転生親友~２人合わせれば最強です!!~

かきざる

文字の大きさ

大中小

25 / 30

学園編

第23話

しおりを挟む

シュウとソウは、目の前に広がるこの世界では見慣れぬ風景に驚きながらも、好奇心を抑えきれずに進むことにした。

家々は現代日本のものに見えたが、どこか異質な雰囲気を漂わせていた。

「これって一軒家、だよな？」

「だと思うけど…すごい魔力だね。」

目の前にある家はこの洞窟から溢れていた魔力と同じような、魔力の塊と思えてしまうほどのものだった。

「…入ってみる…？」

「入るしかないよな…。」

そう言い、覚悟を決め家に入ってみる。

「あっ、ここにインターホンがあるじゃん」

そう言ってソウがピーンボーンとせっかくの覚悟が台無しになるような音を鳴らす。

『はぁーい。鍵も空いてますからぁ、入っていいですよぉ～。』

と、少々間延びした声が聞こえる。

うん…。なんか、さっきの覚悟なんだったんだろうって思ってきた…。

「ソウ、入っていいらしいし入るぞ…。」

少々、諦めてソウに声を掛ける。

「おう。」

ギィィ…そんな音を立てながらドアを開ける。

「「お邪魔しま～す。」」

家に足を踏み入れると、二人の目の前には広々としたリビングルームが広がっていた。

「すご…。」

家具やインテリアは全て最新で新品かのような見た目でありながらも、きちんと使われているのがわかる。

「いらっしゃ～い。」

突然、奥の方から声が聞こえてきた。

二人が身構えたが、リビングの奥から現れたのは、三十から四十歳ぐらいの綺麗な女性だった。

彼女は優しげな笑顔を浮かべて二人を迎え入れる。

「私はカナよぉ。よろしくねぇ。」

「「よろしくお願いします。」」

「まず混乱してると思うけどぉ何かぁ聞きたぃことはぁ聞いてねぇ。」

ニコニコとゆったりとした動作で椅子に座って聞いてくる。

「えっと…まずここはどこなんですか？」

「ここはねぇ～、簡単に言えばぁ～神界かしらねぇ～。」

「「し、神界…？」」

「そうよぉ。神々が住む世界よぉ。」

何やら場違いなところに来ているようだ。

「神界って俺たち人間なのに着ていいんですか?」

「あの子が呼んだんだからいいに決まってるじゃなぁい。」

「「あの子？」」

「えぇ。あなた達知らなかったのぉ？」

「はい…。」

「まぁ、あの子のことだしぃ何かあるのかもかもねぇ。」

「教えてくれないんですか？」

「自分のことぐらい自分でしなくちゃねぇ。」

「そうてますか…。」

カナさんがあの子と呼んでいるこのことはわからなかったが面白いこともこのあと聞けた。

何やらこの世界は神道のように万物に神がいるそうだ。

『なんか日本を思い出すな。』

『だな。神道みたいだしね。』

名前などは自分で聞かなければならないが多くの神がいるということがしれたのはよかった。

「あれ？あの人は？」

気がつけば近くにあるソファーに貫禄のある人がいる。

「む？我か？」

「はい。」

「我は神なり！名前はカリマリ！」

カリマリさんは右手を見せバチバチッと静電気を出す。

「技は雷！頭は髪ない！」

とダジャレを言ってきた。

「「ハ、ハハハ…。」」

「まあ、このようなことよりも少々頼みたいことがあったのだ。」

「「頼みたいこと？」」

「ああ、酒をいっぽn──」

「あらぁ？お酒は禁止されていたはずだけれどもぉ？」

カナさんはカリマリさんの頭を叩き聞く。

「ぐっ…それはだな…その…はぁ…仕方ない…」

カリマリさんはがっくりとうなだれた。

「まあ、本題はこっちだ。最近、ある森にいるやつがな。怒りからだと思うんだが暴走しているんだ。そのせいで被害が大きくてな。討伐をお願いしたい」

「「暴走？」」

「ああ。まあ、お前らならどうにかなだろうから頼む。」

カリマリさんは頭を下げお願いしてきた。

「頭を上げてください!!」

「受けてくれるのか？」

「神様なら俺たちに頼まなくてもいいんじゃないですか？」

「我ら神がそう簡単に手を差し伸べてしまえば人々は堕落し自然が壊れ世界に悪影響になるんだ。」

「そう、ですか。」

「場所はそうだな、冒険者カードの地図に記録しておく。」

「わかりました。…どうやってここから帰るんですか？」

「ん？…ああ、まだここと行き来する力はないのか…。」

「「はい？」」

「いやなんでもない。我が送還しよう。」

ふいに、視界が揺らいだと思えば神界に来る前の部屋に戻っていた。

しおりを挟む