25 / 39
ボスを目指して
センタの危機
しおりを挟む
センタたちと、エルフ達はその咆哮で魔物に気がついた。
「なんやあれ、でかいな!」
皆が驚いている間に、魔物は針のような太い体毛を逆立てた。
それに気付いた、ローブをまとったエルフと凪沙は、自分たちの前に盾を作った。
一斉に飛んでくる体毛が、センタたちとエルフ達に届く間一髪のところで、体毛は盾にあたって落ちた。
「ふぅ、間に合った」
凪沙は、ほっとした。
が、それも束の間で、続けざまに体毛は一行を狙って降り注いでくる。
弓を持ったエルフとあつしは、盾に身を隠しながら魔物に狙いを定め矢を放つが、びっしり生えた体毛と硬い皮膚に矢はすべて弾かれてしまう。
その時
「援護を頼むで!」
そう言ったセンタが盾から飛び出し、木の陰に隠れながら魔物の横へまわると、魔物の足を切りつけた。
しかし、ガツン!という音と共に、刀は弾かれていた。
センタはさらに大きく跳び、魔物の横腹に力一杯、刀を突き立てたが、それも通らない。
これはダメだ。
誰もがそう思った時、魔物が顔をセンタに向け、いきなり口から紫色の液体を吐き出した。
一瞬のことに、避けようがなかったセンタは、その紫色の液体をまともに浴びてしまった。
それは魔物が体内で作る毒のようだった。
センタは力が抜け、がくりと膝を落とした。
「センタくん!」
凪沙は叫び、センタに駆け寄ろうとした。
そのセンタめがけて魔物が足を振り上げ、踏み潰そうとした。
その時センタと同じように、魔物の横で戦っていたエルフが、センタに駆け寄り、木の陰に隠れながらセンタを背中に担いで戻ってきた。
「センタくん!しっかりして!」
凪沙はセンタに声をかけたが、センタは刀を杖にして肩で息をしている。
「村へ戻ろう!」
あつしは凪沙にそう言ってから
「先に戻ります!」
とエルフに言い、凪沙と共にセンタを支えながら、エルフの村の家の、部屋を思い浮かべた。
センタを支えて、部屋に戻ったあつしと凪沙は、センタの着ているものを脱がし、ベッドに寝かせた。
センタの体には紫色の大きな斑点が浮いていた。
あつしは、医者を呼びに部屋を出ていった。
残った凪沙は、センタの体に付いている毒を拭き取ってやった。
センタは目を閉じ、身体を丸めてガタガタと震えている。
「センタくん!しっかりして!センタくん!」
凪沙の声に答えられずに、センタは歯を食いしばっていた。
やがて、センタの体の斑点が段々と大きくなり、それにつれて震えが小さくなり、食いしばる歯がほどけていった。
「センタくんだめ!死んじゃだめ!おねがい、死なないで!」
凪沙は、涙をぼろぼろ流しながら言ったあと、いきなりセンタの横に寝て、センタに抱きついた。
そして、彼の頭を胸に包みながら、心の中で
毒よ消えろ!
と叫んだ。
凪沙はさらに
毒よ消えろ!
と、何度も何度もセンタの体の斑点を見ながら、繰り返した。
そして、凪沙がその言葉を繰り返すたびに、センタの体の斑点が薄くなっていき、最後には消えてなくなった。
凪沙の腕の中で、冷たかったその体が暖かくなった時、センタは安らかな寝息を立てていた。
凪沙はセンタを、ギュッと強く抱きしめ、良かった、良かった、と何度も呟いた。
しばらくして、医者とともに息せき切って駆け込んで来たあつしは、凪沙に抱きかかえられているセンタを見てぎょっとしていたが
「だいじょうぶ。もう毒も消えて、今は寝てるわ」
という凪沙の言葉に安心して、椅子に座り込んだ。
「なんやあれ、でかいな!」
皆が驚いている間に、魔物は針のような太い体毛を逆立てた。
それに気付いた、ローブをまとったエルフと凪沙は、自分たちの前に盾を作った。
一斉に飛んでくる体毛が、センタたちとエルフ達に届く間一髪のところで、体毛は盾にあたって落ちた。
「ふぅ、間に合った」
凪沙は、ほっとした。
が、それも束の間で、続けざまに体毛は一行を狙って降り注いでくる。
弓を持ったエルフとあつしは、盾に身を隠しながら魔物に狙いを定め矢を放つが、びっしり生えた体毛と硬い皮膚に矢はすべて弾かれてしまう。
その時
「援護を頼むで!」
そう言ったセンタが盾から飛び出し、木の陰に隠れながら魔物の横へまわると、魔物の足を切りつけた。
しかし、ガツン!という音と共に、刀は弾かれていた。
センタはさらに大きく跳び、魔物の横腹に力一杯、刀を突き立てたが、それも通らない。
これはダメだ。
誰もがそう思った時、魔物が顔をセンタに向け、いきなり口から紫色の液体を吐き出した。
一瞬のことに、避けようがなかったセンタは、その紫色の液体をまともに浴びてしまった。
それは魔物が体内で作る毒のようだった。
センタは力が抜け、がくりと膝を落とした。
「センタくん!」
凪沙は叫び、センタに駆け寄ろうとした。
そのセンタめがけて魔物が足を振り上げ、踏み潰そうとした。
その時センタと同じように、魔物の横で戦っていたエルフが、センタに駆け寄り、木の陰に隠れながらセンタを背中に担いで戻ってきた。
「センタくん!しっかりして!」
凪沙はセンタに声をかけたが、センタは刀を杖にして肩で息をしている。
「村へ戻ろう!」
あつしは凪沙にそう言ってから
「先に戻ります!」
とエルフに言い、凪沙と共にセンタを支えながら、エルフの村の家の、部屋を思い浮かべた。
センタを支えて、部屋に戻ったあつしと凪沙は、センタの着ているものを脱がし、ベッドに寝かせた。
センタの体には紫色の大きな斑点が浮いていた。
あつしは、医者を呼びに部屋を出ていった。
残った凪沙は、センタの体に付いている毒を拭き取ってやった。
センタは目を閉じ、身体を丸めてガタガタと震えている。
「センタくん!しっかりして!センタくん!」
凪沙の声に答えられずに、センタは歯を食いしばっていた。
やがて、センタの体の斑点が段々と大きくなり、それにつれて震えが小さくなり、食いしばる歯がほどけていった。
「センタくんだめ!死んじゃだめ!おねがい、死なないで!」
凪沙は、涙をぼろぼろ流しながら言ったあと、いきなりセンタの横に寝て、センタに抱きついた。
そして、彼の頭を胸に包みながら、心の中で
毒よ消えろ!
と叫んだ。
凪沙はさらに
毒よ消えろ!
と、何度も何度もセンタの体の斑点を見ながら、繰り返した。
そして、凪沙がその言葉を繰り返すたびに、センタの体の斑点が薄くなっていき、最後には消えてなくなった。
凪沙の腕の中で、冷たかったその体が暖かくなった時、センタは安らかな寝息を立てていた。
凪沙はセンタを、ギュッと強く抱きしめ、良かった、良かった、と何度も呟いた。
しばらくして、医者とともに息せき切って駆け込んで来たあつしは、凪沙に抱きかかえられているセンタを見てぎょっとしていたが
「だいじょうぶ。もう毒も消えて、今は寝てるわ」
という凪沙の言葉に安心して、椅子に座り込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる