バースデーソング

せんりお

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番外編 先輩の恋人3 後輩side

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注文した料理が次々と運ばれてくる。メニューは国籍不明。いろんな国の料理があって、メンバーたちは俺が頭を悩ませている間に、いろんなものを頼んで分けあうことにしたようだ。
 
「すっげぇ!うまそう!」

ベルナルドが歓声を上げて早速スプーンを手に取った。ベルナルドの前で湯気をたてるのはブイヤベース。ごろごろとたくさんの具が入っていて、海鮮とハーブの匂いが食欲をそそる。

「うまっ!何これうまっ!」

一口啜ったベルナルドが目を丸めている。それを見て横からカルロがスプーンを突っ込んで口に運ぶ。

「これはうまいっすね」

おい!とベルナルドが抗議しているのを無視して一口味わったカルロも同じように目を丸くした。

「なんか…深い?っていうんすかね。コクが凄いっす。後、ハーブがすげえいい感じっす」

そんなカルロの感想を聞いていたアランも自分が頼んだクリームソースのパスタを丁寧にフォークで巻いて口に運ぶ。

「んっ!こっちもうまい!」

それを聞いて俺はアランから一口パスタをもらう。熱々のソースとがっつり絡まる程よく固さが残るパスタ。そのクリームは濃厚でほのかに甘さが口に広がる。

「…うまっ」

思わずもう一口すくって、アランに怒られた。

「え、ちょっとチハルさん。こんなうまい店、なんでもっと早く紹介してくれなかったんすか」

カルロがドリアを掻き込みながら抗議する口調で言った。それにセルジオさんが笑う。チハルさんは気まずそうに若干目をそらした。あぁぁ!その反応はだめですチハルさん!!

「とっておきだからなー」

そんなチハルさんを見てにやにやするセルジオさん。“気づいている”俺としては非常に反応に困るので止めてほしい。
咄嗟にカルロのドリアを一口奪う。ミートソースドリアだ。ライスを邪魔しない、でもよく爽やかなトマトの酸味とひき肉の肉っぽさが旨い。
あまりにも美味しいのでもう一口もらおうとするとカルロに防御されて、攻防戦が始まる。結構お互い本気で戦う。
合間にふとチハルさんが視界に入った。彼は嬉しそうに微笑んでいた。
え?と思わず戦うスプーンを止める。チハルさんの視線を追ってカウンターに視線を動かした。するとそこには同じように優しく微笑む店主がいて。しばらく二人で目を合わせた後チハルさんが少し顔を赤らめたのに店主がふふっと笑って調理に戻る。
思わぬラブラブさを目撃してしまった俺はそろりとチハルさんから視線を外した。なんっだこれ!なんだこれ!甘い!甘すぎる!
視線を外した先、アランが目に入った。彼はチハルさんの方を見て固まっている。ん!?もしや…!予感に、テーブルの下でアランの足を蹴った。びくっとしてからこちらを見たアランと目が合う。その顔はひどく驚いた顔で、少し赤くなっていた。それを見て確信する。そうか、お前も気づいたかアラン!視線で二人を指し示してから頷くとアランは、はっとした顔をした。そこからは目顔で会話する。『まさかあの二人…』『その、まさかだ』『うっそだろまじかよ』そして頷き合う。言われるまで気づかないふり!

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