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パン屋がやってきた編
57 発見!
しおりを挟むその後、次々に沢山のモンスターを倒していった。
気付けば収納ボックスの中はモンスター達から手に入れたアイテムばかりになっていた。
「いっぱい取れましたね! あの、私、役に経ちましたか?」
「うん、 勿論だよ」
私が頭を撫でればルカが満足気に笑う。
ほんと、天使。癒される。
そう思っていると
「エデンさん! 見て下さいっ!」
「え……?」
ルカが突然大きな声を上げた。
私はルカの指さす方へと視線をむける。
するとそこにはキラキラと輝くオレンジ色の実を付けた大きな木があった。
「この木から物凄い魔力を感じる……」
私は一歩、また一歩とその木へと近づいていく。
本で一度読んだことがあった。
魔力というものは本当は自然から作り出されているのではないか……という少し難しめの本。それを読んだ時、私はまだ幼かったから本の内容のほとんどを理解する事は出来なかったけどあの本が大好きだったっけ。
大樹に実るだけあってその木の実もとても大きかった。
すると足元から小さな鳴き声が聞こえてきた。
【 嬢ちゃん。ナイスタイミングじゃねぇかっ!】
「リスさん!? どうしてここに?」
どうやらこの小さな鳴き声はユウさんと森に入った時に会ったリスさんの鳴き声だったみたい。
【仲間からこの木のことを聞いてな。今から教えに行こうと思っていた所だったんだ!】
「そうだったんだ! いろいろとありがとう。リスさん」
【いやいや。そんな礼を言うことでもないさ】
リスさんはそう言うと、また小さく鳴いた。
どうやらこの大樹になる木の実がユウさんの言っていた幻の食材らしい。
私は早速鑑定眼でその木の実について調べてみた。
_______________
名前 幻の実
品質 SSS
レア度 ★★★★★
説明 ある一定の森のしか育たない実。その事から幻の実と名づけられた。
フルーツとしてジャムに使用するがオススメ。
_______________
あ、名前はそのまんまなんだ。
「エデンさん! ルカ木登り得意です! 取ってきますね!」
「ちょっとルカ!?」
ルカは素早い動きで大樹へと登っていってしまった。
あの子ドラゴンだったのよね? 木登りなんてした事あるの?
と、今はそんな場合では無かった。
私は慌てて大樹の側へと駆け寄る。
しかしもうルカはどんどん上へと登っていく。
後を追ったとしても間に合わないのは明確だった。
「エデンさん! 取れましたよー!」
心配していたのも束の間。いつの間にか木の実の所に辿り着いていたルカが木の実を片手に手を振っていた。
「ルカー! 嬉しいのは分かるけど、起っこちないようにしてねー!」
「分かってまーす!」
元気な声が返ってきて私はホッと胸を撫で下ろした。
ドラゴンだったルカは空を飛んでいたからか高い所に耐性があるようだ。
大きな枝の上を歩きながら、木の実を次々に下へと投げるルカ。
私はそれをキャッチしながら次々にボックスの中へと閉まっていく。
「ルカー! あんまり取りすぎるのは自然によくないからそれくらいでいいよー!」
「はい!! わかりまし……フミャ!?」
ルカが元気よく返事をしたかと思った次の瞬間、ルカが足を滑らせた。
真っ逆さに落ちてくるルカ。
私は慌てて落下地点に入り、落ちてくるルカを何とか受け止めた。
危機一髪、私はルカを受け止めることが出来た。
「エデンさん!ごめんなさいっ! ごめんなさい!」
涙目になりながら何度も謝るルカ。
「大丈夫だよ。けど、無理はダメ。それと……ごめんね怖い思いさせちゃって」
私はルカの頭を優しく撫でた。
そうすればルカの瞳からは大きな涙が零れた。
やっぱり怖かったらしい。
まぁ、あれだけ高い所から落ちたらそりゃあ怖くなるよね。
私は自分の胸の中で泣きじゃくるルカの背中を優しく撫でながらルカが泣き止むのを待った。
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