対等

peace

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「おはようございます。
昨日は急に休みを取り、ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。
この立場、この年齢からおめでたと思われ、既に何名かに声を掛けられたので
私し事ですが誤解を招かない為に伝えておきます。

離婚しました。

今日から雪入に戻ります。

自身の個人携帯を本日変えに行きますので明日新しいアドレスを社内メールで飛ばします。
重ねがさねご面倒お掛けしますがご了承下さい。
では、本日の予定ですがーーー












坂下透、25歳。独身。彼女無し。
普通の大学に出て、普通に就職。
趣味も特に無く
職場にいる憧れの先輩、冬藤さんと一緒に仕事をしたくてデスクに食らいつくのが唯一の生きがい






いつもの朝
いつもの会社
昨日いなかった冬藤さんの姿を見つけ少しほっとする
いつもの冬藤さん
いつもの朝のミーティング
そこに放たれた衝撃



  



ざわざわしてる周りにやっと頭が追い付いた







「以上です。
本日もよろしくお願いします。」



その声と言葉と共に解散し、それぞれ仕事に取り掛かる

と、いう風には今日は行かず
誤解は解けても混乱は招いている様で
皆少しぎこちなく自分のデスクに着く



その混乱を招いた本人
冬藤さん、改め雪入さんは知らぬ顔で自分のデスクに着き、仕事を始めている






ふ...雪入さんはあまり感情を表に出す人ではない
更に指示、指摘、アドバイスが的確であり
その薄めの唇から発せられる言葉はいつもストレートで曲がらず、濁されない
堂々としてて、強かで、仕事が出来る




入社したての頃は怖かったけど
今はもう尊敬しきれない大先輩だ










その大先輩が離婚したと聞いたので仕事が手に付きません
などと、まさか言える訳もなく
切り替えて仕事に手を掛ける


ああ、でも気になる


ああ、なんで、どうして











2年前、
仕事も1通り覚えて、ある程度1人でこなせるようになり、順調だった所で大きなミスをして
自信をなくし、ただ謝る事しか出来なかった情けない俺に
俺のせいで上司、先方、色んな所で頭を下げたであろう先輩が掛けてくれた言葉







「貴方のしたミスは後少し気付くのが遅ければ先方に被害額が出ていました
0が一つでも違えば大きな損害に繋がります

ですが、この一件で坂下くんが自分のしている仕事の責任と重大さを理解出来たのなら
それは会社の利益に繋がります

利益に繋がると大勢の人から賞賛されるでしょう
なので、今はその近しい未来の為に、大勢の人に怒られなさい

それと、言い訳をせず、素直に受け止め、謝り、落ち込む事は万人が出来る事ではありません

素晴らしいです」




とてもきつい言い方でした
でも、既に何人もの先輩、上司に怒られ、嫌味を言われ、落ち込んでいた俺は
こんなにもまっすぐ心に響いて
それでいて俺なんかの未来を信じてくれている存在が
とても、とても嬉しくて
それと同時に情けなくて
1からまた素直に考え直して仕事に取り組めるようになりました







男なんて単純で
あの人が信じてくれた俺の未来を実現させる為に頑張ってきたやる気は
憧れからの小さな恋慕と分裂し
恋慕はあの人の薬指光るリングに閉じ込めた














はずだった、のに




ああ、なんで、どうしてーーー



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