紙一重で不意打ちを躱す、そしてダリルがキャロルのカバーをする
「よし!前に続けぇ!」
そして、将軍エイレルンに続いて前に進む外征部隊、次々と倒していき過激派武装集団が少しずつ後退していく
「続けぇ!」
「あいつ、1人だけ逃げるつもりだぞ!」
「おえぇ!」
将軍エイレルン御一行は過激派武装集団の後を逃さない、そしてありとあらゆる罠や仕掛けを突破していき追い詰める
「諦めろ!素直に投降しろ!」
ジリジリと近づく、ここは沼地だ、いきなり地面が揺れ出した
「なんだ?!」
地面から大きなトカゲが現れた、そして過激派武装集団の数人を飲み込んだ
「気をつけろ!リザードイーターだ!」
「こいつ、エスタン辺りに生息してたか?」
「おそらく連れてきたんだろう」

将軍エイレルン、キャロル、ダリルの3人は迎え討ち、残りの部隊の人は後を追うことにした
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