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紫音の活躍4
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シオンの体から真紅の翼が消え、空が明るくなり日差しが降り注いだ。
ゼルダが矢に射抜かれてから、全てが終わるまでは、ほんの一瞬だった。
「お婆さん!」
ゼルダ王子にかがみ込んでいたシュリ婆は紫音を見てかぶりを振った。
ゼルダは、既に事切れていた。
紫音はゼルダに駆け寄り矢を引き抜いた。
素早くシュリ婆が、ゼルダの服の前をはだけた。
紫音は矢を抜いた後の血が噴き出す胸に手を当てて傷を塞いだ。
そして止まっている心臓を、生きている時の鼓動と同じリズムでマッサージした。
体の隅々まで血が流れ渡って行き、心臓はまたその鼓動を再開した。
しかしゼルダの意識は戻らなかった。
「ゼルダ王子を連れ戻してきます。お婆さん、私とゼルダ王子を見ていて」
紫音はゼルダの横に並んでその身を横たえ、目を閉じた。
そして、ゼルダの痕跡を辿っていった。
暗い闇の中をどこまでも進んでいくと、遠くの方で明かりが見えた。
それに近づき、大きくなっていく光の穴の中に飛び込むと急に視界が広がった。
そこは何もない砂漠だった。
太陽は照りつけ、砂が舞っていた。
紫音はなおもゼルダの痕跡を追った。
いきなり風景が変わり、そこは辺り一面に花が咲き乱れていた。
ゼルダの痕跡が濃くなってきた。
そして紫音は、遥か向こうにぽつんと立っているゼルダを見付けた。
「ゼルダ様!ゼルダ様ー」
「おお、紫音殿か」
紫音はゼルダ王子の胸に飛び込んだ。
ゼルダ王子の厚い胸に頬をうずめ、力一杯に抱きしめた。
「ゼルダ様・・・見付けました。良かった・・・良かった・・・」
紫音の頬に涙が伝っていった。
シュリ婆とハシバ国王は、心配そうに紫音とゼルダ王子を見守っていた。
「紫音様が泣いておる。大丈夫であろうか」
「ご心配めされるな。紫音のする事に間違いはないわえ」
ゼルダは辺りを見回しながら
「紫音殿、ここは何という所だ。美しいな」
と言った。
「ゼルダ様、呆けている場合ではありません。ここは現世とあの世をつなぐ場所です。ここにいては戻れなくなります」
「ん?私は・・・そうか!矢が胸に刺さって・・・」
「私が治しました。ゼルダ様はまだ生きなければなりません。戻りましょう」
紫音はゼルダと手をつなぎ、もと来た道を駆け戻っていった。
紫音とゼルダは同時に目を開けた。
「おお、意識が戻ったぞ。ゼルダ!わしがわかるか?」
「父上・・・そうだ!紫音殿は・・・」
「ゼルダ様・・・」
「紫音・・・紫音・・・」
「ゼルダ様・・・良かった」
紫音とゼルダは抱き合った。
愛しい相手の体が、確かにそこにあるのを確かめ合うように、きつく抱きしめ合っていた。
紫音の頬に又、涙が伝っていった。
ゼルダが矢に射抜かれてから、全てが終わるまでは、ほんの一瞬だった。
「お婆さん!」
ゼルダ王子にかがみ込んでいたシュリ婆は紫音を見てかぶりを振った。
ゼルダは、既に事切れていた。
紫音はゼルダに駆け寄り矢を引き抜いた。
素早くシュリ婆が、ゼルダの服の前をはだけた。
紫音は矢を抜いた後の血が噴き出す胸に手を当てて傷を塞いだ。
そして止まっている心臓を、生きている時の鼓動と同じリズムでマッサージした。
体の隅々まで血が流れ渡って行き、心臓はまたその鼓動を再開した。
しかしゼルダの意識は戻らなかった。
「ゼルダ王子を連れ戻してきます。お婆さん、私とゼルダ王子を見ていて」
紫音はゼルダの横に並んでその身を横たえ、目を閉じた。
そして、ゼルダの痕跡を辿っていった。
暗い闇の中をどこまでも進んでいくと、遠くの方で明かりが見えた。
それに近づき、大きくなっていく光の穴の中に飛び込むと急に視界が広がった。
そこは何もない砂漠だった。
太陽は照りつけ、砂が舞っていた。
紫音はなおもゼルダの痕跡を追った。
いきなり風景が変わり、そこは辺り一面に花が咲き乱れていた。
ゼルダの痕跡が濃くなってきた。
そして紫音は、遥か向こうにぽつんと立っているゼルダを見付けた。
「ゼルダ様!ゼルダ様ー」
「おお、紫音殿か」
紫音はゼルダ王子の胸に飛び込んだ。
ゼルダ王子の厚い胸に頬をうずめ、力一杯に抱きしめた。
「ゼルダ様・・・見付けました。良かった・・・良かった・・・」
紫音の頬に涙が伝っていった。
シュリ婆とハシバ国王は、心配そうに紫音とゼルダ王子を見守っていた。
「紫音様が泣いておる。大丈夫であろうか」
「ご心配めされるな。紫音のする事に間違いはないわえ」
ゼルダは辺りを見回しながら
「紫音殿、ここは何という所だ。美しいな」
と言った。
「ゼルダ様、呆けている場合ではありません。ここは現世とあの世をつなぐ場所です。ここにいては戻れなくなります」
「ん?私は・・・そうか!矢が胸に刺さって・・・」
「私が治しました。ゼルダ様はまだ生きなければなりません。戻りましょう」
紫音はゼルダと手をつなぎ、もと来た道を駆け戻っていった。
紫音とゼルダは同時に目を開けた。
「おお、意識が戻ったぞ。ゼルダ!わしがわかるか?」
「父上・・・そうだ!紫音殿は・・・」
「ゼルダ様・・・」
「紫音・・・紫音・・・」
「ゼルダ様・・・良かった」
紫音とゼルダは抱き合った。
愛しい相手の体が、確かにそこにあるのを確かめ合うように、きつく抱きしめ合っていた。
紫音の頬に又、涙が伝っていった。
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