妄想のメシア

柊 潤一

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初めての世界

続、この世界の究明

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「うむ、そうなると目的はなんだ?なぜこの三人なんだ?」

 あつしは歩き回るのをやめ、立ち止まった。

「君たち、ゲームは好きかい?特にRPGだ」

「うん、好きよ。今もやってるわ。昔はPCだったけど、今はモバイルね」

 凪沙が答えた。

「君は?」

 次に俺が聞かれた。

「俺も好きだよ。最近はあまりしないけど」

「ふむ、やっぱりそうだな。それから君たちは、よく空想をしないかい?妄想と言ってもいい」

「ああ、よくするな」

「あたしもよ」

「うむ、俺も同じなんだがな。さて、次に目的だが、これはおいおい見ていくしかないな」

「俺の考えを話しておこう」

 あつしはそう言って話し出した。

「まず、この世界は誰かが作った妄想の、正確に言えば空想の世界だ」

「誰かが作った?」

 俺は思わず聞いていた。

「そうだ。この三人の中の誰かが、わざと知らないふりをしていなければ、別の第三者が作ったものだ」

 あつしはそう言って、俺と凪沙を順番に見つめた。

 俺たちは、違う違う、と手と首を振った。

「そして俺たちはこの世界に入り込む要素を持っていたんだ。まず、RPGゲームが好きだろ?そして、妄想をする癖を持っている。そしてこれを作った者の意識の波長というか、そんな様なものが俺たちとシンクロしたんだと思う」

「ふーん。でも、そんな事って可能なの?」

 凪沙が聞いた。

「うん。これは誰かに聞いたか、何かで読んだか、なんだが、人間の意識の底の部分ではみんな繋がっているらしい。だとすれば、よく似た意識が重なり合うこともあるかもしれない」

「そして、問題はこの世界が、ただ散漫と作られた物なのか、目的を持って作られた物なのかなんだが・・・」

「僕は、ある目的を持って作られたものだと思っている。まず、魔物のボスを倒して村を平和にするという目標が設定されてるだろう?そして、最後に魔王を倒すという目標がある。分からないのは、何のためにこんな手の込んだものを作って、そして僕達を導いて何をしたいのかなんだ。単純なお遊びで、魔王を倒せばそれでおしまい。ってものかもしれない。それは最後まで行ってみないとわからない」

 それから、しばらく三人は黙り込んでいた。

「さて、ここまで分かった所で、これから俺たちはどうするかだ。センタ、君はどうしたい?」

「俺は、最後までやるよ。絶対、魔王を倒してやる!サエちゃんと約束したからな」

「でも、ここは妄想の世界だぜ?そこまで入れ込むこともないだろ?」

「分かってるよ、そんな事。でも、俺にとってはここも現実なんだよ。サエちゃんを抱きしめた時の温もりも息づかいも未だに残ってるんだよ」

「ん?」

「え?」

 しまった!サエちゃんとの絡みは言ってなかったんだ。

「あ、えーっと・・・」

「センタ、それはどういうことかな?」

「センタ君、何か隠してなぁい?白状しちゃいましょうね。んー?」

 なんで、凪沙さんまで食いついてくるかな?まったく。女子ってこういうの好きだよな。仕方がない。言ってしまおう。

 俺はサエちゃんとの事を話した。

「へぇー、それでサエちゃんとしちゃったんだ?」

 いやいや凪沙さん、そんなあからさまに言わんでも。

「いや、俺はしてないよ。神に誓ってしていない!」

「へぇー、でも普通はさ、するでしょ?サエちゃんも望んでたんだし、君も好きだったんでしょ?してあげなきゃ、嫌われてると思われちゃうよ」

 あーもう!追求が鋭すぎる。

「実は白状すると、出来なかったんだ」

「ええ?」

「ふむ、なるほど。そういう事か」

「え?どういうこと?」

「これは、センタの個人的なことになるから言いたくはないのだが、しかし、この世界でやっていくからには重用な情報だから言わなければならない。センタ、いいよな?」

 もう、言っちゃってください。

「センタが出来なかったのは、彼がチェリーボーイだからだよ」

 それを聞いた凪沙さんは、口をぽかんと開けて俺を見たあと大笑いをした。

「あー、そ、そうだったのね・・・ククッ。そ、それは残念だったわねぇ・・・クククッ」

 はぁー、ため息しか出ぇへんわ。

「しかし、これで大事なことがわかった。現実に経験したことでないと、この世界でも出来ないってことだ」
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