烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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一緒にダンジョン編

17 ステータスのおかげです

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 コケコッコーという鶏の鳴く声で私は目を覚ました。
 この鶏はロキさんの牧場で養われている鶏で、いつも六時になると元気よく鳴くのだ。

 私はベッドから降り、大きく背伸びをする。
 窓を開け、私は朝の空気を吸う。
 もう気付けばルゲル村に来て一週間が経とうとしてる。

 私はまだ完全には覚め切っていない脳のまま部屋を出て、階段を降りていく。すると、ふわふわと甘い香りがした。甘い香りはキッチンへと続いており、私は軽い足取りでキッチンへと向かう。

 「アンくんおはよう。いい香りだね」

 「おはよう。今日はパンケーキだから、イチゴジャムとブルーベリージャムどっちがいい? 生クリームと一緒につけて食べると美味しいんだけど」

 「うーん……じゃあブルーベリーにしようかな」

 「りょーかい」

 アンくんはそう言うと、朝食作りに再び取り掛かった。
 居候する身だからという理由で家事全般をしてくれてる訳なんだけど、それがまた慣れた手つきで驚いた。聞くところにしよると両親二人が竜騎士らしく、家に居ないことが多かった為、下の子達の面倒はアンくんが見ていたらしい。その為家事全般が得意になったとか。

 私はチラリと横目でアンくんの様子を伺う。

 慣れた手つきでパンケーキを焼き、お皿に盛る。その時に生クリームやジャムのデコレーションにまで力を入れるその姿に嫁に行けるレベルだなと思った。そして何より自分よりも遥かに女子力のありそうなアンくんに私は関心しながらも少し悲しくもなった。



 **********



「美味しかったよ、アンくん。ありがとね」

 「別に……それよりお師匠。今日は何するんだ?」

 「魔法の練習しようかなーって思ってるけど」

 そう私が言えばアンくんがキラキラした瞳で私を見詰めてきた。あまりの眩さに私は思わず目を両手で覆う。

 「じゃあさ、お師匠! 俺に稽古してよ!」

 「稽古とは言ってもアンくん、私は剣術は教えられないよ?」

 「剣術じゃなくてどうやったらあんなに凄い身のこなしが出来るのか知りたいんだよ!」

 身のこなし……。なるほど。そっちできたか。
 取り敢えずまずは説明しないといけないようだ。

 「あー、多分、それはステータスのおかげだと思うんだよね、うん」

 「ステータス??」

 首を傾げるアンくん。
 竜人はステータスを知らないようだ。

 「ステータスはその人の能力を正確に測ったものなの。六つのステータス要素があって平均が300、マックスで1000だよ」

 「マックスのステータスの人間って居るのか?」

 ビクッと肩を揺らす私。
 そう言えばまだアンくんには言ってなかった。
 私は頬を掻きながら何故今まで話すことを忘れていたのかと心底悔やむのだった。

 「と、取り敢えず今からギルドに行ってステータスを測ってもらいましょう。それでアンくんに必要なステータス要素が何かを知ってそれから稽古しよう。どうかな?」

 「分かった。強くなる為に俺、頑張るよ!」

 なんて無邪気な笑顔で言うアンくんに私は苦笑を浮かべる。
 ま、まぁ……後で言えばいいよね?
 それよりも稽古しようなんて言っちゃったけど、教えれる自信は全く無い。一体どうやって教えればいいのだろうか?
 身のこなしに関しては本当にステータスのおかげだと私は思ってるのだ。

 …………不安だけが降り積もっていく。

 
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