そんなに妹が良いのなら婚約者の座は妹に譲ります

流雲青人

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第二王子、襲来

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短めです。次で完結予定です
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 「メアリー殿下、どうしてここに!? 確か隣国に留学中じゃ…」


 約五年ぶりの再会だろうか。
 メアリーの背丈は最後に会った時よりもかなり伸びて、容姿も随分変わっているが、その姿は正しくメアリーだ。

 突然の再会に驚きと嬉しさでいっぱいになる私の桜色の唇に、メアリーの人差し指が置かれる。

 メアリーは、太陽の様に眩しい金色の髪を一つに束ね、やや華奢な身体と中性的な顔立ちと言った一見女性とみ間違えてしまいそうになる容姿をしているけど、しっかりと鍛え抜かれた肉体と凛とした覇気が溢れ出ている。

 そんなメアリーが口元を弧を描くかのようにして微笑みながら、まるで私に言い聞かせるかのように話し始めあ。


 「オレの今の姿は?」
 「申し訳ございませんっ! そのメモル殿下…」
 「そ。オレはメモル。その名前で呼ぶのは今じゃないよ。あ、因みにオレがここに居る理由は、学校が長期休暇に入ったから。久々にティア達に会いたいなって思って遊びに来たんだけど……。兄さん来てるよね?」


 そのメモルの声は少々不満げ。


 「はい、いらっしゃっていますよ。けど少しいえ、かなり良い所だと思うので邪魔しちゃうかも……」


 私の言葉にメアリー……ではなく、メモルは不思議そうに首を傾げた。
 そんな彼にことの事情を私が全て話せば、メアリーは目をパチクリと目を見開いた後、お腹を抱えて笑いだした。


 「な、なぜそんなに笑っておられるのですか?」
 「ごめんごめん。ただ、二人は相変わらずだなって思っただけだよ。けど、そっか。なら……僕がティアを貰っても良いって事だよね?」


 そうメモルは言うと、私を自身の方へと引き寄せる。
 そしてそのまま腰へと手を回し、微笑むとまるで誰かに見せつけるかのように今度はティアを自身の胸の中へと収め、抱き締めた。
 突然の事に私はとても戸惑う。
 と言うか玄関で一体自分は何をやっているのだろう…と我に返りつつ、私はメモルの腕の中で不満の声を漏らす。


 「メアリー……って呼びますよ。昔みたいに」


 ムッと私は頬を膨らます。

 こうして向き合って立つとメモルの成長具合がよく分かった。昔は自分よりも小さくて、お城に行けばずっと後ろを着いてくるような…そんな可愛い子だった。
 しかし、今はどうだろう。背はあっという間に越され、国の為にと身を張る彼の姿は昔の可愛いメモルとは別人のようで、何だか寂しくもあった。


 金色の髪の束に優しく触れ、メモル……メアリーへと訊ねる。


 「……メアリー。貴方が本当に今を望むのなら、さっきの言葉通り私は貴方のモノになっても構わないんですよ? その場合、まずはクラウス殿下との婚約を破棄しないといけないんですけど…」
 「うわぁ…。ティアって結構痛いところついてくるよな」


 乾いた笑みを浮かべる彼を、今度は私が優しく抱き締め返そうとしたその時だった。


 「ちょっとまってくでさぁぁぁぁぁ一い!!」


 クラウスの声が公爵邸いっぱいに響き渡ったのは。

 

 
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