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Ⅰ 強奪
12. 凌辱(1)
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体に違和感を覚え、レイはゆっくりと目を開けた。
尻に何かが挟まっているかのような、ムズムズする異物感。
手を伸ばして確かめようと体を起こしかけたとき、すぐ傍から声を掛けられた。
「目覚めたか、レイ」
「……魔王……?」
体中がだるく、思うように動かせない。
レイは寝台の上に横たわり、視線だけを声のした方向へ向けた。
「ここ……どこだ?」
かすむ視界に、寝台の天蓋が映し出される。この豪華さは、明らかに宿の部屋ではない。
「宮中の一室だ。レイ、喉が渇いただろう?」
魔王の支えでわずかに上体を起こし、グラスの淵を唇に当ててもらうと、レイは中身をゆっくりとすすった。
甘い果実水が、沁みこむように喉を下りてゆく。
(何で俺、魔王に介抱されてるんだ? どこか怪我でもしたのか……?)
そう思いながら果実水を飲み干し、体の状態を確かめようとしたレイは、自分が何も身に着けていないことに気付く。
露出した肌にただひとつ、左手首にはめられた腕輪だけが、ぼんやりと光を放ち、存在を主張していた。
「!!」
突如、押し寄せる波のように、どっと記憶が甦った。
「魔王っ……!」
怒りに駆られたレイは、魔王に掴みかかろうとしたが、あっさりと寝台の上に組み敷かれた。
「はなせっ! はなせぇっ――!」
喉の奥から絞り出した声は掠れ、喘鳴を伴っていた。
わずかな動作にも息が切れ、ぐらぐらと周囲が揺れて見える。
そんなレイの様子を痛ましげに見つめ、魔王は優しく囁いた。
「暴れるな、レイ。腕輪の副作用だ。できれば使いたくなかったが……すまない……」
「はずせっ! これを、はずせっ……!」
押さえつけられ、もがきながら、レイは束縛から逃れようと、力のこもらない手足を弱々しくばたつかせた。
「私の妃となり、一生私と添い遂げると誓ってくれるなら、今すぐその腕輪をはずしてやろう」
「!」
信じられない思いで、レイは自分に のしかかっている男の顔を睨み付けた。
体の奥から沸々と怒りが煮えたぎり、声にならない叫びが頭の中でこだまする。裏切られたという思いが、きりきりと胸の内を蝕んでいった。
「こんなっ……卑怯な手を使って……恥ずかしく、ない、のかっ……!」
魔王は顔を歪め、悲しげに微笑んだ。
「おまえのいない生涯を耐え忍ぶくらいなら、卑怯者になる方を選ぶ」
そういうと魔王は、レイの顎を掴み、唇を押し付けてきた。
「んっ……! ん、ふっ……んんんっ、ん……!」
抵抗しようにもまるで力が入らず、レイはなすすべもなく唇を吸われ続けた。強い力で顎を押え付けられているため、逃れたくても首を振ることさえ、叶わない。
熱い吐息が絡み合い、湿った音が静かな室内に響く。
「んっ、んんっ、……はっ、……ん、あっ……!」
やっと唇が解放され、魔王の口付けが首筋に移動すると、レイは胸を激しく上下させ、必死になって空気を吸いこんだ。
「はっ、あっ……はあ、はあ……あっ、くっ……!」
耳の後ろの感じやすい箇所を、魔王の舌にぞろりと撫でられ、レイはビクンと体を震わせた。
「ここが好きか……?」
「あっ、あぁっ! はっ、や、やめろ……! あっ、んっ、くぅ……っ!」
ねっとりと、魔王の唾液が首筋を伝い下りる。
弱い所を責めたてられ、レイは喘ぎながら仰け反り、荒い呼吸を繰り返した。
扇情的に反らされたレイの喉に、誘うように喉仏が晒される。
その様に欲情を掻き立てられ、魔王は喰らいつくようにレイの喉にしゃぶりついた。ぴたりと唇をつけ、張り出た部分を舌で転がすように、そっと優しく撫で上げる。
「ひっ……! くっ、あっ、……やめ、ろ! ……はっ、んんっ!」
喉を圧迫される苦しさと、魔王の舌に弄られるくすぐったさが、同時にレイをさいなむ。
魔王の濡れた唇はレイの肌から離れることなく、やがて鎖骨付近へと滑り、徐々に下へ下へと這っていく。
それと同時に魔王の指先が、丹念に体中を撫で回り、否応なしにレイの体を高めていった。
尻に何かが挟まっているかのような、ムズムズする異物感。
手を伸ばして確かめようと体を起こしかけたとき、すぐ傍から声を掛けられた。
「目覚めたか、レイ」
「……魔王……?」
体中がだるく、思うように動かせない。
レイは寝台の上に横たわり、視線だけを声のした方向へ向けた。
「ここ……どこだ?」
かすむ視界に、寝台の天蓋が映し出される。この豪華さは、明らかに宿の部屋ではない。
「宮中の一室だ。レイ、喉が渇いただろう?」
魔王の支えでわずかに上体を起こし、グラスの淵を唇に当ててもらうと、レイは中身をゆっくりとすすった。
甘い果実水が、沁みこむように喉を下りてゆく。
(何で俺、魔王に介抱されてるんだ? どこか怪我でもしたのか……?)
そう思いながら果実水を飲み干し、体の状態を確かめようとしたレイは、自分が何も身に着けていないことに気付く。
露出した肌にただひとつ、左手首にはめられた腕輪だけが、ぼんやりと光を放ち、存在を主張していた。
「!!」
突如、押し寄せる波のように、どっと記憶が甦った。
「魔王っ……!」
怒りに駆られたレイは、魔王に掴みかかろうとしたが、あっさりと寝台の上に組み敷かれた。
「はなせっ! はなせぇっ――!」
喉の奥から絞り出した声は掠れ、喘鳴を伴っていた。
わずかな動作にも息が切れ、ぐらぐらと周囲が揺れて見える。
そんなレイの様子を痛ましげに見つめ、魔王は優しく囁いた。
「暴れるな、レイ。腕輪の副作用だ。できれば使いたくなかったが……すまない……」
「はずせっ! これを、はずせっ……!」
押さえつけられ、もがきながら、レイは束縛から逃れようと、力のこもらない手足を弱々しくばたつかせた。
「私の妃となり、一生私と添い遂げると誓ってくれるなら、今すぐその腕輪をはずしてやろう」
「!」
信じられない思いで、レイは自分に のしかかっている男の顔を睨み付けた。
体の奥から沸々と怒りが煮えたぎり、声にならない叫びが頭の中でこだまする。裏切られたという思いが、きりきりと胸の内を蝕んでいった。
「こんなっ……卑怯な手を使って……恥ずかしく、ない、のかっ……!」
魔王は顔を歪め、悲しげに微笑んだ。
「おまえのいない生涯を耐え忍ぶくらいなら、卑怯者になる方を選ぶ」
そういうと魔王は、レイの顎を掴み、唇を押し付けてきた。
「んっ……! ん、ふっ……んんんっ、ん……!」
抵抗しようにもまるで力が入らず、レイはなすすべもなく唇を吸われ続けた。強い力で顎を押え付けられているため、逃れたくても首を振ることさえ、叶わない。
熱い吐息が絡み合い、湿った音が静かな室内に響く。
「んっ、んんっ、……はっ、……ん、あっ……!」
やっと唇が解放され、魔王の口付けが首筋に移動すると、レイは胸を激しく上下させ、必死になって空気を吸いこんだ。
「はっ、あっ……はあ、はあ……あっ、くっ……!」
耳の後ろの感じやすい箇所を、魔王の舌にぞろりと撫でられ、レイはビクンと体を震わせた。
「ここが好きか……?」
「あっ、あぁっ! はっ、や、やめろ……! あっ、んっ、くぅ……っ!」
ねっとりと、魔王の唾液が首筋を伝い下りる。
弱い所を責めたてられ、レイは喘ぎながら仰け反り、荒い呼吸を繰り返した。
扇情的に反らされたレイの喉に、誘うように喉仏が晒される。
その様に欲情を掻き立てられ、魔王は喰らいつくようにレイの喉にしゃぶりついた。ぴたりと唇をつけ、張り出た部分を舌で転がすように、そっと優しく撫で上げる。
「ひっ……! くっ、あっ、……やめ、ろ! ……はっ、んんっ!」
喉を圧迫される苦しさと、魔王の舌に弄られるくすぐったさが、同時にレイをさいなむ。
魔王の濡れた唇はレイの肌から離れることなく、やがて鎖骨付近へと滑り、徐々に下へ下へと這っていく。
それと同時に魔王の指先が、丹念に体中を撫で回り、否応なしにレイの体を高めていった。
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