そんなに妹が良いのなら婚約者の座は妹に譲ります

流雲青人

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≡┏( `Д´)┛εε=(((((ノ・ω・)ノ

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終わらなかった…。
次こそ最終回です、すいません。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「え、クラウス殿下…? どうしてここに…」


 瞳を見開いて驚く私。
 あまりにも突然すぎる事に頭がついて行かず、メモルへと助けを求める様に視線を向けるが……。


 「えっ!?」


 そこに居たのはメモルでは無かった。
 いや、本当のところはメモルなのだが、何故かメモルが兎の仮面をつけていたのだ。
 一体いつその仮面を身につけたのか……。


 (て言うか、なぜ仮面!? 今このタイミングで身につける意味は何なのっ!?)


 ……なんて考えている時ではなかった。

 私は我に返り、クラウスへと向き直ろうとメモルの腕の中から抜け出そうとした時だった。


 「ぎゃっ!?」
 「あのさ…もう少し女の子らしい声出してよ」
 「突然だったから仕方ないじゃないですかっ! そこまで言うなら、もう一回チャンスを下さい」
 「いや、そんなもの無いに決まってるじゃん…」


 呆れた顔を向けられれば、私は少しムッとする。けど、次第に何だか申し訳なくなってきて思わず目を逸らす。
 けれど、突然お姫様抱っこをされたら普通驚くと思うし、そんな時に女の子らしい可愛い驚き方なんて出来るはずが無い。そんなの本気で驚いない証拠だ。


 「一体誰ですか貴方は!? ティアを何処へ連れていくつもりですかっ!?」


 クラウスが珍しく大きな声を上げる。
 普段は物静かで知的な…あとエミルの話ばかりする人と言うイメージが強すぎたので私は驚く。


 「……我の名前はウサギ仮面!! この麗しきお嬢さんは我が頂くっ!!」


 えっと…いやいや、何をしてるの?

 私はお姫様抱っこされたまま硬直する。
 それ程驚いたし、何より意味が分からなかった。
 頭が追いつかないまま、メモルは私を抱えた状態で玄関から飛び出す。

 メモルがとの凄い速さで走るため、風が勢いよく私へとぶつかってくる。
 おかげで髪はボサボサだ。

 流石にお城まではいかないけど、公爵邸の庭も中々の広さがある。 
 そんな庭を駆け抜けて行くと、後ろから物凄い足音が聞こえてくる。
 その足音の正体はクラウスで、何だか物凄く彼から禍々しさと圧を感じる。
 殺されるのでは? と思ってしまう程の圧に、私は体を震えさせる。

 そんな時、クラウスと目が合う。
 クラウスは私を見るなりニッと口を弧を描くようにして笑う。
 その笑顔は獲物を狙う肉食動物の様で……。


 「メアリー!? もう少し速く走って!! 私、このままじゃ殺されるわっ!!」
 「だから! 今のオレはメモルだからっ! じゃなくて、ウサギ仮面っ!!」


 気づいたら私は叫んでいた。
 本気で殺される。そう思ったのだ。


 気付けばメアリーは公爵邸の庭を飛び出し、王都を駆け巡っていた。
 途中、行き交う人達が「追いかけっこかい? 楽しそうだねー」「一人の少女をめぐっての争いね…素敵!」「ウサギさん頑張れー!」などなど声を掛けてくれた。
 見世物でも無いのに、何故か気付けば王都の表通りに居た人達は道を開け始めて、気付けばギャラリーが出来て、完全な見世物へと変わっていた。

 
 そして…それからどれくらい抱えられていたのだろうか?


 気付けばそこは………山でした。

 漸く下ろして貰えた私は、目の前に聳え立つ大きな山に唖然とする。
 ここ…どこですか?


 「いやぁ、さすがに……きつい、ね」
 「あー、その…ごめんね? 」
 「オレが勝手に連れきた訳だし、謝んないでよ」


 肩で息を整えながら、メモルがそう言った時だった。


 「ティアっ! 大丈夫ですかっ!?」
 「え、クラウス殿下……!?」


 振り返ればそこには、びっしょりと汗をかき、酷く息の切れたクラウスの姿があった。
 まさかこんな所まで追ってくるなんて…。

 だってここ、王都からかなりありますよ?
 王子様がそんな事、やっていいんですか? もちろん、メモルもだけど。
しかも此処、王都の目印であるお城の屋根が見えないぐらい遠い場所なのに……。


 どうしてそんなに汗だくになって必死に追いかけて来てくれたんですか?


 「ティア、平気ですかっ!」
 「わ、私は平気です。けど殿下が…!」
 「俺のことはどうでもいいんです!! ティア、怪我は? 体調は?」
 「大丈夫ですから、それよりも殿下が…!」


 クラウスは私のことばかり心配ばかりする。私よりも貴方の方が余っ程顔が真っ青で大変そうな状況なのに。

 その時、何故かメモルが私の腕を引っ張ってまた密着状態にする。
 そうすれば、クラウスが真っ青な顔を一気に赤くした。


 「ウサギ仮面! 貴様、人の大切な婚約者を連れ出して一体何を考えているのですかっ!?」
 「いやぁ、なに。第一王子おろうお方が、婚約者に誤解され、ましてや他の女性との婚約を勧められる…。あまりに面白すぎてお腹を抱えて笑ってしまいましたよ。どうやら貴方、ティア様とのお話の時もエミル様の話ばかりするらしいじゃないですか。余程、エミル様の事が愛おしくて堪らないんでしょうね。いっそ本当に婚約したらどうですか? そうすれば、オレも愛しのティアを婚約者として迎え入れられますから」


 どんな顔で今メモルがこの言葉を口にしているのか私には分からない。
 けど……


 肩が微妙に震えてる。
 この人、明らかに楽しんでる。
 実の兄の反応に心底楽しんでるわ…。

 一方のクラウスも、どうやらウサギ仮面の正体には気づいていないみたい。事が大きくなる前にネタあかしをした方がいいかもしれない。この後の二人の兄妹・・争いに巻き込まれるのも面倒だし。

 そう思い、ネタあかしをしようとした時だった。


 「俺の愛おしくて堪らない人はティアだけです!! ティア以外俺は興味無いですし、ティアが愛おしくて愛おしくて堪らないん……デス…」
 

 クラウスの口から発せられた言葉は、あまりにも意外なもので、私は時間が止まったかのように感じた。
 みるみるとリンゴみたいに顔を赤くするクラウス。その顔を見て、本気で言ったのだと私は確信した。



 

 
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