紫音の少女

柊 潤一

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ハウラの陰謀

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 昼少し前に、ゼルダは町から城へ向かっていた。

 朝に町へ行き、懇意にしている町の人から怪しい人物がいると聞いた。

 彼は、先日来た客の一人がこの国のことを事細かに訪ねてきたが、途中からおかしいと思い曖昧な返事で誤魔化したというのだった。

 そのことを報告するために彼は今、父の元へ向かっていた。

 城に入り、ハシバ国王の部屋の前に来たゼルダは扉をノックした。

 中からどうぞという声がして、ゼルダは部屋の中へ入った。

「父上、おはようございます」

「ゼルダか、どうした?」

「父上、いま町で聞いてきたのですが、このザイールにバルカ国のスパイが入ってるかもしれないというのをご存知ですか?」

「うむ、もしかすると、とは思っていたが、お前はそれをどこで聞いてきた?」

「以前から懇意にしている町の者からです。色々と町の様子を教えてくれています」

「そうか。もしスパイがいるなら、それが誰かわかればこちらから先手を打てるのだが」

「早急に見つけて、捕まえるようにしましょうか?」

「いや、誰かだけわかればいいのだ。捕まえてもどうせまた送り込んでくるに決まっている。わしもバルカ国にスパイは送り込んであるからな」

「そうなんですか?」

「うむ、ただメイチというやつは余程警戒心が強いらしく、大事なことは側近のごく僅かのものにしか話さないらしい。しかし向こうの様子がわかるだけでも違うからな」

「なるほど・・・・」

「まぁ、わしも探すように手は打つが、お前も心がけておいてくれ」

「わかりました。ところで父上、お願いしたいことがありますが・・・」

「ん、なんだ?お前が無心をするとは珍しい」

「いえ、その・・・国を治める方法を教えていただきたいのです」

「ほぉ・・・」

 ハシバ国王は驚いて息子の顔を見た。

 今まで政治向きのことには無関心な息子だったが、いま彼の風貌はひと回りもふた回りも大きく見え、頼もしさが漂ってきていた。

「そうか。では時間をみつけて教えていこう」

「ありがとうございます」

 そう言ってゼルダは部屋を出て、自分なりにスパイを探す方法を考えようと思いながら自室へ戻っていった。
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