妄想のメシア

柊 潤一

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ボスを目指して

エルフの村

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 ゲートをくぐった三人は、村の入口で村人達の出迎えを受けた。

 村人達は皆、白い衣装を着て耳が尖っていた。

 先頭にいた、胸まである白髪のヒゲを蓄えた老人が進み出て、センタ達に挨拶をした。

「ようこそ、エルフの村へお越しくださいました。私は村長のガンダルフと申します。あなた方の事は空に現れた龍で知りました。どうぞこちらへ」

 老人はそう言って三人を村の広場へ案内した。

 広場の中央には、石を積み上げて丸く囲われた中に満々と水がたたえられていて、その前には敷物が敷かれていた。

 それへ三人は座り、その前に老人が座り、老人の横には剣を携えた戦士、弓を持つた戦士、ローブをまとった女性が座った。

 そして、三人と老人達を囲む様に村人と武器を持った戦士達が立っていた。

「さて、もうご存知でしょうが、この村にも魔物が出ております。この者達が・・・」

 老人はそう言って傍らにいる戦士達を見た。

「魔物を退治しておりますが、ボスを倒さない限り、切りがありませぬ。そして・・・魔王の事はもうご存知ですな?」

「ええ、知っています。しかし魔王というのはどういうやつなんでしょうか?」

 あつしがそう答えて、老人に聞いた。

「それは、ワシらにも分かりませぬ。魔王がこの世界を作ったという者もおりますが、定かではありませぬ。分かっているのは、魔王を倒さぬ限り、この世界に住む我らに、平和な日々は来ないということだけです」

「あなた達で、他の村の者達とも団結して、魔王を倒そうとは思わなかったんですか」

「わしらでは、その資格がありませんのじゃ。ですから、ワシらはずっと違う世界から現れる、救世主と呼ばれるあなた方を待ち望んでおりました」

「ふむ・・・で、ボスはどこにいますか?」

「この森をずっと奥に行けば古い遺跡があり、そこにおります。今からでも行かれますか?この三名の者に案内させますが」

 センタたち三人は顔を見合わせた。

「どうする?」

「俺は昼から、剣道の練習に行くからなぁ」

「あたしも、用事がある」

「じゃ、また明日だな」

 三人の話を受けて村長が

「分かりました。では、あなた方のために部屋を用意してありますので、御案内いたします」

 と言って、広場のすぐそばの家に三人を案内した。

「さぁ、ここですじゃ。何か用事がある時は、ほら、向こうの大きな家がありますじゃろ」

 村長はそう言ってその家を指し示した。

「あそこにおりますで、呼んでくだされ」

 そう言いおいて村長はその家へ歩いていった。

 僕達は家の中へ入った。

 そこは入ってすぐに暖炉がある広々とした居間があり、左右それぞれドアがふたつ並んでいて、ドアを開けるとそこは寝室で、ベッドが置かれていた。

「じゃ、明日の十時にまたここで落ち合おう」

 あつしがそう言って、三人は部屋の光景を頭の中に入れてから現実の世界へ戻っていった。
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