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迷走編
36話【daily work】渡辺 弘 63歳:ハプニング(渡辺編)
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「社長、順調だそうで何よりですわ」
晴香がバスケットにいっぱいの果物を持って現れた。
「ははは、固形物が解禁になったからといって、それはやりすぎではないかね?」
「大丈夫です、軟らかいものを選んでまいりましたから。召し上がりますか?」
「では、いただこうか」
いつものように隣に腰かけ、果物ナイフで器用に桃の皮を剥いていく。こういった仕草ひとつさえも、晴香は絵になる。
「……今日は木曜日ですが……大丈夫なんですか?」
果物から目を離さずに、晴香が問う。
「ああ、妻は美容院に行くといっていた。いつも行くときは一日がかりだからね」
「そうですか……。はい社長、あーん……」
一口サイズに切った桃を、晴香が口元へ運ぶ。入院してからろくなものを食べていなかったから、桃の実も汁もとてもおいしく感じる。半分食べたところで、晴香が物欲しそうな顔をして私を見ていることに気づいた。
「……もうすぐ、退院ですね」
「そうだね。長かったよ」
「……私、待ちきれません」
晴香がベッドの端に腰を下ろし、すり寄ってきた。タイトスカートがずり上がり、ガーターストッキングの上の太ももが見えている。
「ふふ、君も見かけによらず淫らな女だねぇ」
「社長……」
晴香が鼻にかかった声で唇を寄せてきた。相変わらず柔らかい晴香の赤い唇を味わっていると、彼女の手が伸びて私の股間に忍び込んだ。
「おやおや、ちょっと気が早いんじゃないか、倉科くん?」
「んん、社長……でも私、待てません……」
トランクスの中で、晴香の手が私のモノを握る。私は片手で彼女のブラウスのボタンをふたつ外し、間から手を差し込んだ。ブラジャーの下に潜りこませ、ふくよかな乳房を揉む。晴香は嬉しそうな顔で体を震わせた。
「ああっ、社長……!」
メスの顔でのけ反る晴香のうなじに舌を這わせ、そのまま乳房をねぶる。無理やり引き出した右の乳房を音をたてて吸い、その乳首を舌先で転がす。晴香は私を握る右手をいっそう激しく動かした。
「ああっ、社長ッ、もっと、もっと舐めてください……っ!」
反対の手で晴香のもう一方の乳房を握ろうとしたとき、突然病室の扉がノックされた。一瞬手を止めた私と晴香は、聞こえてきた声に完全に固まった。
「あなた? 美余です。入りますよ」
「あ……っ、ああ、美余か、ちょっと待ってくれ……っ」
晴香に目くばせすると、彼女は乳房をしまいながら慌てて立ち上がり、カバンを持った。そして、右往左往する。扉はひとつだ、出るわけには行かない。どこか隠れる場所は……!
私は病室に備えつけられたトイレを指さした。晴香が音を立てないようにそっとトイレに入る。
「あなた? どうしたの?」
「あっ、もう大丈夫だ、入ってくれ」
入ってきた美余は、怪訝な顔をして私を見た。
「あなた? どうかして?」
「いや、ああ、ちょうど果物を食べていてね、喉に詰まって慌てていたところだよ……」
我ながら、まったくうまい言い訳が思いつかない。美余は首をかしげてから、テーブルの上にある果物に目をやった。
「あら、どなたかからの差し入れ?」
「ん、ああ、今朝社員が見舞いに来てくれてね……」
「……あなた、果物の皮なんて剝けましたっけ?」
「あ、ああ、その社員が剝いていってくれたのを、今食べていたんだ」
怪しんでいるだろうか……? 美余は、ちらりと私を見た。
「社員て、秘書の倉科さん?」
ぎくっとする。それを慌てて隠す。
「ああ、そうだよ、よくわかったね……」
「彼女、気が利きそうですものね……」
美余は特に詮索するでもなく、それきり何もいわなかった。
「……今日はどうしたんだい、美容院に行くといっていたじゃないか」
美余は、さっきまで晴香が座っていた椅子に腰を下ろした。
「それが、担当の美容師が、病気で急なお休みだっていうので、キャンセルになったんです」
「そうか……それは災難だったねえ……」
冷や汗が止まらない。美余は私を見て微笑んだ。
「あなた、ずいぶんと顔色がよくなりましたね。退院も近いんでしょう?」
「そうだね。今週末には……」
美余が私の手に自分の手を重ねた。
「……広いおうちにひとりでは、寂しいわ」
「そ、そうか……私も、寂しいよ」
「……あら、本当? あなたにそういってもらえるなんて、私、今日お見舞いに来てよかったわ」
美余は、いつになく笑みを湛えたまま、じっと私を見つめている。
「私ね、あなたが入院して初めて、気づいたの……。私たち、忙しさにかまけて、お互いをないがしろにし過ぎていたってこと……」
「……そうかもしれないね」
私は仕事に。おまえは自らの美の追求に。
「だから……」
美余が椅子から立ち、ベッドの横に座った。
「これまでの時間を、取り戻したいの……」
美余がゆっくりと私の前に顔を寄せ、唇を合わせてきた。応えるように口づけると、美余の舌が中に割って入ってきた。久しぶりの、口づけだった。美余の動きに合わせて舌を動かすと、昔を思い出す。当時しがないサラリーマンだった私が、大学一の美人といわれた美余を、口説き落としたときのことを。彼女は私よりも20も年下で、誰しもが、私には高嶺の花だといった。しかし、数年かけて根気強くアプローチし、私は彼女を手に入れたのだ。
「あなた……愛しています……」
美余が深く唇を合わせてきた。久しぶりの美余は、甘い中に落ち着いた色香が漂い、昔と変わらず上質なバラのように美しかった。私の中で何かが燃え上がり、美余の柔らかい舌と唇を激しくむさぼった。
「んん……ふ……っ」
甘い吐息とともに、淫靡な水音が病室に響く。美余は右手で私の股間をさすり始めた。
「あなた……もう、大きくなっていらっしゃる……まだまだ現役なのね……」
愛おしそうに私のモノを病衣の上から撫でる。さっきの晴香との淫行ですでにその気になっていた私のイチモツは、美余の手の中でいとも簡単に硬くなった。
「あなた……」
美余はおもむろに下着ごと病衣をずり下げると、ピンと反り立った私のモノを口に咥えた。
「うう……っ、美余……っ」
突然のことに、驚きと戸惑いを隠せない。その一方で、私の陰茎は、熱くねっとりと絡みつく美余の舌に、敏感に反応した。
「はあっ、あなた……大きくて……おいしい……」
「ああ、美余……や、やめないか……」
美余は巧みな舌遣いで私の陰茎を舐め上げ、唇で強く吸い上げる。
「ああ……っ、美余……」
美余の口の中で、私のモノはみるみる大きくなり激しく脈打った。
コトリ。
背後の壁の向こうからしたわずかな物音に、美余の口が止まる。
「……掃除の方……?」
「い、いや、誰もいないよ。ここにはおまえだけだ……」
慌てて取り繕う。今バレるわけにはいかない。晴香、頼むから静かにしていてくれ……!
再び喉の奥まで美余が私を咥え込んだとき。
カタリ。
「……ねえあなた、ネズミか何かかしら? 不衛生だわ、病院のスタッフにいわないと」
「あ……っ、いや、待ちなさい……!」
美余がすっと立ち上がった。
晴香がバスケットにいっぱいの果物を持って現れた。
「ははは、固形物が解禁になったからといって、それはやりすぎではないかね?」
「大丈夫です、軟らかいものを選んでまいりましたから。召し上がりますか?」
「では、いただこうか」
いつものように隣に腰かけ、果物ナイフで器用に桃の皮を剥いていく。こういった仕草ひとつさえも、晴香は絵になる。
「……今日は木曜日ですが……大丈夫なんですか?」
果物から目を離さずに、晴香が問う。
「ああ、妻は美容院に行くといっていた。いつも行くときは一日がかりだからね」
「そうですか……。はい社長、あーん……」
一口サイズに切った桃を、晴香が口元へ運ぶ。入院してからろくなものを食べていなかったから、桃の実も汁もとてもおいしく感じる。半分食べたところで、晴香が物欲しそうな顔をして私を見ていることに気づいた。
「……もうすぐ、退院ですね」
「そうだね。長かったよ」
「……私、待ちきれません」
晴香がベッドの端に腰を下ろし、すり寄ってきた。タイトスカートがずり上がり、ガーターストッキングの上の太ももが見えている。
「ふふ、君も見かけによらず淫らな女だねぇ」
「社長……」
晴香が鼻にかかった声で唇を寄せてきた。相変わらず柔らかい晴香の赤い唇を味わっていると、彼女の手が伸びて私の股間に忍び込んだ。
「おやおや、ちょっと気が早いんじゃないか、倉科くん?」
「んん、社長……でも私、待てません……」
トランクスの中で、晴香の手が私のモノを握る。私は片手で彼女のブラウスのボタンをふたつ外し、間から手を差し込んだ。ブラジャーの下に潜りこませ、ふくよかな乳房を揉む。晴香は嬉しそうな顔で体を震わせた。
「ああっ、社長……!」
メスの顔でのけ反る晴香のうなじに舌を這わせ、そのまま乳房をねぶる。無理やり引き出した右の乳房を音をたてて吸い、その乳首を舌先で転がす。晴香は私を握る右手をいっそう激しく動かした。
「ああっ、社長ッ、もっと、もっと舐めてください……っ!」
反対の手で晴香のもう一方の乳房を握ろうとしたとき、突然病室の扉がノックされた。一瞬手を止めた私と晴香は、聞こえてきた声に完全に固まった。
「あなた? 美余です。入りますよ」
「あ……っ、ああ、美余か、ちょっと待ってくれ……っ」
晴香に目くばせすると、彼女は乳房をしまいながら慌てて立ち上がり、カバンを持った。そして、右往左往する。扉はひとつだ、出るわけには行かない。どこか隠れる場所は……!
私は病室に備えつけられたトイレを指さした。晴香が音を立てないようにそっとトイレに入る。
「あなた? どうしたの?」
「あっ、もう大丈夫だ、入ってくれ」
入ってきた美余は、怪訝な顔をして私を見た。
「あなた? どうかして?」
「いや、ああ、ちょうど果物を食べていてね、喉に詰まって慌てていたところだよ……」
我ながら、まったくうまい言い訳が思いつかない。美余は首をかしげてから、テーブルの上にある果物に目をやった。
「あら、どなたかからの差し入れ?」
「ん、ああ、今朝社員が見舞いに来てくれてね……」
「……あなた、果物の皮なんて剝けましたっけ?」
「あ、ああ、その社員が剝いていってくれたのを、今食べていたんだ」
怪しんでいるだろうか……? 美余は、ちらりと私を見た。
「社員て、秘書の倉科さん?」
ぎくっとする。それを慌てて隠す。
「ああ、そうだよ、よくわかったね……」
「彼女、気が利きそうですものね……」
美余は特に詮索するでもなく、それきり何もいわなかった。
「……今日はどうしたんだい、美容院に行くといっていたじゃないか」
美余は、さっきまで晴香が座っていた椅子に腰を下ろした。
「それが、担当の美容師が、病気で急なお休みだっていうので、キャンセルになったんです」
「そうか……それは災難だったねえ……」
冷や汗が止まらない。美余は私を見て微笑んだ。
「あなた、ずいぶんと顔色がよくなりましたね。退院も近いんでしょう?」
「そうだね。今週末には……」
美余が私の手に自分の手を重ねた。
「……広いおうちにひとりでは、寂しいわ」
「そ、そうか……私も、寂しいよ」
「……あら、本当? あなたにそういってもらえるなんて、私、今日お見舞いに来てよかったわ」
美余は、いつになく笑みを湛えたまま、じっと私を見つめている。
「私ね、あなたが入院して初めて、気づいたの……。私たち、忙しさにかまけて、お互いをないがしろにし過ぎていたってこと……」
「……そうかもしれないね」
私は仕事に。おまえは自らの美の追求に。
「だから……」
美余が椅子から立ち、ベッドの横に座った。
「これまでの時間を、取り戻したいの……」
美余がゆっくりと私の前に顔を寄せ、唇を合わせてきた。応えるように口づけると、美余の舌が中に割って入ってきた。久しぶりの、口づけだった。美余の動きに合わせて舌を動かすと、昔を思い出す。当時しがないサラリーマンだった私が、大学一の美人といわれた美余を、口説き落としたときのことを。彼女は私よりも20も年下で、誰しもが、私には高嶺の花だといった。しかし、数年かけて根気強くアプローチし、私は彼女を手に入れたのだ。
「あなた……愛しています……」
美余が深く唇を合わせてきた。久しぶりの美余は、甘い中に落ち着いた色香が漂い、昔と変わらず上質なバラのように美しかった。私の中で何かが燃え上がり、美余の柔らかい舌と唇を激しくむさぼった。
「んん……ふ……っ」
甘い吐息とともに、淫靡な水音が病室に響く。美余は右手で私の股間をさすり始めた。
「あなた……もう、大きくなっていらっしゃる……まだまだ現役なのね……」
愛おしそうに私のモノを病衣の上から撫でる。さっきの晴香との淫行ですでにその気になっていた私のイチモツは、美余の手の中でいとも簡単に硬くなった。
「あなた……」
美余はおもむろに下着ごと病衣をずり下げると、ピンと反り立った私のモノを口に咥えた。
「うう……っ、美余……っ」
突然のことに、驚きと戸惑いを隠せない。その一方で、私の陰茎は、熱くねっとりと絡みつく美余の舌に、敏感に反応した。
「はあっ、あなた……大きくて……おいしい……」
「ああ、美余……や、やめないか……」
美余は巧みな舌遣いで私の陰茎を舐め上げ、唇で強く吸い上げる。
「ああ……っ、美余……」
美余の口の中で、私のモノはみるみる大きくなり激しく脈打った。
コトリ。
背後の壁の向こうからしたわずかな物音に、美余の口が止まる。
「……掃除の方……?」
「い、いや、誰もいないよ。ここにはおまえだけだ……」
慌てて取り繕う。今バレるわけにはいかない。晴香、頼むから静かにしていてくれ……!
再び喉の奥まで美余が私を咥え込んだとき。
カタリ。
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