バースデーソング

せんりお

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「それで?」
 
「ん?」

ひとしきりからかわれた後、セルジオに唐突に聞かれて首を傾げる。

「その好きな人ってのはどんなやつなの?」

「あーっと…料理が上手くて、それで優しくて、めっちゃかっこいい」

「べた褒め!ってかベタ惚れ!」

のろけか!とセルジオから突っ込まれる。
ベタ惚れと言われてなんか納得してしまった。ニコラの好きなところをあげろと言われたら何個でも言える。よく考えたら俺めっちゃニコラのこと好きなんじゃん。
セルジオにそのまま言うと呆れたように笑われた。

「そんな好きなのになんで今まで気づかなかったんだよ」

「言われてみればなんでだろう…」

今はニコラが恋愛的な意味で好きなんだとはっきり言えるけど俺は今までなんでそれがわからなかった?ニコラに告白された時に気づいてもいいくらいなのに。
理由がわからなくて記憶を探る。
セルジオは急に喋らなくなった俺をちらっと見て、放っておいてくれた。俺が急に自分の世界に飛ぶのはよくあることなので、というか自覚はないけどよくそう言われるので、セルジオも慣れているのだろう。

俺たちが飲んでいたのは泊まっているホテルの近くのバーだ。当然他の客もいる。
俺はちびちびと酒を舐めながらぼんやりと視線を動かした。
と、他の客が目に入った。近くのテーブル席で男女が酒を飲んでいる。だが仲良く、という訳ではなさそうで女性のほうが男性に迫っている感じだ。男性のほうはあまり歓迎ムードではなく、さらっと席を立って去っていった。残された女性は当てが外れたというように舌打ちをしてまた他の男性の方に近づいていった。

「わぁーお、お盛ん」

セルジオもたまたま見ていたようでそう呟いていた。

「女って怖っ!ってチハル?どうした?」

セルジオに聞かれて俺はびくっと体を揺らした。

「チハル?」

訝しげにもう一度問いかけられて俺はゆっくりとセルジオの方を向いた。

「え、お前ほんとにどうした!?なんでそんな死にそうな顔してんの!?」

俺の顔を見たセルジオが慌てている。俺はといえばそんなセルジオを気にするどころではなかった。

「っ俺最低だ…!」

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