烙印を理由に婚約破棄。その結果ステータスALL1000の魔導師になりまして

流雲青人

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アンドレを連れ戻せ! 編

66 消えた弟子の行方

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 いつもなら美味しそうな香りがして目を覚ます筈なのに今日はそんな香りがしないまま私は目を覚ました。

 隣を見ればまだ夢の中のルカの姿。
 寝息をたてて気持ちよさそうに眠っている。
 私はそんなルカを起こさないようそっとベッドから降りて下へと向かった。

 「アンくんー?」

 キッチンに来たアンくんの姿を探す。
 けれどアンくんの姿は無かった。
 いつもなら朝食の支度真っ最中の筈なのに……。

 今度は外へ出てみる。
 けどやっぱり居なかった。
 買い出しかな?
 そう思っていると

 「エデンさん! 大変ですー!!」

 「メルさん?」

 慌てた様子のメルさんがやって来た。
 その慌てようから私は何かあったのだと悟った。
 メルさんは息を整えながら話し始めた。

 「先程ロキさんの牧場近くに白いドラゴンが現れたんです!」

 「ドラゴン!? 」

 「はい。もう飛びだってしまったみたいなんですが……」

 急に黙り込むメルさん。
 しかも何故か顔が真っ青だった。
 
「……実はそこにバスケットが落ちてました。恐らく……アンドレ君のものかと……」

「アンくんの?」

 私の言葉にメルさんが頷いた。
 話を聞けば今ルゲル村中がパニック状態らしい。
 どうやら突然のドラゴンの出現に皆驚いてしまったらしい。
 私はルカを起こしメルさんと共にギルドへと向かった。詳しい話はそちらで聞くことにした。



********



 ギルドには村長とロキさんの姿があった。
 二人はテーブルを囲み座っていた。
 そしてそのテーブルの上にはバスケットが置いてあった。

 「間違いないです。これはアンくんが使ってるものです」

 私がそう言えば村長が話し出す。

 「恐らくだが竜の国へ連れていかれたんだろうな。あの白いドラゴンはここらじゃまずいないドラゴンだからな。きっと竜の国にしかいない上等なドラゴンだと思うぞ」

 冒険者だった村長からそう言われると説得力があった。
 ……白いドラゴンか。

 「でも何故でしょうか? アンドレ君は竜騎士の試験に不合格したんですよね? なら竜の国からは追放のはずでは……」

 「はい。確かにアンくんもそう言ってました」

 じゃあ……何で??
 謎は深まるばかりだった。

 「取り敢えず、行ってきます」

 私がそう言えば三人が「え」と言葉をこぼす。
 そして私が「え?」と言えば、村長さん、メルさん、ロキさんが慌てた様子で話し始めた。

 「行くってまさか竜の国にですか!?」

 
 「はい。そうですけど……」

 「竜の国は危険だ! 竜人は人間嫌いで有名だぞ!」

 「村長とメルの言う通りだ! 危険すぎるぞ!」

 三人とも私を心配して言ってくれているのが凄く伝わってきた。
 だけど…………

 私は拳をギュッと握りしめる。


 「アンくんは……私の大切な弟子です。師匠は弟子が立派になって旅立つ姿を見守るのが務め。けど、私はまだそれを果たしていないんです。それに……アンくんが竜騎士になりたかったのはよく知ってます。けど、竜の国へと戻るならちゃんとアンくんの口から聞きたいんです」

 これは師匠として……それと私自身の思いだ。
 アンくんは一番弟子であり私の家族みたいなものだ。
 正直、今の私はアンくんのいない生活なんて考えきれない。

 三人は顔を見合わせるなりやれやれといった様子で話し出す。

 「止めても無駄のようだな。だがなエデン。竜人は強者ばかりだ。いくらお前が最強であろうとも油断は出来んぞ」

 「はい!」

 村長の言葉を胸に私は大きな返事を返した。

 その後竜の国へと向かう為の準備を始めた。
 動きやすい服に着替え、鞄に食料など必要最低限のものを詰めていく。
 放置していたせかい髪はすっかり伸びていた。
 邪魔になるので取り敢えず二つに結った。
 竜の国へはルカが連れて行ってくれる。
 ルゲル村の皆にしばしの別れを告げた後、私はドラゴン姿のルカと共に竜の国へと向かった。

 
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