低級精霊も積もれば神となる~最弱の俺がいつの間にか最強パーティの中心です~

遖なリ

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5 精霊が増えすぎて目を付けられました

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精霊たちが集まり始めてから、何日が経っただろう。

昼も夜も区別なく、俺の周囲には常に光があった。

最初は数十。次に数百。そして数千。
今では数えるのをやめるほどだ。

(…多すぎだろ)

俺を中心に集まった精霊たちはまるで壁のようになっていて連れて歩くのは困難なため、森の探索は一時休止。

当然、これだけの量が集まればモンスターも寄ってくる。
戦闘はこの集団の外側の精霊が担当し、戦闘が終われば力尽きた精霊を周囲の精霊たちが俺のところまで運んでくる。
回復が終わると、精霊たちは満足そうに前線へと帰っていく。

怯えて隠れながら暮らす生活より明らかに安定した毎日になっているが、いつまでもスライムやゴブリンだけが襲ってくるとは限らない。
大型のモンスターや、魔法の効かないモンスターが来てしまえば全滅だ。

そう考えるとやはり目立つのは危険すぎる。

(どうしたものか…)

俺が悩んでいる間にも、外側では小さな戦闘がいくつも起きていた。
衝撃や魔力の揺らぎは、精霊たちの壁を通してぼんやりと伝わってくる。

しばらくして、ふわふわと数体の精霊が戻ってきた。
中央へ、中央へと――
ぐったりした仲間を抱えるように、押すようにして。

「はいはい、今やるからな」

すり。

光が安定し、精霊はふわっと浮き直す。
そして何事もなかったかのように前線へ戻っていく。

……これだ。
完全に“流れ”ができてしまっている。

(戦って、運ばれて、回復して、戻る)

俺を中心に回る、ひとつの循環。
安定している。
だが、同時に――危うい。

もし、俺が回復できなくなったら?
もし、敵が一気に押し寄せたら?
もし、もっと強い存在が現れたら?

考えれば考えるほど、この形は「長くはもたない」と分かる。

そんな不安を抱えたまま、いつも通り回復を続けていたときだった。

「次――」

中央へ運ばれてきたのは、今にも消えそうなほど弱った精霊……に、見えた。

ぐったり。
光も弱い。
揺れも不安定。

(これは重症だな)

すり。

光が触れた瞬間、精霊の輝きが一気に安定する。

「よし、もう大丈夫――」

……なのに。

離れない。

すり……。

「?」

すりすり……。

(いや、もう治ってるはずだけど?)

俺が少し距離を取ると、その精霊は――

ぐらっ。

まるで今にも倒れそうな動きを見せた。

「え、まだダメか?」

次の瞬間、セラがその精霊を押し返していく。抵抗しているその姿は健康そのものだった。

(……もしかして…仮病??悪知恵をつけたなぁ。)

今度は別の精霊がやってきた。

この個体は、最初からやけに元気そうだ。
なのに、わざわざ中央まで来て、俺の前でぴたりと止まる。

「……君、戦ってきた?」

ふわっ、と小さく揺れる。

肯定か否定か分からない、曖昧な反応。

とりあえず、すり。

光は即座に安定する。

「はい、終わり――」

名残惜しそうに離れて、精霊たちの群れの中に消えていったが……

「……バレないと思ってる?」

さっき治療が終わった精霊が色味を少しだけ変えてまたやってきた。

「ほら、最後だからね。」

軽くすりすりしてあげると満足そうに離れていった。

さらにその後。

回復を終えた精霊たちが、なぜか俺の周囲に留まり始めた。

一匹。 二匹。 三匹。

そういう精霊もセラたちに無理やり押し返されていく。


精霊たちは、確実に変わってきている。

回復の意味を理解し、
待つことを覚え、
ズルをすることすら覚えた。

(最初はふわふわと浮かぶだけしかできなかったのに……成長したなぁ…)

これが母性本能というやつか…
俺の性別分からないけど。

……と、そんなことを考えていた、その瞬間だった。

「貴方が核ですね?」

冷静で冷たい女性の声。

(…え?)

背後に、誰かが”立っている”。

それなのに気配は薄い。
どうやって、精霊たちの壁を抜けてきた?

振り返った瞬間、周囲の精霊たちが一斉にざわめいた。

次の瞬間。

火、水、風、雷。
無数の低級精霊たちが、反射的に魔法を放つ。

一つ一つは弱い。
だが、その数は脅威的。

魔法は束になり、流れとなり、空間を埋め尽くす。

しかし、

――パチンッ

得体のしれない女が指を鳴らしただけで、すべてが霧散した。

爆発も、衝撃もない。
ただ、消えた。

まるで、最初から存在しなかったかのように。

「低級が意思や感情を明確に持ち、これほどまでの群れを成し、あまつさえ森の『管理者』である私に歯向かう……」

女性は、困ったように肩をすくめる。

「なかなかに面白いですね」

精霊たちは怯まず、さらに前に出ようとする。
俺を守るように、壁を厚くする。

だが女性は、その中を普通に歩いてくる。

「ですが、いえ…だからこそ」

彼女の視線が、まっすぐ俺を捉えた。

「これは、処理対象ですね」

その一言で、
この場にいる全員が理解した。

――格が、違う。
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