バースデーソング

せんりお

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ニコラと気持ちが通じあってから俺は毎日

―――甘い日々を過ごしていた。



と、いうよりニコラがひたすら甘い。俺はまるでどろどろの蜂蜜の中にいるかのような甘さを味わっていた。

ニコラが元々甘やかしてくるタイプというのもあるだろうが、原因のひとつが俺がイタリアに居ることができる期間の短さだろう。俺はツアー中なので2週間しか居れない上に、準備で忙しく、lumeに顔を出せても合わせて1週間くらいが限界。恋人になったばかりだというのになんとも色気がないが、こればかりはしょうがない。ニコラも理解してくれているので、というかその反動でただただ甘い空気を纏って俺に接していた。
そしてその甘さは回りにわかりやすく駄々漏れで速攻で常連さんたちにバレることとなった。

「お、お前らやっとくっついたのかー」

恋人になった次の日に会ったマルコさんの言葉だ。店に入ってきた瞬間の開口一番だった。一瞬でバレたことと“やっと”という言葉に驚かされた。

「ちょ、マルコさん!やっとって何ですか!?」

思わず叫んだ俺にマルコさんは呆れた目を向けた。

「どうもこうも、お前らお互い駄々漏れだったじゃねーか。逆にくっついてなかったのが不思議なくらいだぜ」

あっさりとそう言われて俺はパクパクと口を開け閉めするしかなかった。他の常連さんにも同じようなことを言われていたたまれない。え、俺ってそんなにわかりやすいの!?っていうか気づいてなかったのは俺だけかよ!

「おめでとうさん」

そう声をかけられることも多い。

「ありがとうございます」

ニコラはさらっと笑顔で対応しているが俺は赤面するばかりだった。
マルコさんが酒を飲みながら笑っている。

「ったくチハルはよー、鈍感なのか?ニコラは大分前からそんな感じなのになー」

「ほんとにだよ。気づかないのは本人ばかりってな」

「ニコラが不憫だったぜ。報われてよかったな」

他のおっさんたちもマルコさんの言葉に頷いて言いたい放題だ。

「なんかニコラごめん…俺が鈍感で」

思わずニコラに謝ると、ニコラは少し首を傾げて笑みを浮かべた。

「いいんだよ。これからたっぷり返してもらうから」
 
あまーい声と表情での言葉に回りがやんやと沸く。

「いいぞーもっとやれ」

「若いもんの恋路はいいもんだなー」

俺はといえば何枚も上手な恋人の前で真っ赤な顔で固まるしかないのだった。








そんな日々を過ごして、あっという間に2週間が過ぎていった。とうとう明日はアメリカに発つ。ツアーは楽しみだが、ニコラと会えなくなるのは嫌だな、と溢すと年上の恋人は額にキスを落としてくれた。

「俺も寂しいよ。連絡先も交換したことだしいつでも電話して」

「ん。電話する」

「ツアー頑張ってね。lampflickerの歌聞きながら待ってるよ」

「うん。目一杯やってくる」

どこの誰だよと自分でも突っ込みたくなるような甘いやり取り。それをニコラはナチュラルにこなしてみせる。それがどうにもむず痒くて、でもずぶずぶとされるがままに甘やかされてしまう。
アメリカ行きの飛行機でセルジオにそんなことを言えばじとっとした目で見られた。

「彼氏がいたほうがいいとは言ったけど、よくもまあくそ甘い彼氏を見つけたもんだな。この短期間でバカップルだぜ」

それについては反論のしようがないので俺はセルジオからそっと目を逸らすのみに留めた。


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