バースデーソング

せんりお

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ツアーは順調に進んだ。毎日刺激的で楽しくて、飛ぶように日々が過ぎていく。
どこの国へ行っても歓迎してくれるファンの人たちがいてlampflickerの成長を実感する。



そして、今日はヨーロッパツアー最終日。
長かったーと思うけど、世界ツアーの行程からみればまだ3分の1だ。まだまだ楽しいことがまってると思うとわくわくする。でも、とりあえず一旦ヨーロッパは締めなのでセルジオとお疲れ様会をすることにした。

「「お疲れー」」

初日と同じように二人でジョッキを合わせる。グラスといえば格好いいのだろうけど今日はでかいジョッキでぐいっといきたい。

「ヨーロッパ楽しかったな!メッセージ書いた横断幕みたいなのくれたの嬉しかったなー」

セルジオの言葉に大きく頷く。

「ほんとにな!あれは嬉しい。まあ、たまに読めないんだけどな」

「フランス語とかはさすがに読めないよな。翻訳アプリの便利さよ」

そうそう、と笑い合う。現地の言葉で書いてあることも多くてどうしても読めないものがあったのだ。そんな時は二人で翻訳アプリを利用して解読した。

「にしてもチハルへのメッセージがだいぶ面白かった」

セルジオがくっくっと思い出し笑いをする。

「チハルかわいい!頑張れ!とか、チハルさんミステリアスなのにかわいいです!とかチハルさん可愛すぎ!好き!とか」

セルジオが言いながら本格的に笑い出す。

「うるせぇよ!」

「かわいいって言われたり、メッセージ読むときのお前の顔がもう、っく、あははっ」

「うるせぇって!俺だって何でかわいいって言われんのかわかんねぇよ!」

「え?お前はかわいいよ?」

何をおかしなことを言い出すんだというようにセルジオは急に真顔になってそんなことを言い放った。

「…は?どこが?」

「…行動。と、あと顔」

「か、お…」

思わずこちらも真顔になって見返す。行動はともかく…顔。「そう、顔」と大きく頷かれた。

「わかんねぇ、わかんねぇよ…!なんでだっ!俺が日本人だからか?こっちの人の目がおかしいのか?」

頭を抱える俺の肩をぽんぽんとセルジオが優しく叩く。

「諦めろ。お前は万国共通でかわいい」

そんなことを言い放ちやがったセルジオの腹に俺は華麗に拳を叩き込んだ。

「明日の今ごろにはイタリアについてるな」

ぐっと机に突っ伏するセルジオを無視してしれっと会話を続ける。

「そ、そうですね」

そーっと俺から少し距離を取りながらセルジオもこの話題に乗ってきた。話をそらすのにちょうどいいと思ったのだろう。そうそう、調子に乗りすぎるのはよくないよ、セルジオ。

「あーアメリアどうしてっかなー。早く会いたい」

セルジオがそう言って酒を煽った。

「どうせ毎日電話してんだろ?」

「してるけどさー」

「…してんのかよ」

絵にかいたようなラブラブさに思わずじとっとした目を向けてしまった。まあでも新婚だしそれくらいでいいのだろうけど。

「でもやっぱさ、電話と直接会うのじゃ全然違うじゃん?」

「そういうもんか」

「そういうもんだよ」

あぁー会いたいーとまたセルジオが言う。
それを横目に俺も酒を煽った。そんな俺を見てセルジオが聞いてくる。

「お前はさ、そういう風に思う相手はいないのかよ」

「んー?」

そういえばセルジオとこんなにがっつり恋愛っぽい話をするのは始めてかもしれない。俺の気持ちに整理がついた今、もうお互いに遠慮することはない。


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