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?日目
しおりを挟むイブが眠りについた翌日、アダムはルシフェルに別れを告げた。
己には他にやるべき事が出来てしまったのだという彼に、彼女はそうか、とだけ答え、深く詮索することもなかった。
「――ところでアダム、君の推定寿命が延びているようなのだが」
あぁ、アダムは笑って答えた。
「きちんと3食、タンパク質もとってますから」
◇
その日から毎日、アダムは研究を続けた。
日の出と共に起き、食事をして、たまには身体を動かしてみて、そして毎晩彼女におやすみを言った。
アンドロイド2705歴
大気中の有害物質を分解する装置を作り上げた。
アンドロイド歴2895年
土壌の成分を浄化する装置が完成した。
アンドロイド歴3001年
この星が受ける太陽光を調整する物質を生み出した。
アンドロイド歴3416年
過去のDNAデータから絶滅した樹木の再生に成功した。
はじめは1人きりで始めた研究も、100年、500年、1000年と経ち、世界の景色が変化していくに従って、少しずつ彼の考えに賛同するアンドロイド達が現れた。
◇ ◇ ◇
新アンドロイド歴1458年
この日、ついに待ち望んだその日が訪れた。
◇ ◇ ◇
◇
意識が浮上した彼女が最初に感じたのは、ふわりと香る甘い香り。
ゆっくりと身を起こし、うっすら目を開ける。
明るさに慣れない瞳では、光が眩しくてよく見えない。
はじめはぼんやりと、次第にはっきりと見えてきたその景色に、イブははっと息を飲んだ。
――そこは、一面の花畑だった。
透き通るような青空からは、きらきらと日の光が差し込み、そよぐ風に花々が揺れる。
花の甘い香り、濡れた土の香り、遠い昔と同じ匂い。
「おはよう、イブ」
この景色に見とれていたイブは背後からそっとかけられた声に、ピクンと反応した。
ゆっくりと振り返る。
長い髪が揺れる。
そこに、懐かしい瞳を見つけて、彼女はふわりと微笑んだ。
「――おはよう、アダム」
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